【元詐欺師が解説】被害が急増している「バイナリーオプション詐欺」の実態と対策

こんにちは。これまで本メディアで10回に渡り詐欺業界の裏側についてお話ししてきたNです。この度、Molyさんのご好意でまた連載させて頂く事になりました。今回連載のテーマは、「最新詐欺事情の解説」です。特殊詐欺・悪徳商法に深く関わった者として、自衛に繋がる知識を読者の皆様と共有し、詐欺や悪徳商法がゼロになる世の中に少しでも近づく事に微力ながら貢献出来れば、と思っております。

さて、第一回目は「バイナリーオプション取引」における被害を見ていきましょう。

「バイナリーオプション取引」とは

このバイナリーオプション取引とは正規の金融商品の一つです(1)

聞き慣れない言葉で、「関係ないな」と思われる方も多いかもしれません。確かにそう思われるのも無理はありません。しかし、本事案は、日本の消費者トラブル問題を管轄する国民生活センターさんが「トラブル数が急増している」と注意喚起を促している事案なんです(2)

詐欺に対する自衛の一つは「実際の詐欺事例に触れておく」事です。そうする事で似た状況に陥った際、危険を回避することが出来る可能性が高まります。

では見ていきましょう。

【詐欺事案】

海外の無登録業者とのバイナリーオプション取引

【手口概要】

1.SNSを通じて知り合った相手から、「儲かる」などとバイナリーオプション取引を勧められる

2.取引の開始を了承すると相手から取引サイト(海外の無登録業者)を紹介される

3. 取引サイトにて口座を開設し、入金をするもその後出金できなくなる。

*サイトの規約を確認すると、「ボーナスも含めた入金額の3倍以上の取引がないと出金できない」と記載されていた模様

*決済にはクレジットカードを用いている

<ワンポイント!>

図に当てはめるとこの詐欺は③に該当します。被害者との接点はSNSの利用と比較的新しい一方、騙し方は非常に古典的で単純です。

尚、下図について

ツールとは詐欺業者・悪徳商法業者が被害者との接点に使う主な手段のことです。「電話」「SNS」「郵送」「訪問販売」などが該当します。

手口もツールも新しい完全新型の詐欺・悪徳商法です。手口が新しいものであれば全て完全新型です。

手口もツールも旧型のものです。「昔の手法をそっくりそのまま使って引っかかるものなの!?」とお考えになる方もいらっしゃるかとは思いますが、残念ながら決して少なくない数の方が引っかかってしまいます。例を挙げると現在還付金詐欺が流行っておりますが、この詐欺は今から10年ほど前に流行したタイプとほぼ同じです。

手口は過去に使用されたもので、ツールは過去に未使用のものを用いるタイプです。今回の詐欺事案は、実は全く同じトラブルが国民生活センターで2014年に注意喚起がなされています(3)。そのため②に分類しても良いのですが、用いるツールがSNSと割と最近のツールですから③に分類致しました。(この辺の分類はあまり気にせず、「あぁそうなんだ」程度で構いません。実事例に触れる方が重要です。)

1.ターゲット】

本事案も含めたバイナリーオプション取引での被害者について、国民生活センターの発表では20代が全体の6割超を占めます。30代も含めると、全体の8割を超えます。

この背景を探ってみましょう。

<ワンポイント>

SNSを利用して集客していることからこの詐欺師(詐欺グループ)は、最初から20(あるいは30)の若い世代を狙っているように感じます。この詐欺グループ(あるいは現在バイナリーオプション取引を用いて詐欺を仕掛けているグループの多く)は「少数から多額」ではなく「多数から少額」を騙し取るスタイルになっているのではないでしょうか?

