その修理って必要?詐欺か詐欺じゃないか断定が難しい「点検商法詐欺」とは【元詐欺師が解説】

こんにちは。これまで本メディアで10回に渡り詐欺業界の裏側についてお話ししてきたNです。この度、Molyさんのご好意でまた連載させて頂く事になりました。今連載のテーマは、「最新詐欺事情の解説」です。特殊詐欺・悪徳商法に深く関わった者として、自衛に繋がる知識を読者の皆様と共有し、詐欺や悪徳商法がゼロになる世の中に少しでも近づく事に微力ながら貢献出来れば、と思っております。

第四回目の本日は「点検商法」です。

点検商法では、内外装リフォーム・水回り・シロアリ駆除など、住宅に関する全ての項目が対象になります。主なターゲットは「持ち家(マンションを含む)」所有者になります。

ご自身がまだ持ち家所有でなくとも、皆さんのご実家が被害を受けることもあるのでご注意下さい。

また、国民生活センターも定期的に注意喚起を促しています。最近だと、先月に注意記事を更新しております(1)。これを見ると、点検商法の相談・被害は毎年一定数存在することが分かります。

点検商法は、すぐに詐欺と断定出来ないケースも多く少々厄介です。また、法的に詐欺認定されなくともやっていることは詐欺とあまり変わらないと元・詐欺師である私は感じているので、ここではこの点検商法も詐欺として扱います。

分類図では手口もツール(=詐欺師が被害者との接点に用いる手段:この場合、訪問がメイン)がいずれも旧型の「②旧型詐欺」に該当します。

余談ですが、私が投資系特殊詐欺に関わっていた時に、詐欺メンバーのうち2人が過去に点検商法を生業としていることが分かりました。彼らから聞いた生の声はまた後ほどご紹介致します。

何度も申し上げますが、詐欺に対する自衛の一つは「実際の詐欺事例に触れておく」事です。

では見ていきましょう。

【詐欺事案】

点検商法詐欺の事例

【手口概要】

1.主に訪問して「無料で住宅点検します」などと言う
*彼らはとにかく家に上がることに命をかけています。
*作業着を着ていたり、作業車で回っていたりするので見た目は通常の業者と変わりません。

2.点検をしたフリをして、家主に「◯◯に問題がある」と不安を煽る
*内容は「水漏れ」「シロアリ」など何でも構いません。とにかく不安を煽ってきます。

3.その場での契約を急かします
*「今なら特別に◯◯%割引」などと特別感・限定感を煽ったりもします。

4.(さらにひどいケースになると)一度リフォームを行なった住宅に再度訪問し、同様の行為を繰り返します
*今回ニュースになっている業者も同じ住宅にインチキ行為を繰り返し行なっています。

<ワンポイント!>
「不安を煽る」「契約を急かす
」ことが大きな特徴です。自宅(それも持ち家)の欠陥などを指摘されるとほとんどの人が不安になるのではないでしょうか。人間は不安になると(ましてや自分の知識の及ばないことになると)相手の言いなりになりやすい傾向があります。すなわち相手の言ったことに対して「yes」と言ってしまう状況になります。こうなればインチキ業者の思う壺です。こうした状況下を回避するには、「インチキ業者の手口を知っておく」ことや「第三者に相談する」といったルールをあらかじめ家庭内で設けておくことが大切です。

1.ターゲット】

主に持ち家(マンション含む)所有者です。
*ただし、賃貸物件であっても油断は禁物です。

2.被害金額】

内容にもよるのですが、数十万円程度から高額になると数千万円になります。

*数千万円というのは、何度も何度も工事(ニセ工事)を繰り返す事によるものです。ニュース記事を見ると、「自社で設置した遮熱材を撤去して別のものを設置する」という卑劣極まりない行為をしていたことが分かりますが、これは彼らの常套手段です。
*サムニングループというインチキリフォーム会社の顧客名簿(被害者名簿)を別の詐欺に使ったことがあります。この名簿には契約回数や契約金額が載っていたのですが、平均金額は数百万円(記憶では500万円程度…)でした。

