そんな罪名があるの?お墓や葬式に関する“珍しい”法律5選

お盆の時期になり、皆さんも実家に帰省してお墓参りに行ったりすると思います。
実は日本の法律では、お墓やお葬式について刑法で定められています。日本国憲法第20条で「信教の自由」が保障されていることから、国民の宗教的感情を害さないためにも刑法で罰則を設けることにより、健全な宗教的風俗や感情を保護しています。
では、どんな法律があるのか見ていきましょう。

礼拝所不敬罪

刑法188条1項では、以下のように定められています。

神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

多くの場所が処罰の対象になりうる

神道、仏教をはじめとして、宗教的崇敬を捧げる場所において不敬な行為をした場合、罪に問われます。建物である必要はなく、実は結構多くの場所が該当すると判断されています。具体的には、「ひめゆりの塔」や「那智の滝」なども礼拝所にあたるという判例があります。

ちなみに那智の滝が礼拝所にあたると判断されたのは、有名な登山家3人が那智の滝でロッククライミングをした際に、軽犯罪法違反(禁止区域への立ち入り)で逮捕された事件の時です。その後、彼らは礼拝所不敬罪などで書類送検されました。

墓地で立ちションは処罰対象?

墓地は基本的にあまりトイレが設置されていないため、男性の場合は陰で立ちションをして済ませたことがあるという方もいると思います。

そもそも立ち小便は軽犯罪法違反に該当するため、基本的にやってはいけないのですが、公衆が集まる場所でなければ適用外になります。つまり、人目につかない場所であれば一応はセーフということになりますが、墓地では礼拝所不敬罪にあたるおそれがあります。

礼拝所不敬罪で定められている「公然と不敬な行為をした者」とは、例えばお墓を壊したり、倒したり、汚したり、持ち去ったりする行為などを指します。これ以外にも宗教的崇敬の対象物に対してその尊厳を害すると思われる行為全般が対象になります。

たとえば酔った勢いで鳥居をよじ登ったりすると、それも不敬行為と判断されることがあります。また、罪には問われませんが、子どもがお墓や神社で色々と触って歩いたり、座ってはいけない場所に座らせておくのも良くないです。様々なトラブルに繋がることも多いので、注意してください。

説教等妨害罪

刑法188条2項では、以下のように定められています。

説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

宗教行事を妨害した際に適用されます。非常にレアな罪のため、判例を見つけることはできませんでした。おそらく、弁護士でもこの法律を扱ったことのある方はいらっしゃらないのではないでしょうか?

例えば恨みを持っている人の葬式に参加して、騒いだりすることのようです。その他にもイスラム教のお祈りの時間を妨害するのも罪に問われそうです。

もしかしたら、葬式や礼拝の妨害はこれまでもあったのかもしれませんが、住居侵入罪や器物損壊罪など他の罪で立件されているのかもしれませんね。

墳墓発掘罪

刑法189条では、以下のように定められています。

墳墓を発掘した者は、2年以下の懲役に処する。

墳墓とは、人の死体・遺骨・遺髪などを埋葬して死者を祭り、礼拝の対象となる場所を指します。あくまでも人のお墓に限り、ペットのお墓には適用されないようです。

また、墓石や墓標がなくても、人が埋葬され、人々が礼拝の対象としている場所であれば適用されるようです。

稀に刑事事件の捜査のために墳墓を発掘して遺体を調べることがありますが、こういったケースは刑事訴訟法222条1項と129条で認められています。捜査のためなら許可されるということですね。

その他、お墓を別の場所に移動したり、違う納骨堂に納めるために墳墓を発掘する必要がある場合には、市町村長の許可を得る必要があります。勝手に掘り返すと処罰の対象になりうるので、もしお墓のお引越しを検討中の方がいたら注意してくださいね。

死体損壊等罪

刑法190条では、以下のように定められています。

死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

遺体を損壊する以外にも、遺骨や遺髪などを損壊した場合も該当します。こちらの罪は判例を検索したところ、多くのケースで殺人、死体遺棄もセットになっていました。他の例では、殺害した後に家に火をつけたことで、殺人、現住建造物等放火、死体損壊の罪が適用されたケースも存在ました。

死体損壊罪のみが問われているケースは見つかりませんでした。さすがにこの罪が単独で適用されることはないのかもしれませんね。

変死者密葬罪

刑法192条では、以下のように定められています。

検視を経ないで変死者を葬った者は、10万円以下の罰金又は科料に処する。

この変死者密葬罪は、宗教的な感情を保護するために制定されている法律ではなく、変死者に関する犯罪捜査を妨害することを防ぐためのものと考えられています。

こちらの罪も判例を見つけることはできませんでした。

また、変死者の定義についても非常に古い裁判(大審院判決大正9年12月24日)で判示された「不自然な死亡を遂げ死因の不明な者のみを指す」というものしかありません。

変死者、もしくは変死の疑いがある死体は、刑事訴訟法229条により検視をしなければならないと定められています。発見者は自己が所有する土地でない限りは届出の義務はありませんが、死体をむやみに動かしたりするのは軽犯罪法違反になるので注意してください。

まとめ

お墓や葬式に関する法律をご紹介しました。

どの法律も定められているものの、実際に適用された事例は少ないです。信教の自由を保護するために制定されていると考えられていますが、適用されるような行為がなければその方がいいです。

日本は無宗教の人が多いと言われています。外国人の方も増えてきているので、互いの宗教的文化や慣習を尊重して暮らしていきましょう。

Moly.jp編集部

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