【今日の事件簿】なぜ警察は捜査依頼を断っていたのか?「栃木リンチ殺人事件」とは

今から20年前の1999年12月4日、栃木リンチ事件が発覚しました。この事件は栃木県警の警部補の父を持つ少年が主犯となった事件です。1人の男性が恐喝され激しいリンチを受けて殺された事件で、事件の内容はもとより、栃木県警の不手際も世間に衝撃を与えました。今回はこの栃木リンチ殺人事件について詳しく紹介していきます。

栃木リンチ殺人事件の概要

1999(平成11)年12月4日、当時16歳の高校生の少年が東京にある警察署に出頭したことによって、栃木リンチ事件が発覚しました。少年の供述に基づいて警察が捜査した結果、栃木県の山中で男性の遺体が発見されます。解剖の結果、死因は絞殺とわかり遺体の表皮が約80%重度の火傷に覆われ陰茎の先端まで火傷は及び、肝細胞は一部変質していました。

捜査が進み被害者は栃木県の自動車工場に勤めていた当時19歳の男性と判明。執拗なまでのリンチを受け、殺されたことがわかりました。遺体発見の翌日には主犯格の当時19歳の少年Aと準主犯である当時19歳の少年B・Cも逮捕されました。

犯人達と事件の詳細

この事件の主犯である当時19歳の少年Aは、幼いころから粗暴な行為が目立っていました。中学卒業後、学校を中退した後は暴走族に入り恐喝や傷害などの事件を繰り返します。Aはもともと、背後にヤクザがいることを匂わせ、少年BとCを脅してサラ金にまで手を出させて金銭を巻き上げていました。しかし、Bが会社の同僚の被害者である少年を「身代わりの生贄」の如くAに紹介したことによって、BとCもこの恐ろしい事件の共犯者となっていくのです。

3人は被害者の少年を拉致し、次々とサラ金で借金をさせて遊ぶ金に充てていました。少年がサラ金からの借金を拒否するようになると、少年の知人や友人に金を借りさせ金銭を巻き上げます。この間少年をホテルなどに監禁して最高温度のシャワーを浴びせたり、殺虫スプレーにライターで火をつけ浴びせたりして散々いたぶり、少年の肌は全身焼け爛れて顔は腫れあがりました。

一方で少年の失踪に気が付いた両親は警察に何度も捜査の依頼をしますが、すべてあしらうかのように断られます。栃木県警が管轄する別の警察署にも何度も依頼しに行きますがすべて同じ結果でした。極めつけは少年から父親に電話がかかって来たときに警官に事情を分からせるため、父親が警官を友人に見立て少年に「お父さんの友人がいるから」と警官に電話を渡します。

犯人側の1人が電話を替わり「あんた誰だ」と尋ねたときに、警官は何を思ったのか自分が警察官だと名乗ってしまい電話は切られました。警官は軽く「あ、切れちゃった」と言って父親に電話を返したそうです。この警官の発言がきっかけとなり、犯人たちは少年の殺害を計画します。

そして、12月2日。途中から加わった高校生の少年とともに被害者の少年は首を絞められて殺害され、山中に埋められてコンクリートを流されました。遺体を埋めたスコップやコンクリートなどの調達に使われたのは、被害少年の最後の給料だったそうです。遺体を隠した少年らはその後、15年間逃げればよいと軽く考え、追悼花火集会と称して花火で遊びました。

しかし、良心の呵責に耐えられなかった高校生の少年が12月4日に警視庁管轄の警察署に自首して事件が明るみになるのです。警視庁はすぐに捜査本部を設置し、高校生の証言のもと遺体を発見し、翌日少年A・B・Cを逮捕しました。

裁判

裁判では自首によって事件解決のきっかけを作った高校生の少年は、酌量が認められ少年院送致となりました。他のA・B・Cの3人も事件当時は未成年でしたが、犯行の残虐性から刑事処分が相当として逆送され宇都宮地方検察庁は3人を殺人・死体遺棄の罪で起訴。

2000年6月に少年AとBには求刑通りの無期懲役が言い渡され、Cにも求刑通り懲役5年から10年の判決が言い渡されました。Aは控訴しますが2001年1月に棄却され罪が確定しました。

まとめ

今回紹介した事件は被害少年の両親が何度も栃木県警に捜査を依頼したにもかかわらず、捜査がおこなわれませんでした。原因は定かではありませんが、何も落ち度のない少年が惨いリンチに遭い合計700万円以上の金を奪われ殺害されてしまったことを考えると許されることではありません。

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この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

主犯格の少年Aの父親が栃木県警の警部補であったため、身内の不祥事を隠蔽しようとしたと思われても仕方がない事件でした。率先して被害阻止や犯人逮捕に動くべきでしたし、まずは家族、身内の中でこうした凄惨な事件を起こさせないようにする取組をしていく必要があると感じています。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。

Moly.jp編集部

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