3.考えられる二次被害】

1.同様の手口
ニュースにもあるよう同じ手口・詐欺に繰り返し遭う可能性があります。しかも、この手のケースでは回数を重ねるごとに高額になっていきます。

*これは全ての詐欺に当てはまります。

2.「被害金額を取り戻す」系詐欺
実際に私が投資系特殊詐欺で行なっていた手口です。「被害金額を取り戻す代わりに◯◯を買って欲しい」などと持ちかけます。内容詳細はかなり込み入ったものになるのでここでは割愛しますが、インチキリフォーム業者の名簿は「かなりおいしい名簿」でした。

4.見極めのポイント】

1.いきなり訪問してくる
2.頼んでもないのに無料点検をすると言い張る
3.不安を煽って契約を急かす

5.対策】

1.必ず複数の業者に点検をしてもらい、かつ見積もりを取りましょう
*複数のネットサービスなどもあります。「リフォーム 比較」などと検索すると出てきます。ここで、注意すべきは、事業実績のほか、ネットサービスの運営会社や提携先を見ると信頼出来るかどうかがある程度判断出来ます。

2.自分一人で判断しないこと
*ご家族の方がいれば、離れて暮らしていたとしても必ず相談しましょう。
*独り暮らしであれば、上記の「インターネットサービスの利用」や「国民生活センターへの問い合わせ」をしましょう。あなたの所に来た訪問業者名からインチキかどうかが分かるケースがあります(必ず分かるというわけではありませんのでご留意ください)

6.騙された後の対処法】

本ニュースに取り上げられている業者もそうですが、この手の業者は会社自体は存在しているケースがほとんどです。そのため、「クーリングオフ」が適用されるので少しでも不安を感じたらすぐに対処しましょう。

【7.こぼれ話】

余談ですが、私が投資系特殊詐欺に関わっていた時に、詐欺メンバーのうち2人が過去にこの点検商法を生業としていることが分かりました。一人はリフォーム系、もう一人は水漏れやシロアリ駆除の点検商法でした。

リフォームの点検商法を行なっていた人物は「サムニングループ(またはMHS)」という悪名高きインチキリフォーム業者の中核メンバーの一人でした。(この会社名を検索するとニュース記事が出てきます。)この男が言うには、家の外廻りを見てリフォーム跡がある住宅を狙うそうです。

リフォームを経験している方は、未経験者に比べてハードルが低いと言っていたことを記憶しています。

水漏れ・シロアリ駆除の点検商法を行なっていた人物は点検の際に「自分で水を撒き」水漏れしていると言っていたそうです。不思議なもので、それを信じる方がとても多いと言っていました。ある時、同様の手口を行なっていたら、ちょうど旦那さんが帰ってきて問い詰められ警察を呼ばれたそうです。その男は警察が来る前に走って逃げた、と言っていました。

【8.元・詐欺師の視点】

ほとんどの方は、自分の知らない事であればプロの意見を聞くのではないでしょうか?それも自分の住宅が危険にさらされているとなれば何かしら対応をしなければいけない、と思うはずです。

点検商法はまさにそこを突いてきます。これを防ぐには「複数の信頼出来る相手に相談する」ことです。インターネットサービスなども活用して自衛しましょう。

まとめ

以上が今回取り上げた詐欺事案に対する私の見解です。旧型詐欺ではありますが、一定数存在する詐欺事案なので取り上げました。

来週・再来週は新型詐欺について取り上げたいと思います。

文中註釈:
(1) 独立行政法人 国民生活センター(訪問販売によるリフォーム工事・点検商法

▶︎【元詐欺師が解説】いかにも怪しい「霊感商法詐欺」で数百万も騙される被害者が出るワケ

Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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