【執行猶予なし懲役刑の可能性も】再犯率の高い覚せい剤。周囲の人間ができるサポートはあるのか?

田代まさし容疑者の逮捕により、覚せい剤の怖さ、更生の難しさ、再犯率の高さが注目されています。
改めて、「なぜ更生が難しいのか?」「万が一関わってしまった場合どこで治療するのか?」を確認してみましょう。

抜け出す難しさが伝わる…これまでの逮捕歴

田代まさし容疑者の逮捕歴を覚せい剤に関するものに絞ってみると、過去に計5回逮捕されています。

1回目:2001年12月11日
・自宅から覚せい剤が発見され、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕
・12月9日には、すでに別件で逮捕されていた
・2002年3月に懲役2年、執行猶予3年の有罪判決

2回目:2004年9月20日(執行猶予中)
・覚せい剤取締法違反容疑により逮捕
・駐車中の車の中から、刃物とともに覚せい剤を発見される
・2005年2月に懲役3年6ヶ月の実刑判決(執行猶予なし)

3回目:2010年9月16日
・麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で現行犯逮捕
・麻薬(コカイン)をポリ袋に入れて所持
・同行していた女性の所持品や自宅からも、覚せい剤・コカイン・大麻が発見されている

4回目:2010年10月14日
・覚せい剤取締法違反の容疑で再逮捕
・3回目の逮捕とあわせて、2011年7月に懲役3年6ヶ月の実刑判決

5回目:2019年11月6日
・杉並区の自宅マンション敷地内で覚せい剤の所持が発見され、現行犯逮捕

今回は、薬物依存症のリハビリ施設スタッフとして働きながら更生に向かっていた中での逮捕でもあります。
また、覚せい剤の怖さを伝えるテレビ番組に出演するなど、啓発活動も徐々に認知され始めていました。
それだけに、依存症から抜け出す難しさがより際立ったのではないでしょうか。

更生できない苦しみは統計にも表れている

今回のできごとから、なかなか更生できない怖さを指摘する声も少なくありません。
厚労省が公表しているデータでも、薬物によって複数回検挙されている人の比率が高いことが示されています。

出典:厚労省ホームページ 全薬物事犯検挙人員 – 厚生労働省


出典:厚労省ホームページ 現在の薬物乱用の状況|厚生労働省

フラッシュバックがさらに更生の難易度を高めている

覚せい剤の使用や逮捕により、使用している本人や家族の社会的信用の失墜、心身の健康喪失といった様々な悪影響が考えられます。
その中でも、特に多くの人を苦しめるのがフラッシュバックです。

覚せい剤によって自分でコントロールできない妄想や幻覚に苛まれた時、脳はその状態をインプットしてしまいます。
ストレスや疲れがたまっている状態、度を超えた飲酒がきっかけですぐにスイッチが入り、覚せい剤を使用している感覚を思い出してしまうのがフラッシュバックです。
例えば、パソコンで電源をシャットダウンした状態が覚せい剤を完全に断ち切った状態だとすると、フラッシュバックが起きている間はスリーブの状態です。
フラッシュバックは終わりがなく、覚せい剤を使用していない状態でもフラッシュバックに苛まれる可能性が常に付きまといます。

日常に潜む落とし穴…覚せい剤や薬物の入手経路

覚せい剤の入手経路については、やはり暴力団関係者に注意が必要です。
厚労省ホームページの統計でも検挙人員のうち、約半数が暴力団関係者であることがわかっています。
そうした組織と関わりを持たないようにするのが、対策の第一歩です。

また、厚労省ホームページで公表されている匿名の相談事例では、周囲に覚せい剤を使用している人がいたケースも多いようです。
一旦はやめたものの、誘惑に勝てず覚せい剤仲間に頼んだり、昔の暴走族仲間にすすめられて…といった事例が多く報告されています。
さらに、覚せい剤ではないものの、危険ドラッグの場合はインターネットの利用が多い点も注意が必要と考えられます。

どうやって覚せい剤にはまるのか…相談事例はこちら
参考:厚労省ホームページ 薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」(啓発資料)  薬物乱用者の告白・相談事例

覚せい剤をはじめとする薬物依存症の治療施設

覚せい剤を完全に断ち切るために利用できる治療施設には、精神科を要する医療機関や家族会など自助活動グループの運営する回復施設などが挙げられます。
例えば、医療機関であれば、薬物依存症外来があるNCNP病院 国立精神・神経医療研究センターが有名です。
こうした医療施設では、薬物依存症を精神疾患ととらえ、医師による指導のもと治療をすすめていきます。

また自助活動グループであれば、匿名で参加できるグループミーティングや施設での生活改善プログラム、スポーツ、レクリエーション活動などを行っています。

近隣にどのような施設があるか、また、どのような診療・更生プログラムを提供しているかについては、各都道府県の精神保健福祉センターからも情報を得ることができます。

▶︎各都道府県の精神保健福祉センター、自助活動グループ連絡先はこちら

まとめ

覚せい剤をはじめとする薬物の怖さは、中々抜け出せないこと、自分だけでなく家族や親しい人の人生にも悪影響を及ぼしてしまうことにあります。
入手経路も意外に身近なところにあるケースが多く、「私は絶対に大丈夫」とは決して言えないのではないでしょうか?

また、自分の周囲で薬物に手を染めてしまっている人がいるのであれば、早めに上記で紹介した医療機関等にかかるように促してあげてください。身近な人が手を染めてしまっていたらショックかもしれません。裏切られた気持ちでいっぱいになるかもしれません。それでも可能な限り手を差し伸べてあげることで、薬物から抜け出せるチャンスは生まれます。

警察に逮捕され、刑務所に入るだけでは何の解決にもならないのが薬物をはじめとする依存症の社会的課題です。周囲の人間がそのことを良く理解し、サポートしてあげる体制が結果的に犯罪を減らしていくことにつながります。

薬物依存症=精神疾患である認識を持ち、絶対に関わらない・関わらせないために必要な情報を確認しておきましょう。

Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

ストレスや悩み事があっても薬物では絶対に解決することはできません。絶対に手を出さない強い気持ちを持ちましょう。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。

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