【今日の事件簿】自分の手を汚さずに殺害?桶川ストーカー事件とは

今から20年前の10月26日に桶川ストーカー事件が起きました。この事件では男が直接手をくださずに、他の人に被害女性を殺害させたのです。また「ストーカー規制法」はこの事件がきっかけとなり制定されました。今回はこの桶川ストーカー事件を紹介します。

桶川ストーカー事件の概要

1999(平成11)年10月26日、埼玉県桶川市にある高崎線桶川駅前の商業施設前の路上で、当時21歳の女子大生が男にナイフで左胸と脇腹を刺されました。被害者の女性は病院に運ばれましたが出血多量で死亡。犯人の男は逃走しました。事件発生当初は通り魔的な犯罪とも見られましたが、警察の捜査が進むにつれて刺した男Aとは別の男Bの存在が浮上します。この男Bが事件の首謀者として捜査が進んでいきます。

捜査の結果、実行犯の当時31歳の男Aは男Bの兄(男C)が経営する風俗店の店長で元暴力団員だったことがわかりました。そして、殺人容疑で逮捕。この翌日、男Cと事件当時運転手役だった当時31歳の男D、見張り役の当時32歳の男Eも逮捕されました。

出会いからストーカー、殺人事件が起きるまで

この事件の首謀者である男Bと被害者の女性は事件のおよそ9カ月前に大宮駅のゲームセンターで知り合い、交際するようになります。男Bは女性に対し偽名を使い年齢を3歳若く偽り、職業も裏社会の実業家であったのにもかかわらず外国車のディーラーと偽っていました。2人は初め週に1度食事やドライブに出かける程度の交際で男Bは常に札束を持ち歩き、高級ブランド品を女性にプレゼントしていました。

何度も高級ブランド品や衣類を送られる中で、ある時女性はプレゼントの受け取りを断ります。すると男Bは自分の気持ちが受け取れないのかと突如逆上したのです。これをきっかけに女性は交際に不安を感じ始めます。また、車のダッシュボードの中から男Bの本名が記されたクレジットカードを発見。さらには男Bのマンションを訪れた際に、女性が室内に仕掛けられたビデオカメラを発見し男Bを問いただします。

すると男Bは逆上し「俺に逆らうなら今までのプレゼント代として100万払え」「払えないからソープで働いて金を作れ」「今からお前の親のところに行くぞ」などと大声で脅かしたのです。この出来事以降、女性は交際を断れば殺されるかもしれないと恐怖心を抱きはじめ、男Bはこれ以降女性の携帯電話に頻繁に電話するようになり女性を束縛しはじめました。

女性は殺されることを覚悟して家族と友人に宛てた遺書を書き残し、男Bに別れ話を切り出します。すると男Bは女性の家族に危害を加えることをほのめかし、交際の継続を強要。実際に興信所に依頼して女性の父親の勤務先や友人の情報を入手していました。結局女性は家族に心配かけることを考慮し、交際を続けることになります。

その後、何度も女性は別れ話を男Bに切り出しますが、その都度家族に危害を加えると脅かされ、さらには女性自身の命を奪うことを示唆する言葉も発したそうです。心身共に疲れ果てた女性は事件の4カ月前に母親に男Bとの関係を話し、トラブルに巻き込まれていることを伝えます。すると男Bは兄である男Cらと共に女性の自宅に乗り込み、男Cが母親に「男Bが会社の金を500万横領した。お宅の娘に物を買って貢いだ。精神的にもおかしくされた。娘も同罪だ。誠意を示せ」などと1時間以上にわたって脅しました。

その時は父親が帰ってきて何事もなく帰っていき、その後被害者家族は警察に相談に行きます。しかし、この時はストーカーに関する法整備がされていなく、しかも、事件後に上層部が処分されることになる不適切な対応が多数あり、取り入ってもらえませんでした。

男たちはそれ以来、女性宅の近所や女性が通う大学で顔写真や実名が記載された中傷ビラを撒いたりして嫌がらせを繰り返します。それでも気が済まなかった男Bは、兄である男Cに2000万円のお金を用意して頼み、男Cが男Aと男D、男Eに女性の殺害を依頼して、この事件が起きるのです。

裁判と男Bとその後

警察に逮捕された実行犯の男Aには裁判で懲役18年が言い渡されました。運転手の男Dと見張り役の男Eにはそれぞれ懲役15年。男Cに対しては無期懲役が言い渡され上告しましたが、2006年の6月に無期懲役の刑が確定しました。この事件の首謀者ともいえる男Bは名誉棄損罪で全国に指名手配されましたが2000年1月に北海道の屈斜路湖において水死で発見され警察によって自殺と断定。

2通の遺書が見つかりましたが、いずれも被害者とその家族、マスコミへの恨みの言葉が綴られていたそうです。結局、男Bの名誉棄損罪については被疑者死亡のまま起訴猶予処分となり責任を問われることはありませんでした。

まとめ

今回紹介した事件はストーカーした本人が手を下すのではなく、お金を払って相手を殺害させるという凶悪な事件です。しかも、ストーカー規制法が存在しなかったため首謀者の男Bは名誉棄損罪という罪にしか問えませんでした。この事件を機会にして、ストーカーが重要視され社会が動きストーカー規制法が成立するまでになったのです。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

未だに後を絶たないストーカー被害。誰にでも巻き込まれる可能性がありますので、自分は大丈夫だとは思わずにできる限りの対策をしていきましょう。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。

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