【独自】霊感商法で捕まった元詐欺師が語る、犯行時の心境と罪悪感

霊感商法詐欺で服役していた元加害者Nさん(仮名)へのインタビューです。このインタビュー記事は、詐欺の実態を知ることで、詐欺の被害に遭わないようにすることを目的としています。

第2回は、犯行の動機や被害者についてお話ししていただきました。第3回犯行時の心境や罪悪感についてお話ししていただいています。

Q5犯行時に逮捕されること、将来に影響することを一瞬でも考えたか

編集者:3年間詐欺をやっている間に「これいつか捕まるんじゃないか、バレるんじゃないか」とか、将来への影響を考えたことはありますか?

Nさん:そうですね、逮捕の不安は一回だけあってそれは本当に最後の最後の時でした。それまでは不安はあったんですけど、捕まらないだろうという自信が勝っていました。
その理由は、先ほどお話した元同僚から投資系の詐欺を紹介してもらったときに、詐欺グループ全員で顔合わせをしたんです。そこにいた人たちは、ずっと詐欺の世界で生きてきた人だったり、みんな何かしらかそういった事をしたことがある人たちでした。
そこで「捕まらないんですか?足つかないんですか?」という質問をしたら、「大丈夫」だという返事が返ってきて、アジトの契約の仕方とか足がつかない仕組みなどを教えてもらいました。
また、その顔合わせを人たちが5年10年とその詐欺をやっているのに捕まっていないことから、じゃあ大丈夫なのかなと感じました。なので、不安に関しては無かったわけではないですけど、大丈夫だろうという気持ちでした。

編集者:5年10年と詐欺をやっている人を目の前にして、自分も今からそういう事をしても平気だろうなと感じた時に、この先も自分はこの詐欺で食べて行こうという風に思っていたんですか?

Nさん:それはないですね。架空請求をやっていたときも「いや、これダメだよな」と思っていましたし、それは詐欺で生きてきた人と顔合わせをした時にも感じました。結局、続けましたが…投資系の詐欺も最初はやるつもりなく、まともな仕事が決まるまでの間の繋ぎとして考えていました。
また、詐欺グループの上層部が最初3ヶ月は様子を見ながら続けるかどうかを判断するという話でした。つまり、実際にどのくらい売り上げがたつか等、やってみてからでないとわからない事も多いから、とりあえず3ヶ月やってみてダメだったら解散すればいいという話でスタートしました。さらに出入りも自由だから、やりたくなかったらいつでも抜けていいと言われていました。

編集者:それって本当ですか?イメージなんですけど、一回入ってしまったら抜け出せなくて、出て行ったら追いかけられてしまうといったことがありそうで…。

Nさん:それは、たぶんないですね。そういった事があるグループもあるかと思いますが、一般的な詐欺グループに関しては、それは恐らくないですね。結局どっちが強いかって言うと、抜けた人の方が強いですから。警察に行かれてしまうとそれで終わりですね。なので、そこは実際に辞めて行く人もいて、よっぽど変な辞め方では無い限り、追いかけるみたいなことは、無かったですね。

編集者:お金を持って逃げてしまう場合とかは、追いかけられますか?

Nさん:そうですね、僕は遭遇したことはありませんが、それはあると思います。金銭以外の実例をお話ししますね。詐欺現場(アジト)でいくつかのグループが一緒になった時に、あるグループの人を引き抜こうとした別のグループの人がいました。これがバレて思いっきり詰められていましたね。なので、そういうことをやらない限りは、基本的には追いかけられるといったことは、ないですね。

編集者:詐欺行為をしている間、ご家族はそのことについて知っていましたか?

Nさん:何か変な繋がりがあるということは、気づいてたのですが、その辺は上手くはぐらかしていました。

編集者:そうですよね、アルバイトの収入とは思えない収入が入ってきていたら、怪しみますよね。

Nさん:説明不足だったのですが、投資系の詐欺を始めた時にアルバイトは辞めました。投資系の詐欺は、片手間ではできず、平日の日中はフルに活動をしなければいけなかったのです。そこで「次の仕事は何をするの?」と妻に聞かれたときに、前述の元同僚の名前を出して、その同僚の仕事の手伝いをするといったことを、妻には伝えていました。
同僚の知り合いの紹介で闇金ではないけれど、金融系の仕事を手伝うということを、やんわりと濁しながら伝えました。そして、とりあえず次の仕事を探すまでは、その紹介された仕事を手伝うことにするということにしていました。また、妻も僕に変に気を遣っていたため、所得明細を見せてということもありませんでしたので、家には必要な分だけ入れていました。

Q6犯行後は被害者に対する謝罪の気持ちはあるのか、罪悪感はあるか

編集者:逮捕されるという不安はあまりなく、自信があったとおっしゃっていましたが、犯行中は被害者に対して、罪悪感はありましたか?

