【今日の事件簿】ただの憂さ晴らし?館山市一家4人放火殺人事件とは

今から16年前の12月18日、館山市一家4人放火殺人事件が起きました。この事件を起こした犯人の男は、これ以前にも放火事件を起こしていました。今回はこの館山市一家4人放火殺人事件について紹介していきます。

館山市一家4人放火殺人事件の概要

2003(平成15)年12月18日深夜3時15分ごろ、千葉県館山市にある民家の玄関付近に置かれていた新聞紙から、火の手があがりました。出火当時館山市内は平均で風速4mから6mの風があり最大で10m超の強い風が吹いていました。そのため、瞬く間に炎は広がり出火した民家は跡形もなく焼け落ち、合計で6棟の民家を全焼させたのです。出火したとみられる民家からは4人の焼死体が発見され、いずれもこの家に住む当時56歳の男性と当時52歳のその妻。そして、当時27歳と25歳の息子2人と判明しました。

他の5棟の民家のうち1棟は空き家で、そのほかの4棟には合計で5人が住んでいましたが、ケガ人はでませんでした。この火事が起きた10分後には近くのホテルの大浴場循環室の配管が燃やされ、30分後にはスーパーマーケットの入り口付近に積まれていた段ボールに燃やされます。千葉県警は一連の火災は出火時間が近いうえ、現場に火の気がなかったことから放火事件として捜査を開始。しかし、出火時間が深夜ということもあって目撃情報がなく、捜査は難航します。

そして、以前から放火事件が多発していた地区との共通点が多かったため、範囲を広げて捜査することに。そんななか警察は飲酒運転をおこなうドライバーを発見し、呼気から酒気帯び相当量のアルコールが検出されたため、道路交通法違反容疑で当時40歳の男を逮捕します。

その男の服やズボンに燃えたような跡や不審点が多く、体からも焦げた臭いがしたため警察が放火などしていないかと確認したところ犯行を自供。犯行に使用されたとみられる100円ライターも所持していたため、現行犯で逮捕しました。

犯人の男と犯行動機

犯人の男は1963年に館山市で生まれ、事件当時は母親と兄との3人暮らしでした。男は1991年ごろからダンプカーを購入し館山市内で、個人で運送業を開始。しかし、収入の多くを飲み代とギャンブルに充て、いつしか個人で納めるべき税金などを滞納するようになります。

その後、仕事も減少しダンプカーを購入した際の借金も返済が困難となり、1995年あたりから千葉県内の解体会社へ就職します。その間も飲酒やギャンブルを控えようとせずに、税金などを滞納。消費者金融から借金して、その支払いに充てているという状態でした。さらに1996年に仕事中に足を負傷した際に会社から労災申請をしてもらえなかったり、社長の娘婿である専務の仕事方針についていけなかったりして不満が溜まっていきます。

内向的な性格であったため直接不満をいえず、その不満やうっぷんを酒やギャンブルで満たしていました。ある日のこと、駐車場に停めてあった自分の車のドアガラスが割られるという被害に遭います。数日後、飲酒しての帰り道に、その腹いせと日ごろのうっぷんからカッターで他人の車のタイヤを刺してパンクさせたところ気分がスカッとします。それからは、他人の車にいたずらをするようになりました。

その数か月後、いつものように飲酒をしたあとの帰り道、カッターがなかったためライターでゴミ置き場のゴミに点火したところ人に見つかるかもしれないとのスリルも加わり、うっぷんが晴れ渡ります。それからは事あるごとに放火するようになりました。1998年、男は館山市にあるキャバレーを放火し、そこで住み込みで働いていた従業員男性が焼死します。この時犠牲者が出たことを聞き、男はその罪悪感からその後しばらく放火行為をやめていました。

しかし、日々のストレスにより次第に罪悪感も薄れ、キャバレー事件では自分に嫌疑すらかからなかった安心感から、再び放火行為をおこなうようになります。そして、2003年12月17日、夕方に仕事を終えたあと合計3店で飲酒。現金がなく自宅まで約2時間の道のりを徒歩で帰ろうとします。その途中で以前から思い詰めていた金銭問題などを思い返し、憂さ晴らしのために片っ端から放火しようと犯行に及びました。

裁判

2004年4月に千葉地方裁判所で初公判がおこなわれました。検察は家屋に人がいて家人が死亡しても構わないという思いでの放火で、未必の故意を主張し死刑を求刑。弁護側は火をつけることだけを考えて放火しており、人を死なせることまで考えていないと主張し死刑回避を求めました。そして、2005年2月千葉地方裁判所は、男に検察の求刑通り死刑判決を言い渡し弁護側は控訴。控訴審でも判決は翻らずに控訴を棄却され、最高裁判所までいきますが上告を棄却されて男の死刑は確定しました。

まとめ

今回紹介した事件は、犯人の男の身勝手なうっぷんのために一家4人が犠牲となってしまった放火事件です。誰もが犯人の男に憤りを感じることでしょう。このような放火事件に巻き込まれないようにするためにも日ごろから防犯意識を高めて、できる限りの防犯対策をしていくことが大切です。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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