【今日の事件簿】17歳の男が短刀を握りしめて体当たり。浅沼稲次郎暗殺事件とは

今から59年前の10月12日、浅沼稲次郎暗殺事件が起きました。当時の社会党の委員長であった浅沼稲次郎が演説中に17歳の右翼少年に暗殺されるという事件です。今回はこの事件を紹介していきます。

浅沼稲次郎暗殺事件の概要

1960(昭和35)年10月12日、東京都千代田区にある日比谷公会堂において浅沼稲次郎暗殺事件は起きました。この日は近く解散総選挙がおこなわれる情勢のなかで自民党・社会党・民社党の3党党首立会演説会が日比谷公会堂でおこなわれていました。会場には2500人が集まり民社党・社会党・自民党の順で党首が演説する予定で、午後3時ごろに当時社会党の委員長だった浅沼稲次郎が演壇に立ちます。

浅沼委員長が演説を始めた直後には右翼団体の野次が激しくなり、ビラも撒かれ騒がしくなりました。司会者が自制を求め野次が一瞬おさまり浅沼委員長が演説を再開し、しばらくたった午後3時5分ごろ壇上に1人の男が駆け上りました。そして、持っていた刃渡り33センチもある短刀で浅沼委員長を2度突き刺したのです。刺された委員長はよろめきながら数歩歩いたのちに倒れました。すぐさま駆けつけた側近に抱きかかえられて病院に搬送されましたが、病院に着いた時にはすでに死亡していたそうです。

病院に行く際、側近は委員長の体を見て出血がなかったことから安心しました。しかし、実は初めの左胸部を刺されたときに、大動脈が切断され内出血によりほぼ即死状態だったそうです。委員長は巨漢だったので傷口が脂肪で塞がれ、外への出血が見られなかったとのことでした。

演説現場では委員長を刺した男がその場で取り押さえられ現行犯逮捕。事件発生直後には他の党が3党の党首のみに演説させるのは不公平だといいだし、現場が騒々しくなり主催者側が休憩するとして幕を下ろしました。その後も主催者側と各陣営の間で民社党と社会党が演説したのに自民党が演説できないのは不公平などといった議論が展開。しかし、新聞社から浅沼委員長が死亡したとの情報が入り演説会は中止になりました。

犯人とその後

浅沼委員長を刺した男は右翼思想で元大日本愛国党員の17歳の少年でした。父は防衛庁の職員で根っからの軍人ではありませんでしたが、兄が早くから右翼思想を持ち大日本愛国党に入党。少年も兄の影響を受けて共鳴するようになりました。そして、高校生のころ愛国党総裁の演説を見て激しく感動し、高校を中退して大日本愛国党に入党します。それ以降総裁の演説中、野次る者がいると殴りかかったり、ビラ撒きの時に警察官と乱闘になったりと入党後半年で10回ほど検挙されたそうです。

その後、自分たちの行動がなかなか成果に結びつかないことを不満に思い、「一人一殺」の考えを固めて大日本愛国党を脱党。全アジア反共青年連盟に加盟して活動を開始しました。10月4日に自宅でアコーディオンを探していたところ偶然短刀を見つけ、これで刺そうと決意します。始めは日教組委員長などを狙いましたが失敗。そして、事件当日の朝、新聞で3党党首立会演説会が行われることを知り、ここで事を起こそうと決意します。

午後2時50分ごろ会場に到着。入場券を持っていませんでしたが、受付の男性が入場券がいることを知らなかった少年に対して同情し提供してくれました。少年は通路に立って場内の様子を眺めていましたが、浅沼委員長の演説が始まり野次を飛び交うなか最前列まで歩いていきます。そして、演説が中断した後、司会者の「どうぞ」という演説の再開を促す言葉に反応する形で、少年は壇上にあがり短刀を持って浅沼委員長に体ごとぶつかっていったのです。

ぶつかりながら1度刺し、その後もう1度刺したところで取り押さえに入った刑事が短刀の刃の部分を握りました。少年は刑事の指が切断されたらと瞬時に思い手の力を抜きます。そして、壇上右側の方に引きずられて取り押さえられました。その後、少年は逮捕され、逮捕後に後悔はしていないが償いはするといった言葉を残し裁判を待たずして、東京少年鑑別所で「天皇陛下万歳、七生報国」との遺書を残し自ら命を絶ちました。

参考URL:Wikipedia

まとめ

今回紹介した事件は、日本の歴史の中でも有名な事件です。一般的に考えていきなり刺されることはないかもしれません。しかし、現代でも無差別通り魔的な事件が発生していますし、女性は特に知らないうちにストーカーをされていることもあります。過剰に怖がることはありませんが、いつ何が起こるかわからないことを頭の隅に置き、できる限りの防犯対策はしましょう。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

残念ながら、無差別事件は後を絶ちません。周囲に不審な言動をしている人を見かけたら、できるかぎりその場から速やかに離れるようにしましょう。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。

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