【Paskel】創業73年。老舗のアクセサリー会社がオシャレな防犯ブザーを作った理由【1】

女性が持ちやすいオシャレな防犯ブザー「Paskel」を愛知県警監修のもと、地元の企業、学生と一緒に作った株式会社ミレーヌの土屋崇幸さんに、製品の開発コンセプトや特徴について教えていただきました。(全3回)

まず、「パスケル」とはどういった製品か教えていただけますか?

土屋さん:
Paskel(パスケル)のコンセプトは「大人の女性のための防犯ブザー」です。

防犯ブザーの所持率は、小学生低学年がほぼ100%に対して、大人になるにつれて下がっていきます。また、防犯ブザーを鳴らすと87%の犯人が逃げるという調査結果もありますが、防犯ブザーの効果を知らない人もたくさんいます。
どうしたら、大人の女性が防犯ブザーを持ってもらえるかアンケートを取り、愛知県警を中心に、愛知県下の企業、大学生、高校生、産官学共同のプロジェクト作った、全く新しい防犯ブザーです。

防犯ブザーを大人の女性が、持たないということで、成人女性にアンケートを取りました。すると、「防犯ブザーを持とうと思った事がない」、「防犯ブザーを持つと、意識過剰に思われないか」、「誤作動が怖い」、「子供が持つもの」、「かわいい物が無い」など、色々な意見がありました。

愛知県警の報告によれば、平成30年度中の女性に対する声かけ・つきまとい等の被害者(学職別)は上図の通り。社会人の被害者が半数を占めている。

アンケートを参考に、防犯ブザーを常に持ち歩いてもらうためには、どうしたら良いか考え、オシャレで多機能な商品としました。

パスケルを開いていただくとわかるのですが、ICカードや電子マネーカードが入れられるスペースがあり、ちょっとしたお出かけのときや、通勤通学の時に使っていただける物になっています。

さらに、ケースの内側にコインや常備薬を収納できるポケットを付けることによって、持ち歩きに便利なものになっています。

ブザーの特徴としては、「押し型」の防犯ブザーにしました。通常の防犯ブザーは紐を引いて音を鳴らす「引き型」のタイプが多いのですが、このパスケルはボタンを押して音を鳴らします。
引き型の防犯ブザーだと、どこかに引っ掛けたりして、誤作動を起こす可能性が多いのですが、パスケルのボタン部分は、凹み加工やカバーとボタンの間に段差を付けることによって、間違えて押してしまうといった誤作動を起こすことが極めて少ない形状にしています。
実際、私自身も半年程カバンの中に入れて持ち歩いていますが、誤作動はないです。また、万が一誤作動で音を鳴らしてしまっても、ボタンを押せばすぐに音が止められる仕様になっているため、誤作動が起きたとしても冷静に対処ができるといった意見も頂いています。

編集者:
たしかに、紐を引くタイプの防犯ブザーだと、間違えてどこかに引っかかって紐を引っ張ってしまった場合、その紐を探さなければいけないことに加え、音も止めたいし、焦ってしまいますね。その点でいうと、パスケルはボタン型で、ボタンを押せば音が止められるのはとてもいいと思いました。

土屋さん:
また、このブザーは「警戒音」と「メロディ音」の2音が鳴るようにしています。警戒音は、電車の1車両全体に聞こえる程度の音になっており、もう1つのメロディ音は、車両半分くらいの人に聞こえる程度の音になっています。実際の音量は変わらないのですが、周波数を変えることによって、音の届く範囲を変えています。

警戒音とメロディ音の2つを出せるようにした開発経緯としては、防犯ブザーをパスケースとして持ってもらおうと考えたときに、電車内の痴漢被害に対応できるようにしようと思ったからです。近くの人が気づくぐらいの音の大きさで、行為を止めてもらえるような「困ってます音」があると良いと思いました。
路上で被害に遭った時には大音量を出してもらえればいいのですが、電車内などの狭い空間だと音を鳴らすのに抵抗があるという方もいらっしゃいます。そこで、ちょっとした音を出すことで、周囲の人の注目を浴びることによって、行為を止めてもらうことを考えてメロディ音を作りました。

