【元詐欺師が解説】いかにも怪しい「霊感商法詐欺」で数百万も騙される被害者が出るワケ

こんにちは。これまで本メディアで10回に渡り詐欺業界の裏側についてお話ししてきたNです。この度、Molyさんのご好意でまた連載させて頂く事になりました。今連載のテーマは、「最新詐欺事情の解説」です。特殊詐欺・悪徳商法に深く関わった者として、自衛に繋がる知識を読者の皆様と共有し、詐欺や悪徳商法がゼロになる世の中に少しでも近づく事に微力ながら貢献出来れば、と思っております。

第三回目の本日は「霊感商法詐欺(または開運商法詐欺)です。

「霊感商法詐欺(または開運商法詐欺)」とは

霊感商法詐欺は、Moly.jpのメイン読者である20~40代の女性がターゲットとなります。この霊感商法詐欺は前回取り上げた還付金詐欺と同じく、極めて古典的な特殊詐欺です。

分類図では手口もツール(=詐欺師が被害者との接点に用いる手段:この場合、固定電話と携帯電話)がいずれも旧型の「②旧型詐欺」に該当します。

余談ですが、このコラムを書いている私も霊感商法詐欺で逮捕・起訴されています。

手口が古典的であるにも関わらず、いまだに引っかかってしまう方が後を絶ちません。また、開運雑誌に掲載されている広告を見ても、私が霊感商法を行なっていた2012年頃とあまり大差がありません。それでも騙されてしまうのはなぜでしょうか?

何度も申し上げますが、詐欺に対する自衛の一つは「実際の詐欺事例に触れておく」事です。では見ていきましょう。

【詐欺事案】

霊感商法詐欺

 news.ibc.co.jp参考リンク
霊感商法事件、“首謀的立場”の男に懲役10年求刑/岩手
いわゆる「霊感商法」で雫石町の女性などから金をだまし取ったとして起訴された詐欺グループの首謀的立場とされる男に対し、盛岡地検は6日、懲役10年を求刑しました。
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上記リンクの2つは同じ事件です。詐欺グループが逮捕されたのが201811月で、首謀者への求刑がつい先日です。

【手口概要】

1.主に「名簿を使ってダイレクトメールを送る」か「雑誌広告などを掲載する」ことで後に被害者になる方から連絡が来るのを待ちます。この際、ブレスレットなどの販売をうたいます。

*詐欺師グループ側からテレアポなどの「営業活動」を行なってもあまり効果はありません。
*本事案も開運ブレスレットの販売から始まっています。

2.電話がかかってきたら少額のブレスレットを販売すると同時に相手の情報を吸い上げられるだけ吸い上げます。

*電話で聞くこともあれば、詐欺師グループが用意した用紙に個人情報を書いたり写真を貼ったりして返信させます。

3.「祈祷料が必要」「もっと効果のある壺が必要」「除霊が必要」などと言い、高額請求します。

*この時、相手を脅すこともあれば、「本当は良い運気があるのに悪霊が邪魔している。あなたはすごい力の持ち主なのにもったい無い」などと褒めるケースもあります。

<ワンポイント!>

「お金を騙し取る前に相手の情報を聞けるだけ聞く」そして「相手の弱みにつけ込む」ことです。
相手は精神的に弱っており、誰かに相談したい・頼りたい状況です。そんな状況で相手の情報をほぼ全て把握していますから、簡単に手玉に取れます。

1.ターゲット】

圧倒的に女性がターゲットになります。そして、本事案では70代の方の被害が取り上げられていましたが、Moly.jpのメイン読者である20~40代の層が非常に多いです。

警察や国民生活センターの発表はありませんが、私がこの「霊感商法詐欺」を行なっていた時、20~40代の女性で全体の70%以上を占めていました。

2.被害金額】

上記のリンクを見ると、80人から2億数千万円を騙し取っていたとあります。すると一人当たりの被害額は250~300万円/人となります。単純な平均値ですが、個人的には二極化されていると思います。

この手の霊感商法は「数万円程度の少額で終わる方」と「数百万~数千万円の高額を騙し取られる方」に分かれます。

2013年と少し古いですが、国民生活センター発表では99万円/人ですが(1)、個人的には本事案のようにもう少し高いかな?と感じます。尚、2012年に私が行なっていた霊感商法の被害単価は300万円弱でした。

3.考えられる二次被害】

他の特殊詐欺と異なり、同じ「霊感商法」のターゲットになり得ます。(もちろん他の詐欺被害にも遭う可能性はありますが…)

霊感商法に引っかかってしまう方は、

1.最初にある業者からブレスレット等を購入する

2.(当然効果が無いので)その業者との付き合いをやめ、次の業者に移る

3.上記1,2を繰り返し、どこかで高額な被害に遭ってしまいます

という特徴があります。

4.見極めのポイントと対策】

まず大前提として、ブレスレットなどを身につけてお金が手に入ったりするなどといったことには根拠がありません。誰しも弱っている時に何かに頼りたくなることは人間の性かもしれませんが、詐欺師グループはそこにつけ込んできます。

ダイレクトメールや雑誌広告には純粋に開運ブレスレットなどを販売している業者もおりますので、一概に全て詐欺とは言えません。そこで、見極めの方法としては「少額品を購入した後に次々に高額品を売りつけようとしてきたらインチキ/詐欺」と考えるべきです。

いきなり高額請求されることはまずありません。そのため、ブレスレット等の少額品を購入した後「次々に高額な商品や除霊代金等を要求されたら詐欺」と思うべきです。

5.騙された後の対処法】

他の特殊詐欺と異なり、お金が戻ってくることがあります。
通常、特殊詐欺は足がつかないように「トバシ」(2)と呼ばれる電話・アジト・口座を用いることが多いのですが、霊感商法の場合はこのトバシを用いないケースがあります。この理由は、

(1)トバシを用いるのは費用もかかる上、手続きなどが面倒くさい

(2)霊感商法は詐欺の立証が難しいらしくトバシを用いなくても捕まらないことも多い(行政指導のみで終わるケースも多いです)

ためです。

このトバシを使っていない詐欺グループは強気に出ることで返金に応じることがあります。私や私の周りの詐欺グループでもそうだったように、一定額は返金することを念頭に詐欺を行なっていました。「銀行口座を止める(=銀行に相談すると止めてくれます)」「警察や行政から業者に電話をしてもらう」などをしましょう。ただし、全額戻るケースはほとんどありません。

6.元・詐欺師の視点】

全員とは言いませんが、多くの方は精神的に弱っている時に誰かに頼りたくなるのではないでしょうか?あるいは精神的に弱っていなくても何かしらの悩みを抱えているのが普通です。その弱みにつけ込むのがこの霊感商法です。【4.見極めのポイントと対策】でも述べたように、この手の詐欺はいきなり高額品(除霊含む)を売りつけることはありません。高額品を売りつけられそうになった時に踏みとどまれるかがカギです。

まとめ

以上が今回取り上げた詐欺事案に対する私の見解です。
旧型詐欺ではありますが、Moly.jp読者の皆さんの層がターゲットになりやすいので取り上げました。

文中註釈
(1) 独立行政法人 国民生活センター  
(2)トバシ:偽名や他人名義で契約した電話や口座のこと。足がつきにくい。

▶︎【元詐欺師が解説】被害が急増している「バイナリーオプション詐欺」の実態と対策

Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

こうした詐欺まがいの商法では、相談できる相手が1人ではなく、2人3人と居た方が見破れるケースが多いといわれます。まずは手口を知ってもらい、自分の周りに被害に遭っている、遭いそうな方がいないか気をつけてみてください。

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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