【7月23日の事件】身勝手な動機で機長が犠牲になった全日空61便ハイジャック事件

今から20年前の7月23日、全日空61便ハイジャック事件が起きました。この事件は日本で起きたハイジャック事件で初めて人質が亡くなった事件です。今回はこの事件を紹介するとともに、飛行機や海外旅行での防犯対策についても紹介していきます。

全日空61便ハイジャック事件の概要

1999(平成11)年7月23日、午前11時23分羽田発新千歳行きの全日空61便ジャンボ機は定刻より約30分遅れで羽田空港を離陸しました。夏休みということもあり、乗員14名のほか満員に近い503人の乗客が乗っていたそうです。離陸直後に搭乗していた男が大声を上げながら立ち上がり、持っていた包丁で客室乗務員を脅してコックピットに行くように指示。11時25分地上管制に機長からハイジャックされたとの連絡が入りました。

犯人の男はコックピットに侵入したあと機長へ横須賀への飛行を指示し、機長らはそれに従いました。また、このとき犯人の男が降下しろとも指示。ヘリコプターが飛行するような高度まで高度を下げて横須賀方面へ飛行しました。その後犯人は伊豆大島方面への飛行を指示して11時38分に副操縦士をコックピットから出し、機長と2人でコックピットに留まりました。

犯人は目的地を横田基地へと変更し、機長に対して自分に操縦させろと指示。機長はその要求に対して犯人の男をなだめようとしますが、犯人の男は機長を刺して自ら機体を操縦しようと操縦席に座り操縦します。機体は横田基地付近で急旋回し、南下を始めるとともに、急降下をするなど迷走飛行。急速に高度を下げたことから地上接近の警告音が鳴り響きます。危険を感じた副操縦士と千歳出発便の乗務で乗り合わせていた機長、それに乗客からの協力者数名がドアを蹴破ってコックピットに突入。犯人の男を取り押さえて、近くの座席に縛り付けました。

副操縦士と乗り合わせていた機長が機体をコントロールし、急上昇させて高度を確保しました。刺された機長は首などを刺されていて、その場で乗客の1人だった医者によって死亡が確認され、午後12時14分に61便は羽田空港に緊急着陸。犯人の男はハイジャック防止法違反の容疑で逮捕されました。

犯人と裁判

犯人の男は調べに対し「ジャンボ機を自分で操縦してみたかった」「レインボーブリッジをくぐりたかった」「宙返りやダッチロールをしてみたかった」などと供述。小学生の頃いじめに遭い名門の中学・高校を卒業後大学に進学し、この頃羽田空港でアルバイトをしていた経験がありました。大学卒業後に就職しましたが、人間関係がうまくいかずに退職。家で引き込まっているときにネットで羽田空港の警備体制の欠陥に気づき、航空会社などに手紙を送ると同時に自分を警備員として採用するように求めます。そんな要求が通るはずもなく、断られてハイジャックを計画したそうです。

1999(平成11)年12月20日、初公判がおこなわれハイジャック防止法と殺人罪、銃刀法違反の罪に問われました。そして、2005(平成17)年3月23日、東京地方裁判所は男に無期懲役の判決を言い渡し、控訴せずに1審で刑が確定しました。

飛行機や海外旅行での防犯対策

今回紹介した事件は飛行機におけるハイジャック事件でしたが、飛行機内で起こる犯罪はこれだけではありません。また、海外旅行先で犯罪に巻き込まれるケースも多々あります。窃盗や痴漢など、さまざまな犯罪が起きているのです。飛行機内や海外旅行先での防犯対策は次の通りです。

飛行機に乗ったら座席上部に入れるスーツケースやカバンの中には貴重品を入れない。
・機内に持ち込むカバンには鍵を付ける。
・トイレに行くときなど貴重品は肌身離さず持って行く。
・飛行機内で熟睡する場合は、貴重品を首から下げてさらに服の中に仕舞えるようにする。できればスリ対策用のシークレットウェストポーチなどを使う。
・痴漢防止のため飛行機に乗ったら、自分の周りにどんな人が乗っているかを確認する。
・飛行機に乗る時は肌の露出が少ない服装で乗るようにする。
・飛行機で寝るときは毛布などに包まって身を守るように寝る。また、持ち込める範囲での武器になる物を持って寝る。例えばボールペンなど。
・海外旅行で街を歩く時は財布を複数持つなどして、現金を分けて持つようにする。普段使う財布には小銭など必要最低限の現金しか入れない。
・置き引きやスリには十分に気をつける。
・日本を出発する前に現地の危険なエリアを調べておき、興味範囲では絶対に行かない。
・ホテルについても部屋に着くまでは油断することなく、警戒心を持って行動する。

まとめ

今回紹介したような飛行機でのハイジャック事件に遭遇することは、ほとんどないかもしれません。しかし、飛行機内での窃盗や痴漢、海外旅行先での被害は結構あります。油断することなく自分のできる範囲での防犯対策をしっかりとして、楽しい海外旅行にしましょう。

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