【独自】霊感商法で捕まった元詐欺師が語る、詐欺集団の実態

今回Moly.jp編集部は、霊感商法の詐欺で5年間服役していたNさん(仮名)にインタビューを敢行しました。この記事を通して詐欺グループの実態や手口について学び、被害に遭わないように何ができるのかを考えていきましょう。こちらのインタビューは、全4回+番外編でお届けしますので、ぜひ追ってご覧ください。

第1回は、Nさんの犯行内容についてお聞きしました。

Q1具体的な犯行内容(何人でやったのか、単独なのか)

Nさん:犯行内容とは、事件化されたものですか?それとも事件化されてないものも含みますか?

編集者:お任せします。事件化されてないものでも、お話いただけれるのであれば聞かせてください。

Nさん:僕が関与したのは、「詐欺」です。事件になっているものは、大きく2つありまして、1つは「投資系」の特殊詐欺と、もう1つは「霊感商法」の特殊詐欺です。それ以前に「出会い系」の名簿を使って架空請求もやっていたこともあります。
それは、名簿に対して電話やメールなりで「何とかというサイトです」と適当なサイト名を名乗って「未払いのお金があるので、払ってください」というものです。

編集者:この出会い系の架空請求は、それ以前ということは事件化されていない、つまり罪に問われていないということですか?

Nさん:そうです、問われていません。それは、8~9年前の話で、全部時効になっています。

編集者:それらの事件の時効の期間はどのくらいなのですか?

Nさん:詐欺は事件が発生してから7年です。ただ共犯がいる場合は、「最後に捕まった人から数えて、何年」とかと数え方が変わってくると聞いたことがあります。

編集者:では、投資系の特殊詐欺と霊感商法の特殊詐欺のみ事件化されたということですね。

Nさん:はい、それのみです。

編集者:その逮捕された時に、前の詐欺(架空請求)は引っ張りだされなかったのですか?

Nさん:そうですね、バレなかったです。もっと言いますと、投資詐欺も2009年の7月か8月から関わっていたのですが、何回も何回もアジトや名前を変えてやっていました。足がつかないようにするために、(4ヶ月をワンクールとして)1ヶ月を準備期間にあて、残りの3ヶ月で詐欺を行います。
1クール毎に場所も名前も全て変えます。そのようにして犯行を繰り返していました。私は2009年の夏から投資系の詐欺はやっていましたけど、逮捕されたものは2012年の4月以降のものです。なので、それより前にやっている約10クール分の詐欺では捕まっておりません。

編集者:では3年間分の詐欺はバレなかったのですね。次に霊感商法の特殊詐欺は、いつ頃からやっていたのですか?

Nさん: 2012年10月です。投資系の特殊詐欺は暴力団なども絡んでおり彼らとは距離を置きたいと思っていたこともあり、2012年の8月でもう一切止めました。霊感詐欺はその後に始めました。
正確に言いますと、2012年10月の2日か3日からやっています。ですが、投資系詐欺で逮捕状が出ており、霊感商法を始めて3週間程度で警察が入って来て、捕まりました。そこで、色々と調べられて、霊感商法の方も後に逮捕・起訴されました。

編集者:霊感商法自体は、1ヶ月も持たなかったということですね?

Nさん:はい。少し細かく説明すると、投資詐欺をやっている時、機会があって別の詐欺グループの見学に行きました。そこで仲良くなった人と「チャンスがあったら一緒にやろうね」となり、お金を折半で出しあって、やり始めたのが霊感商法だったんです。
その仲良くなった人も、別で霊感商法をやっていたのですが、自分がトップじゃないと上の人間にお金を持って行かれるだけで面白くないから、独立したがっていました。
ですが、彼には彼の所属するグループがあり、表立ってやるわけにはいかなかったのです。そんな時に僕と意気投合し双方にメリットがあったので組むことにしました。ですので霊感商法詐欺で事件となったものの犯行期間は1ヶ月弱でしたが、それ以前にも見学にいったり、実際に現場に入らせてもらったりしていたことはありました。

編集者:そうなんですね。と言いますと、詐欺グループにもコミュニティみたいなものがあるのですか?