編集者:
防犯ブザーで2音鳴らすというのは、あまり聞いた事がないといいますか、見かけたことがないのですが、その周波数を変えることや、2音にするといったアイディアは、どこから生まれたのですか?私たちが防犯ブザーを探すとなると、音量(デシベル)が大きいものや防水効果のあるものなどが挙げられると思うのですが。

土屋さん:
これは、愛知県警さん、ヤサカインダストリーズ(防犯ブザー開発会社さん)、我々で会議をした際、パスケース型の防犯ブザーを作るならば電車内での痴漢に対応することをメインとしたものを考えようという話が出たことに始まります。パスケルの構想を練り始めた頃は、「世界一音の小さい防犯ブザー」という感じの案も出ていました。

編集者:
音を小さくするという、従来の商品とは逆の発想だったんですね。

土屋さん:
そうなんです。電車の中での痴漢被害は、弊社のある名古屋市内ではけっこう多いです。名古屋の地下鉄で痴漢を撃退するものを作ったらどうだろうか、ということで作成してみました。
ただ、やはり「防犯ブザー」という名前が付くのに路上で使えない小さな音しか出ないのはダメじゃないかという意見もありました。

実際、愛知県警さんが実施したアンケートでも、被害に遭う場所の多くを占めていたのは路上でした。

愛知県警の報告によれば、平成30年度中の女性に対する声かけ・つきまとい等の狙われる場所は上図の通り。道路上の被害が半数以上を占めている。

この結果も受け、電車での痴漢被害にも、路上での被害にも対応するために2つの音を用意しようということになりました。そして、ボタンの押し方によって防犯ブザーの音が変わる今の形に落ち着きました。

パスケルのようにボタンを押して音を出すタイプの作りだと、マイコンという小さなコンピュータによって音を制御することになります。そのため、様々な音をコンピュータにプログラムし、出力する事が可能になります。
なので、警報音と現在のメロディ音だけではなく、音楽をプログラムすることもできます。こういった特徴を活かせば、例えばパスケルでコンサートグッズを作ればより女性への認知拡大に繋がるのではないかと思っています。
でも、現在企画中のコンサートグッズには開発が間に合わないですが、いつかは実現したいですね。

編集者:
それはとてもいいアイディアですね!女性は、防犯ブザーは自分好みのものがないから持たないという人や、そもそも防犯対策をしていないという人が多いと思います。そのような中で、自分の好きな歌手やグループのもので、なおかつコンサートグッズとして売っていたら面白がって手に取ると思います。

土屋さん:
女性により気軽に手に取ってもらえるように、こういう新しい広め方も合わせて進めていけたらと思っています。ただ、「危険を回避するアイテムでありながら楽しさを求めていいのだろうか」という思いもあります。

編集者:
そうですね、たしかに賛否両論の意見があると思います。ただ私は、ライブのコンサートグッズだと多くの女性の手に防犯ブザーが届くのではないか、という考えはとてもいいなと思います。防犯を意識していなくても、自分の好きな物に防犯要素があり、自然と対策につながることは素敵なことだと思うので、ぜひ実現していただきたいです。

土屋さん:
「防犯ブザーを普及させ女性の安全を守る」がプロジェクトメンバーの想いです。そこで私たちが出来ることを考える中で、お話しした販売方法が浮かんできました。

今回インタビュー受けてくださった株式会社ミレーヌの土屋崇幸さん

Index

まとめ

第1回では、どういった経緯で女性のための防犯ブザーが作られたのか、そして製品の特徴についてもお話ししていただきました。防犯ブザーがコンサートグッズになったら、防犯に関心がない人でも持ち歩くきっかけになりそうで魅力的だなと思います。ぜひ実現してほしいですね。

第2回では、パスケルを作る上で一番力を入れた部分や、開発体制についてお話ししていただいてます。ぜひ、続きもお楽しみに。

Moly.jp編集部

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