【8月13日の事件】男は50年も無実を叫び続けた。世紀の大冤罪「吉田岩窟王事件」とは

今から106年前の8月13日に吉田岩窟王といわれる事件が起きました。岩窟王とはアレキサンドル・デュマの名作「モンテクリスト伯」に由来する言葉です。今回はこの事件を紹介するとともに、路上で起こる強盗や殺人事件に巻き込まれないための対策を紹介します。

吉田岩窟王事件の概要

吉田岩窟王事件は1913(大正2)年8月13日の夜、現在の名古屋市千種区の路上で起きました。繭仲介人の男性が何者かに襲われ鈍器で頭を殴られて殺害され、現金1円20銭を奪われたのです。翌日にこの事件の被疑者として2人の男が逮捕されました。この2人は別に主犯がいるとして、吉田という男性が逮捕されたのです。しかし、実際にはこの供述は2人の犯人が自分たちの罪を軽くするために、まったく無関係の吉田に罪をすりかえたものでした。

当時の捜査当局は自白偏重主義で、その2人の男の虚偽を信じてしまい吉田に拷問を加え自白をさせようとしますが吉田は終始否認。しかし、1審では2人の男に無期懲役、吉田には死刑が言い渡されます。吉田は控訴してさらに裁判をおこないますが、それでも無期懲役が確定してしまうのです。

岩窟王と言われた所以と無罪を勝ち取るまで

吉田は獄中からアリバイの成立を主張して2度再審請求をおこないますが破棄。それでも無実を訴えて獄中で暴れるなどして、その度に懲罰を受けていました。そして何度も刑務所を移りますが、吉田の態度は変わらず一貫して無実を主張していました。そして、最後に移った秋田刑務所の所長がこの事件の不審な点について調べ直し、吉田が関与していないことに気づきます。所長は吉田の仮出所の手続きを試みて、吉田に再審請求をすすめます。

吉田は1935(昭和10)年3月に仮出所し自分を陥れ、先に仮出所していた2人の男を探しだして、虚偽の自白をしたことを認める詫び状を翌年の11月に受け取りました。吉田はこの詫び状をもとに3度目の再審請求をおこないますが、これも棄却されてしまいます。その後第二次世界大戦に突入しますが、その間も吉田は疎開先の栃木県から無罪を訴え続けました。

戦後になり1952(昭和27)年6月には新聞社や弁護士にも訴えて、1958(昭和33)年に4度目の再審請求をおこないますが、またも棄却。吉田は最後の手段として法務省に向かい法務大臣に直訴を試みますが大臣との面会は拒否されてしまいます。しかし、その際対応した法務省刑事局参事官が吉田の主張に一貫性があり信用しうるものと判断して、弁護士会館の日本弁護士連合会人権擁護部へ案内してくれます。そこで面会した日本弁護士連合会の関係者が吉田の資料を精査し動き始めると世論の関心も高まり、結果最終的に1962(昭和37)年に名古屋高等裁判所第4部で再審公判審理が開始されるのです。

そして、翌年の1963(昭和38)年2月、名古屋高等裁判所第4部は吉田のアリバイが成立することを認めて無罪判決を言い渡します。この判決文の冒頭で半世紀にも及ぶ無実の叫びに「モンテクリスト伯」に出てくるエドモンド・ダンテスと重ねられ昭和の岩窟王と称され、最後には冤罪に対する謝罪がおこなわれました。裁判所が謝罪するのは極めて異例なことでした。吉田はその後、不当に身柄を拘束された約21年の月日に対し、1日辺り、今でいう300万円相当が支給されることになりましたが既に高齢で体力も衰えており、判決から9カ月後に老衰と肺炎のために永眠。栃木の墓には「人権の神ここに眠る」と刻まれているそうです。

路上での強盗や殺人事件に巻き込まれないための対策

今回紹介した事件は大冤罪事件でしたが、もともとは路上で起きた強盗殺人事件でした。現代でも特に女性が路上で襲われるという事件が頻繁に起きています。ここでは路上で事件に巻き込まれないための対策を紹介します。

夜間の1人歩きはなるべくしないようにする。やむを得ない場合は人通りが多く明るい道を歩くようにする。
外を歩く時はイヤホンで音楽を聞きながら歩いたり、スマートフォンをいじりながら歩いたりしない。
常に防犯ブザーやホイッスルを持ち歩き、いつでも鳴らせる練習をしておく。
一歩外に出たら何があるかわからないということを頭の隅で考えておき、常に警戒心を持っておく。
特に銀行やコンビニでお金をおろしたあとは警戒心を高める。
道を歩いているとき少しでも怖いと感じたら、近所の家や店に飛び込む。
停まっている車の中に人がいる場合は、ある程度の距離を保って通り過ぎる。

まとめ

今回紹介した事件は強盗殺人事件の冤罪でした。なかなか普段から路上で強盗殺人事件に巻き込まれることは想像しにくいですが、その他にも路上では痴漢や強制わいせつなど女性が被害にあってしまう事件が多く発生しています。最後は自分の身を守るのは自分ですので、普段から防犯意識を持って、できる限りの対策をしていきましょう。

Moly.jp編集部

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