【7月11日の事件】見せしめか?悪魔の詩訳者殺人事件の不可解な謎とは

今から28年前のこの日、悪魔の詩訳者殺人事件が起きました。この事件はネーミングを聞いただけでも不気味な感じがしますが、実際に謎を残したまま2006年の7月11日に時効が成立してしまいました。今回はこの事件についてと、学校やエレベーターでの防犯対策について紹介します。

悪魔の詩訳者殺人事件の概要

この事件は1991年の7月11日に起きました。翌日の12日の朝、筑波大学助教授の男性がキャンパス内の人文・社会学系A棟7階エレベーターホールで刺殺されているのが発見されました。解剖の結果、前日に殺害されたと断定されたのです。被害者の助教授は熱心なイスラム研究家として有名でした。この事件は日本だけではなく世界から注目を浴びたのですが、その理由はこの助教授がイスラム社会から禁書とされていた「悪魔の詩」の翻訳者だったからです。

悪魔の詩はインド系イギリス人の作家サルマン・ラシュディによって書かれ1989年1月に発売。その内容がイスラム教を冒とくするものであるとして、イスラム圏ではこの本の焼き捨てが相次ぎました。結果、発売から1か月後イランの最高指揮者ホメイニ師が著者のラシュディ氏と、その出版に携わった者に対して死刑を宣告したのです。イスラムでは宗教指導者による布告をファトワといい、法律と同様に扱われるのです。

作者のラシュディの処刑実行者には、当時日本円で約3億円の賞金がかけられました。しかもファトワというのは本人しか撤回できなく、この年の6月にホメイニ師が亡くなってしまったために、永遠に撤回できなくなってしまったのです。被害に遭った筑波大学の助教授は悪魔の詩の翻訳について、「文学作品として優れていてイスラムを冒とくしているものではない」との理由から翻訳に踏み切ったそうです。

作者のラシュディ氏は警察の保護下で潜伏生活を強いられたのに対し、助教授は自分も処刑の対象になっていることは知っていたにもかかわらず平穏な日々を送っていました。これは、遠い日本まで処刑の手は及ばないだろうという気の緩みというよりは、長年イスラム文化と親しんできた助教授なりの、イスラムに対しての信頼のあらわれだったという考えが強いようです。

犯人が見つからぬまま時効

この事件がイスラムによる処刑ではないかと憶測を呼んだ理由は、この事件の約1周間前にイタリアのミラノで悪魔の詩のイタリア語訳者が何者かに全身をナイフで刺されて重傷を負っていたことにあります。また、助教授が殺害された場所と遺体の状況も関係していました。普通なら目撃されにくい研究室で襲撃するだろうし、遺体は首を深く切られていて、これはイスラム式の殺し方でした。見せしめのために、エレベーターホールという目立つ場所で、しかもイスラム式の殺し方で殺害したと多くの人が思ったようです。

事件の7年後、日本の週刊誌に容疑者が浮上したとの報道がなされました。それによるとその人物は当時、筑波大学に短期留学していたバングラディッシュ人の学生で、助教授の遺体発見当日の昼過ぎに成田からバングラディッシュに帰国していたそうです。しかし、当時の警察は個人的な怨恨による人物の犯行の線も否定できないとして、犯人像をイスラム教徒に絞り込むことはできないとしていました。そして、犯人を特定できないまま15年の月日が経ち、2006年7月11日に公訴時効が成立し、未解決事件となってしまったのです。

学校での防犯とエレベーターでの防犯対策

結局この事件は犯人の特定ができずに時効を迎えてしまいました。こうした事件に巻き込まれないためには、学校による防犯対策と1人1人における学校内やエレベーター付近での対策が大切となります。学校としては次のような対策が必要となるでしょう。

危機管理体制をしっかりと作り、全職員が強い意識をもって取り組む。
 安全マニュアルを作るだけではなく、実際に訓練をおこなう。
 防犯カメラや防犯システムを導入し活用する。
 来校者には目を合わせての声掛けを徹底する。

1人1人としては次のような対策が必要です。

エレベーターに乗ると密室になるため、乗る前には周囲を確認して怪しい人物と2人きりにならないようにする。
・エレベーター内では、いつでも停止ボタンや緊急ボタンが押せる位置に立つようにする。
・少しでも怖いと感じたらボタンを全部押して外にでる。
・防犯ブザーや防犯ホイッスルを携帯し、いつでも鳴らせるようにしておく。
・学校内だからと油断せずに、いつ何があるかわからないことを頭の隅に置いておく。

まとめ

この事件は本を翻訳したことにより逆恨みをされて起きた事件と考えられ、ある意味特殊な事件といえるかもしれません。しかし、未解決事件となり真相はわかりませんので、自分とは関係ないとは思わずに防犯対策をする必要があります。いついかなる時に何がおこるかわかりませんので、自分のできる防犯対策をして、より良い生活を送っていきましょう。

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