実態が不明な障害者たちの犯罪被害。社会全体でできる防犯を考える

今回は、「障害者の犯罪被害の実態」(*1)から、いまだはっきりと調査が行われていない障害者への犯罪の実態についてと、それを防ぐための「障害者を対象とするウェアラブル防犯カメラシステムの検証・評価に関する研究」(*2)についてご紹介します。

街なかで女性を狙ってわざとぶつかってくる男性がいます。また、痴漢もおとなしそうな女性を狙うことが多いという傾向もあるようです。これらに共通するのは、自分よりも弱そうな相手を狙って犯罪行為を行う、という点です。

では、同様に社会的弱者とされる障害者の実情はどのようになっているのでしょう。

障害者もやはり、身体的な障害を持つ人も、発達障害や自閉症といった知的障害に含まれる人も、犯罪のターゲットにされることは多いようです。

2016年に起きた相模原市の障害者施設での殺傷事件で、抵抗する力の弱い障害者への暴力が一時的にクローズアップされました。しかし、日常での被害の実態はあまり知られていません。調査によると、暴力を受けたり、詐欺にあったり、痴漢にあったり、被害は少なくないようです。

しかも、障害者であるために狙われたと考えられる事例も少なくありません。また、知的障害の影響で被害内容を他人に上手く伝えられないこともあり、泣き寝入りせざるを得ないことも多いようです。

表1.犯罪被害(未遂を含む)の聞き取り結果

表1は村上佳司他(2018)「障害者の犯罪被害の実態」より

また、障害があるため、一般的な防犯グッズなどによる防犯が難しいのも確かです。

犯罪者に狙われてしまったときに被害を避けることが難しい、または被害の状況や犯人についての証拠を残すことが難しい障害を持った人たちが被害にあうことを減らすための、ウェアラブル防犯カメラの開発も行なわれています。カメラを身に着け、リアルタイムで映像をサーバーにアップロードするものです。犯罪発生時には犯人特定の手掛かりとなりますし、それ以前に抑止効果も期待できます。(2)

とはいえ、障害者との関わり方、手助けの仕方が一般に浸透していないことも、障害者が犯罪被害にあいやすいことの大きな原因です。防犯という分野では、女性や子どもといった比較的力の弱い人たちや、旅行者などの情報や知識に乏しい状態にある人たちが対象として語られることが多くなっていますが、障害者の人たちも忘れてはならないでしょう。

■参考文献
(1)村上佳司・堀清和・宮田美恵子・鈴木彬文(2018)「 障害者の犯罪被害の実態」『学校危機とメンタルケア 第10巻』大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター

(2)服部有里子(2018)「障害者を対象とするウェアラブル防犯カメラシステムの検証・評価に関する研究」『 筑波技術大学テクノレポート 26巻』筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会

Moly.jp編集部

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