【今日の事件簿】犯人と人質が仲良くゲーム?ペルー日本大使公邸占拠事件

今から23年前の12月17日の夜、ペルー日本大使公邸占拠事件が起きました。この事件はなかなか解決には至らず解決するまで約4カ月かかりました。その間、犯人と人質が一緒にゲームをするという光景も見られたそうです。今回はこのペルー日本大使公邸占拠事件について紹介していきます。

ペルー日本大使公邸占拠事件の概要

1996(平成8)年12月17日の夜、ペルーの首都リマにある日本大使公邸で恒例の天皇誕生日祝賀レセプションがおこなわれていました。午後8時を過ぎたころ、大使公邸の当時空き家だった隣家の壁が突然爆破され、覆面をした一団がレセプション会場に乱入し制圧・占拠したのです。人質は合計で約600人いました。事件の発生を受け、日本からは外務省や警察庁、数名の応援部隊が向かいます。また、当時のペルー大統領と国家情報局顧問は、事件発生の翌日には武力突入を検討していました。しかし、当時日本の首相から命を受けペルー入りしていた、当時の外務大臣が「平和的な解決を優先してほしい」と勧め、即時武力突入は断念しています。

事件は膠着状態が続き、事件から約1カ月半が経った2月1日、当時の日本の首相とペルーの大統領がカナダで会談し、改めて事件の平和的な解決と事件解決への全面的支援を訴えます。しかし、ペルー警察当局は、すでに1月7日から大統領発案による公邸周辺の家屋から公邸地下までのトンネル掘削を開始していたのです。犯人グループと交渉は、なかなか折り合いがつきませんでした。そして、事件発生から約4カ月が経った4月22日、ペルー海軍特殊作戦部隊を中心とした部隊が、掘られていた公邸地下までのトンネルから侵入し制圧。人質1人と特殊部隊の3人が命を落としてしまいました。なお犯人グループは全員射殺されています。

犯人と犯人の要求

この占拠事件を起こした犯人グループはペルーの左翼武装組織であるMRTAの構成員14名でした。犯人たちの要求は逮捕・拘留されているMRTAの構成員の解放や当時の大統領による経済政策の転換、身代金の支払いなどでした。犯人たちは当初ペルー政府と軍の要人、日本大使館員など少人数の人質を確保することを目的として建物に侵入します。しかし、予想以上の人がいて人質は約600人にも及んでしまい手に負えないと判断し、次々と解放していきます。それでも最終的に残った人質は70人にも及びました。ペルー政府要人や軍人、多くの日本大使館員や日本企業のペルー駐在員たちで、女性はすべて解放され男性のみだったそうです。

犯人側とペルー政府との間に赤十字国際委員会の代表などが間に入って交渉がおこなわれましたが、なかなか進みませんでした。その間、人質の食事はリオ市内の日本料理のレストランから料理やカップラーメンなども差し入れされ、そのほかもあまり不自由はなく生活していたそうです。さらに暇を持て余した人質達は、お互いコミュニケーションをとるために日本語とスペイン語の相互レッスンや、オセロや麻雀などをやる余裕もありました。しかも、その輪に犯人であるMRTAの構成員も混ざることも多々あったそうです。

最終的にはMRTAの構成員はペルー軍の突入によって全員殺害されてしまうのですが、事件を起こしたMRTAのメンバーのうち、ほとんどが12歳から18歳の未成年でした。しかも、そのうち2人は15歳の少女で、全員50ドルで売られた子どもたちだったそうです。籠城中には人質に混ざり日本語を練習したりカップラーメンに感動し「家族の土産にする」と言ったりする少女もいたそうです。

マスコミ報道

この事件が発生した当初、日本から多くの新聞やテレビ、ジャーナリストがリマに向かい日本では連日この事件が報道されました。その中で日本のテレビ局が事件から3週間ほどだったころ、MRTA側の声明を取材し全世界に発信するという目的で、ペルー大使館に突入を試みます。しかし、MRTA側から拒絶され、この件で人質に危害が加えられることはありませんでしたが人質の安全を無視した行動だとして世界各国から非難を受けました。

まとめ

今回紹介した事件は簡潔に言うと、ペルーのテロリストによる籠城事件でした。日本人の犠牲者はいませんでしたが、人質のペルー人判事1人と特殊部隊の2人が犠牲となりMRTAの構成員全員は射殺されました。日本ではテロに遭遇するなど考えられないかもしれませんが、世界中で起きており日本もいつテロの被害に遭ってもおかしくない状況です。テロが起きない前提で過ごすのではなく、「この駅でテロが起きたらどう行動するか」といった視点を持ってみるといざという時に冷静に行動しやすくなります。オリンピックを控えたいま、テロのリスクは低くはありません。自分の身を守るためにも、最低限の防犯知識を身に付けるようにしましょう。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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