【今日の事件簿】相手の家族を殺害!長崎ストーカー殺人事件とは

今から8年前の12月16日、長崎ストーカー殺人事件が起きました。この事件はストーカーされた本人ではなく、その家族が殺害された事件です。今回はこの長崎ストーカー殺人事件について詳しく紹介していきます。

長崎ストーカー殺人事件の概要

2011(平成23)年12月16日、長崎県西海市に住む当時18歳の男子高校生から警察に110番通報がありました。その内容は自宅の車の荷台に母親が倒れているとのことでした。警察官が駆けつけ車の荷台から2人の女性を発見。1人は男子高校生の母親で当時56歳。もう1人は男子高校生の祖母にあたる当時77歳の女性だったそうです。56歳の母親はその場で死亡が確認され、祖母にあたる女性は搬送先の病院で死亡が確認されました。

第一発見者の男子高校生は、この家の次男で両親と祖母の4人暮らし。他の兄弟は県外に住んでいました。この日、自宅に戻った際に家の窓ガラスが割られ家の中が荒らされていることに気づきます。しかし、家族の姿が見当たらないため、近所に住む親類男性と共に探し、敷地内にある母親所有のワゴン車の荷台に横たわっているのを見つけ110番通報したとのことでした。

遺体には胸や腹を包丁で十数回刺された跡があり、犯人は強い殺意を持って犯行に及んだと考えられました。また、第一発見者の男子高校生の父親が、当時23歳の三女の元交際相手について、娘が暴力や脅かされている可能性があると警察に相談していることがわかります。警察はこうしたことから、この三女の元交際相手である当時27歳の男が事件に関与した疑いがあるとみて、さらに詳しい捜査をします。そして、17日の午前、この男が長崎市内のホテルにいることを突き止め任意同行。容疑を認めたため17日の夜、この男を殺人と住居侵入罪の容疑で逮捕しました。

事件の背景と犯行動機

犯人の男は2010年9月に会員制のインターネットサイトで三女と知り合い交際を始め、2011年5月から千葉県の習志野市で同居を始めます。男は相手のメールを常にチェックし、家族や友人への連絡を制限するなどをして束縛。勤務先の出来事を10分から15分おきにメールや電話で逐一報告をさせるなど、その束縛は異常でした。同棲して1カ月が経ったころ、連絡や帰宅が遅れたという理由で頭や顔を殴る蹴るなどの暴行を加えるようになります。

三女は無断欠勤や早退が増え、両親は娘の異変に気付き交際相手の暴力が原因と理解したため、2011年10月に警察とともに娘を助け出し、警察官が男を任意同行。そこで、警察が男に「二度と近づかない」との誓約書を書かせて三女は長崎の実家へ帰りました。男は三女が自分の元に戻るように仕向けるため、脅迫的なメールを彼女の友人らに送信。危険を感じた三女は千葉県の習志野警察署に傷害の被害申告をします。

習志野署に出頭した男はここでも相手に近づかないよう注意され、三重県の実家に戻りました。男は彼女の家族によって実家に連れ戻されたと思い込み、彼女の家族への怒りを増幅させます。そして、12月14日に男は実家で自分の父親を殴り、父親に警察を呼ばれたため逃走。その後、父親に被害届を出さないように頼みにいきますが断られてしまいます。男は親にも見放されたと思い、自分には元交際相手の女性しかいないと信じ込み彼女を取り戻すために長崎の彼女の実家に向かい、12月16日に事件を起こすのです。

裁判

男は取り調べでは犯行を認めていたもの、裁判では一転して無罪を主張します。すべての罪状について全面的に無実を主張し、弁護側は精神錯乱を疑わせるとして責任能力を争う姿勢を示しました。検察側が被告人はすべての行動において合理的な行動をとっており、責任能力を左右する精神障害はないと主張し、死刑を求刑しました。

裁判の結果、長崎地方裁判所は2013年6月、男に検察の求刑通り死刑の判決を下します。弁護側は控訴しますが2審でも死刑判決を支持し控訴を棄却。結局、最高裁判所まで進みますが2016年7月に死刑判決が確定しました。

まとめ

今回紹介した事件ではストーカーをしていた本人ではなく、その家族が殺害されてしまいました。ストーカー行為への対処は非常にデリケートに行わなければならず、特に「拒絶」と相手に解釈されるような行為は逆上の危険性が高いです。自分の子供がストーカー被害に遭っていて困っている場合などは、なるべく相手を刺激しないように動く必要があります。

こうすれば安全にストーカー行為を止めさせられるという方法はありませんが、危害を加えられないようにするためには相手に居場所を突き止められないようにすることが最優先になります。引越しや転職などはそう簡単にできることではないかもしれませんが、被害の程度が大きい場合は躊躇わずに検討するようにしてください。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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