SNSで話題沸騰中の「痴漢レーダー」とは?【開発者&専門家コメントあり】

梅雨も明け、いよいよ夏本番の暑さがやってきました。外出の際はなるべく薄着で涼しく過ごしたいと考えている方も多いでしょう。

毎年薄着の季節になると増えてくるのが痴漢です。痴漢は通年で存在する迷惑行為ですが、夏は特に被害が増えます。原因ははっきりとは分かっていませんが、やはり薄着だとボディラインが強調されたりすることが大きいのかもしれません。

そんな痴漢が増えるこの時期に、SNSで話題になっている痴漢撲滅サービスがリリースされました。
その名も「痴漢レーダー(ChikanRadar)」です。このサービスは従来の痴漢撃退アプリとはかなり性質の異なる痴漢抑止サービスとなっています。
今回は、この痴漢レーダーについて見ていきましょう。
開発者の方や痴漢問題の専門家、痴漢抑止バッジの普及活動を行なっている方からコメントをいただきましたので、ぜひ最後までお読みください!

痴漢レーダーとは

まず、痴漢レーダーのサービスについて簡単に説明します。
※詳細な説明や使い方は開発者のnoteをお読みください。

痴漢被害が多い駅をマップやランキングで確認できる

(上記画像は痴漢レーダーのサイトから引用)

痴漢レーダーは、LINEで友だち追加をすることですぐに使用できます。どこの駅で痴漢被害が多いのかをすぐ確認することができ、痴漢が出没しやすい駅が分かるようになっています。
痴漢被害は暗数(警察に報告されない被害数)が非常に多いと言われているため、このサービスによって痴漢被害の実態が分かることが期待されます

痴漢被害を通報できる

ランキング確認画面から、痴漢をすぐに通報できるようになっています。「通報する」をタップすると、位置情報を基に自動的に現在地の駅で通報が登録されます。発生日時も記録されるため、被害に遭ったらすぐに通報することでより正確なデータを届けることができます。

報告された被害のデータの使われ方

サービスを通じて収集されたデータは、痴漢撲滅のために以下の用途での使用を想定しているとのことです。(2019年8月6日時点)

パトロールの強化

痴漢被害が多い駅や時間帯が数値で分かるため、警察や鉄道会社に対して効果的なパトロールを要請することができます。これにより痴漢被害を減らすことにつながり、安心して鉄道を利用することができるようになります。

監視カメラ設置

痴漢被害が可視化されることで、駅構内や車両に監視カメラを設置してもらうようにお願いすることができます。これまで鉄道各社は警察が発表した痴漢被害のデータを基にして監視体制を決めていたと思われますが、暗数も含んだ被害数を考慮することで、本当に監視を強化すべき駅が分かるようになります。

使用してみての感想

今回記事を書くにあたり、実際に使用してみました。まだリリースされて間もないサービスなので、これからさらに機能が充実していくと思いますが、現時点での良い点・改善点など思ったことを書きます。

良い点

使い始めやすい

こういったサービスは登録や認証が面倒なイメージがありますが、LINEで友だち追加をするだけですぐに使用できるというのはとても簡単でいいと思いました。被害報告もLINEからランキングページに飛び、報告ボタンを押せば完了というシンプルさなので、心理的なハードルも低いと思います。

防犯意識を持ちやすい

痴漢被害に遭ったことのない方も友だち追加をしておくことで、どこで特に気をつければいいのかが把握できるため非常に効果的だと思います。被害に遭う人に責任があるとは思いませんが、痴漢が発生しやすい駅だから女性専用車両を利用するなどの対策につながりやすいと思います。

改善点

生活圏以外の駅がランキングに入ってしまう

現在のランキング表示では、全国の駅が全て同じランキング上で表示されているため、自分とは関係のないデータも含まれています。都道府県ごとにランキングが表示されると、より注意しやすくなると思いました。

時間帯データも欲しい

被害が報告された駅が分かるのは非常にありがたいですが、せっかく被害が報告された時間も記録されているのなら、時間帯別の被害発生状況も分かると対策がしやすいと思います。

複数の路線がある駅では、何線で発生したのかまで分かるようにしたい

例えば池袋駅で被害数が5件あった場合、「丸ノ内線での被害2件、埼京線での被害3件」というように、路線ごとに被害が分かるとより使いやすいと思います。
この辺りは徐々にアップデートされていくと思うので、さらに使いやすくなるように期待しておきましょう!