どちらのスタイルでも最終的に得られる(騙し取れる)金額が同じであればどちらでも良いのです。

若年層が狙われている最たる理由は、「無知であるから」(厳しい言い方ですみません…)だと私は思っています。

2.被害金額】

国民生活センターの発表によると、本事案を含めた直近のバイナリーオプション取引による被害平均額は約40万円(中央値・最頻値も同程度かやや下回る程度と思われます)

本事案のみにおける被害金額の発表はありませんが、同種同時期の詐欺は概ね同じような詐取金額になることから同程度の被害金額であると思われます。

<ワンポイント>

この40万円というのは、詐取金額としては少額です。

おそらくクレジットカードの上限が影響しているのではないでしょうか?若年層であればそれほど収入が高くない方が多いでしょうからクレジットカードの上限額は30万円や50万円(学生なら10万円)であるはずです。そこでこの詐欺師グループは被害者が使えるクレジットカードの枠内に収まるように金額を設定し、詐取しています。

3.考えられる二次被害】

1.同種の詐欺グループからのアプローチ
「今度は大丈夫ですよ」などと言う他、入金後にその何割かをバックして(一時的に出金させて)信用させる手口が考えられます。手口はどんどん巧妙になっていきます。

2.不要なバイナリーオプション取引の買取詐欺
「うちと取引してくれれば、過去の取引損失分を買取ります」と言って詐取するパターン。これを謳う業者はバイナリーオプション取引に限らず、例えば「未公開株」「先物取引」などのインチキ業者などもあり得ます。

3.解約手数料や更新料の要求
「法的措置を取る」などと脅して騙し取る可能性があります。この他に取引名簿(一般に売買されている)に載ってしまうわけですから、将来また何らかの形で詐欺・悪徳商法グループからアプローチされる可能性は高いです。

4.見極めのポイント】

1.「必ず儲かる」は100%インチキ
断言します。「必ず儲かる」など「必ず◯◯」と謳う業者は例外なくインチキです。

2.無登録業者
日本国内にせよ海外にせよ、無登録業者はインチキと思って相手にすべきではありません。

5.騙された後の対処法】

残念ながら、一度入金したお金は返ってこないと思った方が良いでしょう。(酷な言い方ですみません…)

追加入金をしない事、上記の二次被害に気をつけることに留意しましょう。

以上が今回取り上げた詐欺事案に対する私の見解です。

まとめ

今回の詐欺事案は、手法としては非常に単純です。そのため、本文中の【4.見極めのポイント】を知っていれば被害に遭わなかったはずです。

詐欺や悪徳商法は、そのほとんどが過去の手口を繰り返し用いたり、応用したりするので事例を知れば知るほど防衛出来ると私は信じています。またそうする事で、全く新しい詐欺に対しても勘が働くようになると私は考えています。

(本当は、これに加えて「詐欺判定アプリ」や「インチキ事前検知システム」のようなものが作れれば良いのですが…)

この詐欺解説の連載が、読者の皆様及び皆様の大切な方々を守るために役立つ事を願っています。

文中註釈

(1)バイナリーオプション取引…オプション取引を元にした金融商品の一種。ハイリスクハイリターン。ここで「オプション取引って何?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。非常に煩雑になってしまい、読者の皆様の混乱を招きかねないのでここでは省略します。

馴染みの無い方は、「株式とは違うけれど、お金を出せば購入出来て、値段が上下する金融商品」程度の認識で問題ありません。詳しく知りたい方は、Wikipediaや各証券会社さんのHP等をご覧下さい。

(2)
無登録業者とのバイナリーオプション取引は行わないで!-SNSをきっかけにした20歳代のトラブルが目立ちます-(国民生活センター)

(3)
海外業者とのバイナリーオプション取引にご注意ください!-無登録業者との契約は行わないで!!-(国民生活センター)

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

詐欺は特殊詐欺!高齢者が被害に遭うというイメージがありますが、「儲かるかもしれない」という投資的な風潮から被害に遭う20〜30歳代若年層も、実は詐欺のターゲットにされています。ぜひ読者の方にも注意していただきたいです。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。

Moly.jp編集部

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