【今日の事件簿】遺体なき殺人。被害者は4人、完全犯罪をもくろんだ「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは

今から24年前の1月5日、埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人が逮捕されました。この事件は4人の愛犬家が殺害されバラバラにされた挙句、骨はドラム缶で燃やされ「遺体なき殺人」と呼ばれました。今回はこの事件について紹介していきます。

埼玉愛犬家連続殺人事件の詳細

1995(平成7)年の1月5日、埼玉県警は埼玉県熊谷市にあるペットショップの経営者、当時53歳の男Aと元妻の当時38歳の女Bを逮捕しました。逮捕された男Aは犬の繁殖場を建設していて1億円を超える借金があったことから、不当な犬の販売をおこなっていました。1人目の被害者となる当時39歳の男性に対して、実際は数十万円の犬を約1000万円で売り付けていました。

後日、男性は購入した犬の価値を知り犬の代金の返済を求めました。しかし、男Aは借金があったことなどから金を返せないと判断し、男性を殺害することを決意。男性を呼び出して栄養剤だと偽り、知人の獣医から犬の安楽死用として譲り受けていた薬剤(硝酸ストリキニーネ)を飲ませて殺害します。

2人目の被害者は犯人の男Aと親交があった当時51歳の暴力団関係者の男。3人目の被害者は、2人目の被害者の運転手であった当時21歳の男性でした。暴力団の男はペットショップで顧客とのトラブルがあった際の仲裁役などをつとめていましたが、ある日ふとしたことから、男Aが1人目の被害者の男性を殺害したことを知ります。

そして、男Aに口止め料として多額の金銭を要求し土地の権利証も要求。困った男Aと当時はまだ妻であったの女Bは殺害を決意します。また、この時に暴力団の男の運転手も口封じのために殺害しなければと結論。土地の権利証を渡して油断させ、2人に硝酸ストリキニーネ入りのカプセルを飲ませて殺害します。

4人目の被害者は行田市に住む当時54歳の主婦でした。主婦の次男がペットショップで働くようになったことから知り合い、ペットショップのオーナである男Aとその主婦は肉体関係を持つようになります。男Aは主婦に株主になるように持ちかけ出資金を搾取しようと企みますが、株主話しの嘘がバレることを恐れて金を搾取した後に殺害しようと決意。主婦の全財産である270万円を搾取した後に硝酸ストリキニーネ入りのカプセルを飲ませて殺害しました。

犯人逮捕まで

被害者4人の遺体はすべて解体され肉片は川に棄てられ、骨はドラム缶で焼かれました。燃えた灰はすべて山林や川に遺棄されたそうです。遺体なき殺人の解決には1人の男、Cの存在がありました。男Cはペットショップの役員で実はオーナである男Aに脅迫を受け、すべての事件の際に遺体の運搬や遺体を解体する場所を提供し、遺体の処理を手伝わされていたのです。

ある日、男Aの知り合いの元自衛官が詐欺容疑で逮捕され、これがきっかけで男C夫婦がこの事件に関与したことがわかり、まず男Cの妻が詐欺容疑で逮捕されます。そして、男Cも警察に出頭し、ここから男Aと女Bの犯行についても動き出すのです。遺体などは燃やされたりしていたため物証はないと思われましたが、男Cの供述に基づき山林や川底から技歯や骨片、携帯電話の基板などの証拠があがり男Aと女Bの逮捕に至りました。

裁判

この事件で殺害された4人の遺体は骨が粉々になるまで損壊させられていたため、身元の確認ができず、犯人の自供による証拠固めが中心となりました。男Aは、主犯は女Bとし、女Bは男Aが主犯だと主張。裁判でも物的証拠が少なく長期化しました。そして2001年3月、第1審で男Aと女Bに死刑判決が言い渡されます。

2人とも控訴しますが2005年7月、東京高等裁判所は控訴を棄却。さらに2人は上告するも2009年6月、最高裁判所は上告を棄却し2人の死刑が確定しました。ちなみに男Cは1996年6月に懲役3年の実刑判決が確定しています。その後、2017年3月に男Aは刑が執行されないまま東京拘置所で心臓発作を起こして死亡しています。

まとめ

今回紹介した事件は、犯人が借金によるお金目当てのために4人の命を奪い、遺体を跡形もなく処分するという残酷極まりない事件でした。多くの人が想像すらしたくない恐ろしい事件で、自分は巻き込まれないと思いたい事件ですが、誰にでも巻き込まれる可能性がある事件です。過剰に不安になる必要はありませんが、常日頃から何が起こるかわからないことを頭に入れて、できる限りの防犯対策をしていきましょう。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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