ストーカーのタイプ別特徴と、心の病の関係性について

ストーカーの行動には、つきまといや無言電話などが一般的で、行動が同じように思え、差がないように感じるかもしれません。
しかし、「心の中で起こった何か」という部分に違いがあります。どのような思いに突き動かされたのかという部分は、個人差があり大きく変わってきます。また、持ち合わせている心の病によっても変化するため、ストーカーの特徴を理解しておくことが大切です。

行動を起こす理由がわかれば、対処の仕方も変わってきます。今回は、そのあたりをお話ししたいと思います。

ストーカーにはさまざまなタイプがある

ストーカーは、相手に対して一方的な恋愛感情を抱き、「両想い」であると信じて疑わず、無言電話やつきまといなどの迷惑行為を繰り返します。拒否しても、それすら愛情の裏返しと受け取り、自分への好意として疑いません。これらは妄想からくるものです。

ストーカー行為の多くが、妄想から始まることがわかっています。しかし、すべてが同じパターンの精神状態で行動に示すかというと、そうではないことがわかっています。多くのストーカー研究者は、個々の性格や人格、心の背景などによってタイプがあるとしています。

ストーカー研究をしている有名な医師が分類したものを紹介していきたいと思います。

ポール・E・ミューレン医師の分類

ストーカー研究の第一人者であるポール・E・ミューレン医師は、ストーカーは4つのタイプに分けられると著書『ストーカーの心理―治療と問題の解決に向けて』に記しています。

【ポール・E・ミューレン医師による分類】

1. 親密追求型:

相手と両想いになることを強く願い、一方的に自分の好意を押し付けます。そして、「自分達は愛し合っている」とか、「自分を救えるのはこの人しかいない」などという妄想を勝手に抱いてしまいます。
相手の気持ちではなく自分の気持ち(欲求)で動くため、相手が自分の気持ちを強く拒否した場合、好意が憎さに変わってしまうことがあります。

また、面識のない相手に対して思いを募らせることが多いと言われています。(アイドルのストーカーなど)

2. 無資格型:

何らかの人格障害を患っているため、人と接することが苦手であったり相手の立場に立って考えたりすることができません。自己愛が強く、一方的に自分を受け入れること(求愛行動)を繰り返します。また、見返りを求めてくるのもこのタイプに分類され、見返りがないと攻撃するようになりますので、とても危険です。

このタイプは、罪悪感を全く持ちません。「相手が自分の欲求に応えるべき」と考えていて、支配的と言えます。

3. 憎悪型:

相手への好意ではなく、ストレスや憤りから不満を爆発させて嫌がらせをするタイプです。
面識があろうとなかろうと関係ありません。標的に決めた相手に、恐怖や混乱などを与えて満足を覚えるのです。

ストーキングの対象となる相手の選び方は、本当に些細なことをきっかけとします。そのため、「なぜ自分が嫌がらせを受けることになったのか」という理由がわからないことも多いようです。

4. 拒絶型:

このタイプは、元夫・元恋人といった深い関係にあった相手を付け狙います。
前回、紹介したケース(元恋人がストーカー行為をした)がこのタイプに当たると考えられます。
別れを切り出されたことが原因で、自分のプライドが大きく傷つけられたと感じ、「報復したい」、または「関係を修復したい」という思いにかられて行動に出ます。

相手への執着心だけでなく、別れを切り出されたことによる被害者意識が大きくかかわってきます。

「プライドを傷つけられた」という思いが強い場合、ストーキングするだけではおさまらず、相手を傷つける行動(傷害やレイプなど)に出ることもあり、このタイプもとても危険です。

*参考:『ストーカーの心理―治療と問題の解決に向けて』 サイエンス社
ポール・E. ミューレン 、ミシェル パテ、ローズマリー パーセル共著

福島章医師の分類

日本の犯罪精神医学の第一人者である福島章医師は、著書『新版 ストーカーの心理学』の中でストーカーを5つのタイプに分けています。

【福島章医師による分類】

1. 精神病系:

恋愛妄想などで自分とは無関係な人につきまとうことが多いタイプです。
ある種の精神病によって抱くさまざまな妄想が強く、相手も自分が好きであると信じて疑わないためストーキングを行います。