Nさん:それはもちろんありますね。それはもう(詐欺をしていた)最後の最後までありました。決して気持ちのいいものではありませんでした。

編集者:それは、電話をかけているときですか?

Nさん:そうです。例えば、大きい入金が入ると、自分の給料や報酬に繋がるので、嬉しいは嬉しいのですが、やっぱり気持ちのいいものではないです。身体中に発疹ができることもありましたし、罪悪感ずっとはありました。
ただ僕の場合は、相手(被害者)の顔が見えなかった事が罪悪感を軽減させていたように思います。あとものすごく浅はかなですが、「結局オレが騙さなくても、この人たちはいずれどこかで騙されるだろう」という考えがありました。

最初の頃は本当にすぐに辞めたいなという気持ちもありましたが、そこに1ヶ月なり2ヶ月なり居ると、やはり慣れてしまうと言いますか。もちろん嫌な気持ちというのもあるのですが、本当に慣れてしまうんですよね。
そして、毎回「これで最後、これで最後」と思っていたのですが、ずっと続けてしまいました。また、僕は(詐欺の)営業成績も良かったですし、事務的な作業もよく出来ていました。さらに世間一般的には高学歴で裏社会にはあまりいないタイプの人間だったので、詐欺グループの上層部にとても重宝してもらえていていたんです。

編集者:そういった点で、自分の自信にも繋がっていった部分があったのですね?

Nさん:そうですね、すごく良くしてくれたので。

編集者:投資系の詐欺が終わったあとに、また自分から詐欺をしようと思ったのはなぜですか?

Nさん:それは、誰にも邪魔されずにもっと良い報酬を得たいと思ったためです。投資詐欺をやっている時の報酬は、概ね月で150万円くらいでしたが、そのうちの100万円分くらいを同じグループから出てきていたリーダーに使っていたんです。その人は全然やる気がなくて、ぐだぐだして何もやらないんです。それで、僕が数字を上げると、その人の数字に見せかけていたりだとかして、(上層部からの)その人の評価を上げていたんです。
そのリーダーからも可愛がられて、キャバクラに連れて行ってもらったりもしていたんです。ですが、そこのキャバクラの支払いはそのリーダーではなく、ほとんど僕がしていました。だから、月に多いときでは200万円以上の報酬があっても、結局ほとんど使ってしまうことが多かったです。それでも、良い意味で僕に跳ね返ってくるはずだと思って、ずっと続けていました。
しかし、その人からお礼に何か受け取ったことはありませんでした。投資詐欺で関わった連中と離れて霊感商法を始める時に、取り分の多くを僕が持っていける立場になったので「やっとオレの出番がきた」というような気持ちになったことを覚えています。この感覚はまずいですよね。ですが、その時は「やっと」という感覚が強く詐欺行為を継続しました。

編集者:自分主導で「この詐欺はいけるな」と思ったということですね。では、結構辞めたい辞めたいと思いながらも、味をしめてしまったという感じだったのですね。

Nさん:そうですね。犯罪組織の中、その犯罪の世界の中でチャンスを伺っていた感じでしたね。

編集者:そうしたら、その当時はもう一般のお仕事は探されていなかったのですか?

Nさん:表向きは、色々と仕事の話を聞きに行ったりして、少し資料を作る手伝いをしたりもしていたのですが、割いている時間の9割以上は詐欺をしていました。

まとめ

やはり、犯罪行為をして得た報酬は気持ちのいいものではなかったとのことでした。しかし、高額のお金が毎月入ってくる事実の方が強かったために、半ば依存的に詐欺を続けてしまったのかもしれません。

薬物などもそうですが、軽い気持ちで始めた違法行為はそう簡単に辞めることはできません。一歩目を踏み出さないことが非常に大事です。

4回目は、逮捕までの経緯や、服役中の心境についてお話ししていただきました。

ぜひ、お読みください。

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