Nさん:あります。ただ、基本的には、詐欺グループなど闇に住んでいる人たちでも「オレいま詐欺やってるんだよね」とは言わないので他のグループ・コミュニティの事はほとんどわかりません。彼らはまた「警察への通報」や「タタキ(註1)」を恐れています。
悪どいことをやって稼いだお金なので、表に出せないんですね。例えばそいつの家に強盗に入ったとしても、警察に通報出来ないからタタキは少なからずある、と聞いたことがあります。詐欺アジトで一緒になって初めて他のグループの事が分かるケースはありますが、仲がいいとか、よっぽど特別な関係でない限り素性や背後の人間関係は言わないですね。

編集者:そうしたら、どうやってみなさんは知り合っていくんですか?

Nさん:僕の投資詐欺でのケースをお話しします。一つは、詐欺アジトに行くと、様々な詐欺グループから出て来ている人がいる事がありました。例えば、Aというグループから5人、Bというグループから3人が来ましたといったように、複数のグループからメンバーが構成されるというケースです。お互い、最初は偽名で話し合ったりするのですが、雑談をする中で「この人自分と近いな」とか「面白そうだな」とか、そういったところから仲良くなったりはしますね。
もう一つは、僕は全体を取り仕切っていた暴力団グループから出ていて、かつ現場責任者をしていたので、事前にある程度どういったメンバーがいるのかを教えてもらっていました。そこで「キミはあの人の繋がりでしょ?」みたいな話をして仲良くなることもありました。

編集者:そのアジト自体を作る人は誰なんですか?

Nさん:詐欺グループの上層部です。僕が関わった投資詐欺事件では、暴力団関係者がやっていましたね。霊感商法詐欺は私がトップでしたので私が行いました。投資詐欺のケースをお話しすると、暴力団が繋がりのある不動産屋からアジトを借りていました。
詐欺の実行メンバーは事前に報酬や集合場所を指示されていました。例えば「どこどこのコンビニに集まれ」と言われて、コンビニで待ち合わせることもあります。その集合時の光景がすごく異様なんですよ。明らかに、「君たち悪いことやっているよね」といった風貌の人たちが集まっているので…

編集者:私的には、初めにNさんにお会いした時に、普通な方だなと思ったので、いまお話しされた、コンビニに集まるちょっと見た目が不審な人たちといったイメージとはかけ離れているなと感じたのですが、どういった見た目の人が多いのですか?

Nさん:多かったのは半グレみたいな分かりやすい人でした。一方でわからない人は、本当にわからないですね。普通の大学生みたいな感じの人とか、カメラマン希望のちょっとオシャレな人もいましたね。

編集者:そうすると、お金を受け取りに行く人は、普通のサラリーマンみたいな人を選ぶということですか?

Nさん:会ったことはありませんが、写真で何人か見た事があります。これも掛け子(註2)と同様に様々でしたが、悪く見えなさそうな人が多かったように記憶しています。
ただ、詐欺グループによって違うのではないでしょうか?僕が関与した特殊詐欺は、掛け子と被害者の接点がほぼ電話だけで、アジトにいる人間から受取人を選ぶという事はありませんでした。

編集者:そうなんですね。霊感商法も投資系の特殊詐欺も電話のみなんですね。霊感商法だと、実際に家に出向いて、商品を売るのかと思っていました。

Nさん:実際に出向いて売る詐欺もあったみたいですが、僕はやっていません。いまもそうだと思うのですが、当時の霊感商法詐欺はDMを送ったり、雑誌に広告を出したりして、反響を待つ方法でした。

(註1)タタキ:犯罪などで稼いだ表に出せないお金を持っている人間を強襲し金品を奪うこと。
(註2)掛け子:詐欺の犯行アジトで被害者に電話を掛ける役割を担う人間

Q2犯行実施期間はどのくらいでしょうか?

編集者:実際に犯行を行った期間を詳しく教えてください。

Nさん:2009年の夏(たしか8月だったと思います)に始めました。

編集者:そこから逮捕されるまでは、ずっと詐欺を行っていたということですか?

Nさん:基本的には、そうですね。2012年10月に捕まるまでなので、3年以上やっていました。

まとめ

第1回は、Nさんの犯行内容や詐欺グループの関係性についてお話ししてもらいました。犯罪行為でお金を稼いでいる詐欺グループの中でも不満を持つ人がいて、新しい詐欺につながっていることに闇の深さを感じました。

第2回では、Nさんが詐欺に手を染めた犯行の動機や、被害者について詳しくお話ししていただきました。

ぜひ続きもお読みください。

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