このタイプは、面識のない相手に起こすことが多いです。
先日もあるアイドルグループがファンにストーカー行為をされて訴えたということがありました。それがこのタイプに当たると考えます。

2. パラノイド系:

相手との恋愛妄想などでストーカー行為を行います。
他のタイプと違う点は、妄想の部分以外は正常に生活できていることです。しっかり計画を立て、実行に移します(秩序型)。また、言動も論理的であるため、一見普通に見えます。

このタイプの場合、多くは面識のない全く無関係な相手につきまとうことが多いといわれています。

3. ボーダーライン系:

このタイプは、人格が未成熟で自己中心的です。相手の立場に立って考えることができません。それに加え、相手を支配しようとします。ところが、社交的な一面も持ち合わせています。
これらの特徴から境界性パーソナリティ障害である可能性が考えられます。この病気は、愛情の喪失に恐怖を抱くことが特徴として挙げられます。

4. ナルシスト系:

自分の才能や仕事などに自信を持っており、それらを誇りに思う心(自負心)が強いために、自分を拒絶した相手にストーカー行為をするタイプです。ストーカーの典型のようなタイプで、求愛行動が絶たれると攻撃的になります。
最悪な場合は、殺人事件に発展することもあるので大変危険です。

5. サイコパス系:

このタイプは、相手が自分を好きであるといった被愛妄想を持ちません。自分の感情と欲望を一方的に押し付けます。そして相手を支配しようとするのが特徴です。
いわゆる反社会性パーソナリティ障害と言われている部類に属します。平気で社会のルールを破るようなことを繰り返し、攻撃性が強い面もあるため、暴力を加えたりレイプして相手を支配したりすることもあります。

*参考:『新版 ストーカーの心理学』
PHP新書 著:福島章

これまで紹介したタイプは、1つだけ持ち合わせているのではなく、複数のタイプを持ち合わせているケースがありますので、表面的な状態で決めつけてしまうのは良くありません。

ストーカー対策はすぐに!

ストーカーに狙われているかもと思ったらすぐに行動を起こすことが大切です。警察への相談が大切です。
面識のある相手の場合、警察に行くこと自体を避ける傾向になることがあります。自分に非がある場合は特にです。(別れを切り出したなど)でも、一番大切なのは命です。こちらに非があると思っていたとしても相手の立場などは二の次と考えてください。

警察に相談に行くと、証拠などがないかと聞かれます。証拠がないと、警察が動けないことになる場合があります。
著者の場合も最初は証拠がなかったために、頻繁な巡回が最大限ということがありました。ですから、証拠となるものを集めることは大切です。

【ストーカー対策】

・電話のかかってきた時間や内容(録音できるとよい)
・手紙やメールなど届いたものはすべてとっておく
・防犯ブザーや高音域の笛、防犯スプレーなどを持ち歩く
・会って話をするときは、必ず第三者となる人に面会に同席してもらう
・拒否することはしっかりと、あいまいな返事や態度は相手も引くことがありません。
・110番を登録しておく
・ネット上での書き込みはスクリーンショットなどを利用して証拠を残す
・盗撮などを避けるために洗濯物は室内、カーテンを閉めておく
・不審な物が届いたら、すぐに警察に届け出る
・個人情報が書いてあるものはシュレッターをかける
・できるだけ一人で行動しないこと、どうしてもの時はタクシーなどを利用する

警察などに相談すること以外に証拠集めや身を守るための方法はすぐにできます。
ゴミを漁って相手の情報を少しでも手に入れようとすることもあります。捨てる際も注意しましょう。

まとめ

ストーカーは心の状態からタイプに分けることができます。いくつもの特徴を持ち合わせることもありますので、危険な状態に陥らないように身を守ることを第一として考えてください。

今回紹介したストーカー対策は、どのタイプのストーカーにも使えます。警察でも教えてもらえますから、相談に行くことをおすすめします。
相手にストーキングされていると感じたら、すぐに対策をとりましょう。

▶︎第三回は、“電話で別れを告げた次の日「彼はストーカーになりました」。”をご覧ください。

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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