【今日の事件簿】「池袋の通り魔事件を意識した」と供述した、下関通り魔殺人事件とは

今から20年前の9月29日、下関通り魔殺人事件が起きました。この事件では犯人が公判で数週間前に起きた池袋での通り魔事件を意識したと供述しました。今回はこの下関通り魔殺人事件を詳しく紹介していきます。

下関通り魔殺人事件の概要

1999年9月29日午後4時25分ごろ、1台の乗用車がJR下関駅の東口駅舎のガラスのドアを突き破って駅構内に侵入しました。売店や多数の利用客がいるなか約60メートルにわたって暴走し7人をはね飛ばします。その後、車の中から包丁を持った男が出てきて改札を通り2階のプラットホームへと向かいました。その途中の階段で1人を切りつけ、プラットホームに上がったあとも7人に対して次々と切りつけます。男は駅員に取り押さえられ、山口県警察鉄道警察隊に現行犯逮捕されましたが、5人が死亡し10人が重軽傷を負いました。

犯人の男の素性と動機

犯人の男は逮捕当時35歳。下関市生まれで地元の高校を卒業したあと、1年浪人して大学に進みます。大学では思い切り遊ぼうと考えていたらしいのですが、入学してみると周りの人すべてが自分のことを嫌っているのではないかと思うようになります。大学卒業後は人間関係が嫌いという理由から、就職しませんでした。両親は心配になり東京と福岡の病院に入院させ治療をさせます。その後、福岡の設計事務所に就職。この事務所の従業員は所長と2人だけであっため、人間関係に悩まされることはありませんでした。

時が経ち一級建築士の資格を取ったのをきっかけに、男はこの職場を辞め父親の援助を受け自分の設計事務所を設立。結婚相談所で知り合った女性と結婚もしています。妻となった女性は保母をしていましたが二級建築士の資格を取って男を支えました。しかし、男の元々持つ人間関係に対する不安から、次第に営業不振に陥り事務所を閉鎖。男は新婚旅行で行ったニュージーランドへの移住を考えます。その資金集めにと男だけ実家へ戻りフランチャイズの軽貨物輸送の仕事を始め、開業のために車も購入しました。

妻は男が実家に帰ってしまったため、ニュージーランドへ行ってしまいます。そして、ニュージーランドから帰ると男に離婚を迫りました。男は懸命に説得を試みますが結局物別れに。それでも男は自分だけでもニュージーランドへ移住しようと仕事に励みます。しかし、台風によって仕事で使っていた車が冠水し故障。ローンだけが残りました。何をやっても上手くいかないと、父親にローンの肩代わりと移住資金30万円を貸してくれと頼みますが、父親は拒否。家の車を貸すから自分でローンを返すようにと言われてしまいました。

こうした災難や、人からの仕打ちから男は社会に対して憎悪の念を抱くようになります。そして、社会にダメージを与えてから死んでやろうと、通り魔大量殺人を企てるのです。当初は犯行日を10月3日に決め自宅のカレンダーに「スクランブル・アウト」と書いていました。なぜ犯行日が4日前の9月29日になったかというと、この日に親から冠水した車の廃車手続きを自分でするように言われ、腹を立てたからだそうです。

裁判とその後

1999年12月からおこなわれた裁判では男の犯行時の責任能力の有無に焦点が当てられました。弁護側の申請した鑑定医によると事件発生時、男は心身耗弱状態にあったと指摘。一方検察側が証人として申請した鑑定医は、事件当時の男の責任能力を認め、検察は男に死刑を求刑しました。男は公判の中で犯行に車を使った理由について、この事件の約3週間前に起きた池袋での通り魔殺人事件を例にあげ、池袋のようにナイフを使ったのでは大量に殺せないので車を使ったなどと述べました。

そして、2002年9月、裁判所は男の完全な責任能力を認め求刑通り死刑判決を言い渡します。男は控訴しますが、控訴審でも死刑を支持し控訴を棄却。男は最高裁判所にも上告しますが、2008年7月最高裁も1審、2審の死刑判決を支持し上告を棄却して男の死刑判決が確定しました。2017年3月、当時の法務大臣が死刑執行命令書への署名を行い、広島拘置所で48歳になった男の死刑が執行されました。

参考URL: Wikipedia より

まとめ

今回紹介した事件は無差別の通り魔事件とのことで、日常生活の中でいきなり巻き込まれます。普段一般の生活をしている人にとって、こうした事件に自分が巻き込まれるなんて考えもしないことでしょう。しかし、誰にでも等しくこうした事件に巻き込まれる可能性があるのです。過度な心配は必要ありませんが、いつ何が起こるかわからないという意識をもって自分ができる限りの対策をしていきましょう。

【防犯対策】突然の通り魔、刃物から身を守るためにできることはあるのか

Moly.jp編集部

 

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