Twitterの反応

開発者コメント

痴漢レーダーの開発者である、株式会社キュカのNariさんにコメントをいただきました。

痴漢レーダーは、皆様に使って頂くことで、その声が力になるプロダクトです。痴漢被害者の泣き寝入りが9割というデータがありますが、痴漢レーダーのまだ利用者が初速にも関わらず、この伸びですと、9割以上の方が泣き寝入りだったのでは無いかという勢いです。被害を受けた方は、ショックなどの恐怖やこれまでの経験を通した無力感で、通報されていらっしゃらないようですが、痴漢レーダーであれば、簡単にその被害を残す事が出来ます。
また、男性も被害に遭うという話しを、聞きますがこうした声も、これまでは、表面化しづらかったと思います。ひとりひとりの声で解決に向かうことが難しくても、みんなの声としてビッグデータを根拠として、改善アクションを起こしていくことが出来るはずです。どうぞ、被害を受けた方、見かけた方、簡単な通報アクションで、痴漢被害の可視化ビッグデータにご協力頂けるようお願い致します。

痴漢抑止活動センター代表・松永弥生さんコメント

痴漢抑止バッジの普及活動をしていらっしゃる一般社団法人痴漢抑止活動センター代表の松永弥生さんからも、痴漢レーダーについてコメントをいただきました。

痴漢レーダーの取り組みはとてもよいと思います。痴漢問題は男女で情報量がまったく違うこともあり、大半の男性が女性だけの問題だと思ってしまっている現状があります。

私自身、小さい頃から痴漢の被害に遭っていたこともあり、世の男性のほとんどは痴漢をしていると思っていました。痴漢抑止の活動をするようになってから、男性の大半は痴漢をしないと知ったほどです。だからこそ、痴漢に遭っている人はごく一部だと思われている社会の課題意識と向き合うようになりました。実際は、今日の朝だって膨大な数の痴漢被害者が生まれています。しかし、その感覚の大きさは可視化されていません。

まだこのサービスは生まれたてで利用者が少ないため、被害の全容は明らかになっていないと思います。しかし、これから利用者が増えて蓄積されたデータがリアリティを持ってくると、世間の痴漢への課題意識を高めることにつながります。そして、社会側がその課題に真剣に向き合い、応えていくきっかけになるのではないかと期待しています。

「男が痴漢になる理由」(イースト・プレス)著者・斉藤章佳先生コメント

性犯罪再発防止プログラムを日本で先駆的に実践する大森榎本クリニック精神保健福祉部長で、「男が痴漢になる理由」の著者である斉藤章佳先生からも、痴漢レーダーについてコメントをいただきました。

今回発表された痴漢レーダーは、痴漢を可視化するという今までありそうでなかった画期的なサービスです。特に、注目しているのは泣き寝入りが多いこの犯罪の暗数を「見える化」できるというところです。ご存知のとおり、痴漢に限らず性犯罪は暗数が大多数を占めています。痴漢に限って言うと、2012年の警察庁の統計では痴漢行為による検挙件数は4250件にのぼると報告がありますが、通報する被害者の数は1割程度と考えられています。臨床的な感覚では、少なく見積もってもこの20倍以上の被害が存在すると考えています(約10万件程度)。

本サービスと専門治療の連携に関して言うと、実際に彼らにもこのサービスを利用しててもらって痴漢発生件数の多い通勤経路は避けて生活してもらうというのがひとつのコーピング(リスクへの対処行動)になります。また、本サービス以外にも痴漢抑止バッジなど痴漢を防ぐためのツールが世間に広く知られることで、「社会問題としての痴漢」という意識が高まり、被害者、加害者以外の第三者(サイレントマジョリティ)への注意喚起にも効果を期待しています。

近い将来、本サービスと専門治療との連携が何らかの形で実現できれば痴漢の被害も加害も生み出さない社会の実現にまた一歩近づけるのではないかと期待しています。

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出典:Amazon

斉藤章佳
男が痴漢になる理由
イースト・プレス

まとめ

痴漢被害に遭っている人が声をあげやすい環境を作っていくことは、被害を減らしていくために必要なことだと思います。痴漢レーダーは被害報告の心理的なハードルを下げることで、これまで自衛に頼っていた痴漢という社会問題をみんなで考えるきっかけになると思います。行政や鉄道会社を巻き込んで、問題解決に向けて協力体制が整うといいですね。

痴漢レーダーを使ってみたいという方は、こちらのリンクから確認してください。

 

編集ログ:2019.8.7 11:30 斉藤章佳先生のコメントを追記しました!

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