【今日の事件簿】亡くなってから無罪判決が言い渡された、徳島ラジオ商殺し事件とは

今から66年前の11月5日、徳島ラジオ商殺し事件が起きました。この事件は日本で初となる死後再審がおこなわれ、犯人とされた女性が死後に無罪となり名誉が回復された事件です。今回はこの徳島ラジオ事件を紹介していきます。

徳島ラジオ商殺し事件の概要

1953(昭和28)年の11月5日の早朝に当時50歳だったラジオ商の男性が徳島県徳島市にある自宅兼電気店の中で殺害されました。遺体には9カ所にも及ぶ傷があったそうです。現場には内縁の妻である当時43歳の女性と三女がいて、内縁の妻も負傷しました。事件当初警察は居直り強盗か、この店に恨みを持った人間の犯行とみて捜査を開始し、市内に住む暴力団関係者の2人を強盗殺人の容疑で逮捕。そのうちの1人が犯行を自供しましたが、証拠不十分で不起訴処分となりました。

捜査が難航している最中、徳島地方検察庁が警察とは別に捜査を開始します。そして、事件から8カ月が経ったある日、電気店に住み込みで働いていた当時17歳の少年と16歳の少年を逮捕。1人は28日間、もう1人は45日間という間身柄を拘束し、厳しい取り調べをおこないました。初めのうちは2人とも身に覚えのないことだと否認していましたが、日が経つにつれて虚偽の供述を始めます。最終的には内縁の妻が殺害された店主と格闘しているところを見たことや、内縁の妻から凶器を捨ててくるように頼まれたことなどを供述しました。

以上2人の供述から1954年の8月に内縁の妻が逮捕されるのです。後に検察が2人に、「自白すれば家に帰してやる」などと虚偽の自白をさせたことがわかりました。逮捕された内縁の妻は、逮捕当初は犯行を強く否認していました。しかし、取り調べが厳しかったこともあり、最終的に自白をしてしまい起訴されてしまうのです。

裁判と無罪確定

裁判に入ると彼女は一貫して無罪を主張しますが、1956年の9月に徳島地方裁判所でおこなわれた第1審の判決で、懲役13年の有罪判決を受けてしまいます。1957年12月におこなわれた高松高等裁判所での第2審でも控訴が棄却。すぐに上告しますが1958年5月に裁判費用がないことを理由に上告を取り下げて、懲役13年の刑が確定してしまいます。

この判決の直後に住み込み店員が検事に強要されて偽証したと告白し、しかも真犯人と名乗る人物が警察に自首するも、後に不起訴処分となりました。このころになると、世間でも検察の理不尽な行動に疑問を抱く人が多くあらわれ、彼女を援護する団体が結成されました。一方で刑務所に入った彼女は模範囚として頑張り、服役しながらも第1次から第3次までの再審請求を求めます。そして、1966年11月に仮出所を果たすと本格的に冤罪活動を開始。姉弟や市民団体の応援のもと再審請求を続けます。

しかし、第5次再審請求の最中の1979年11月に腎臓がんのため死去してしまいます。享年69歳でした。その後は彼女の姉弟が遺志を受け継ぎ再審請求がなされて、ついに1980年の12月に徳島地方裁判所で再審の開始が決定します。そして、審議の結果1985年の7月に徳島地方裁判所は無罪の判決を出すのです。実に彼女が逮捕されてから31年の月日が流れていました。

無罪の理由は、有罪の決め手となった住み込み店員の供述が誘導尋問によって導き出された疑いが強いことや、内縁の妻であった彼女に被害男性を殺害する動機が見当たらないことなどが挙げられました。また、徳島地方裁判所は1985年の12月に彼女の娘に対して、逮捕された日から仮出所した日までの4493日間に7200円をかけた額である、計3235万円を刑事補償として支払うことを決めました。

参考文献:Wikipedia

まとめ

今回紹介した事件は冤罪によって不当に刑務所に入れられ、しかも亡くなった後に無罪が確定するという事件でした。いつ何が起こるかわからないという事は事件の被害者になるという意味だけではなく、事件の加害者にされてしまうという意味もあります。最近も愛媛県で女子大生の冤罪被害が問題になりましたが、警察の取り調べもまだまだ不透明な部分が多いです。警察の威信にかけて間違いは許されないという意識があるのかもしれませんが、ぜひ正当な捜査によって犯人を導き出してもらいたいものです。

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Moly.jp編集部

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