【今日の事件簿】当時の天皇が狙われた事件。桜田門事件とは

今から87年前の1月8日、桜田門事件が起きました。この事件は4つある大逆事件の最後の事件といわれ、昭和天皇の暗殺を狙った事件です。犯人の男は大韓民国臨時政府の抗日武装組織に属する男でした。今回はこの桜田門事件について詳しく紹介していきます。

桜田門事件の概要

1932(昭和7)年の1月8日、陸軍始観兵式のため、天皇が外出する行幸がおこなわれました。そして、行幸の帰り馬車と隊列で皇居に向かっていたところ、午前11時44分ごろに事件は起きました。馬車と隊列が皇居・桜田門の外、麹町区桜田町警視庁庁舎前に差し掛かったころ、突然参拝者の線から1人の男が沿道に飛び出し馬車に向かって手りゅう弾を投げつけてきたのです。

狙われた馬車は2両目の馬車で、手りゅう弾は馬車の左後輪付近に落ちて爆発。威力は小さく馬車の底に親指大の穴を2.3個開けた程度でした。被害が小さかったため馬車と隊列はそのまま走行し、午前11時51分ごろに無事皇居内に到着。この時の爆発で飛んだ破片によって騎乗随伴していた近衛騎兵1人と馬車馬2頭がケガをし、昭和天皇は3両目の馬車にのっていたため被害はありませんでした。

天皇が乗っていた馬車の前方約32mのところで爆発しましたが、天皇は車内にあっても慌てることなく極めて沈着冷静だったそうです。皇居に帰還しても特に事件に関して言葉をかけることもありませんでした。馬車に手りゅう弾を投げた襲撃者は1人で、その男はすぐに取り押さえられて逮捕されました。

犯人の男と事件の起こすまで

犯人の男は朝鮮独立を目指す金九が組織した抗日武装組織である「韓人愛国団」から派遣された男でした。この男は大韓民国朝鮮の漢城府龍山で生まれ、生家は土地を持ちながらも父が建築業と運送業で財をなした裕福な家庭でした。しかし、父が愛人と暮らしたり大病を患ったりして裕福であった家庭は一気に急落。男は経済的な理由から進学できずに早くから生計を立てるために働きました。

そして、職を転々とし、酒と賭博で身を崩して借金を抱え日本の大阪へ渡って職を探します。なかなか定職につけませんでしたが1929年ごろから大阪の石鹸卸しの会社に就職。ここで集金した代金を持ち逃げして東京に逃亡します。東京で就職するも長続きせずに1930年に中国の上海に渡りますが就職が思い通りにいかず、このころに同じ韓国人から大韓民国臨の庁舎を紹介されます。ここで、日本語が話せることから金九に工作員としてスカウトされ、天皇暗殺計画の実行犯として命を受けるのです。

男は1931年の12月17日に船に乗り込み12月19日に神戸に到着。その後、大阪に入り12月22日に東海道本線の超特急で上京し実行の機会を伺います。そして、12月28日の新聞で昭和天皇が観兵式に隣席することを知り実行を決意。犯行の前々日にバスの運転手から偶然、憲兵曹長の名刺を入手します。事件当日、この憲兵曹長の名刺を使って観兵式の警戒網を2回突破。当初は赤坂付近で襲撃する予定でした。しかし、付近の食堂で日本酒を飲んでいる間に馬車と隊列が過ぎてしまいます。男は慌ててタクシーで三宅坂の陸軍参謀本部付近で降り、そこから走って警視庁正門まで行き参拝者の列に混ざりました。

男は3両ある馬車のうち、どの馬車に天皇が乗っているか知りませんでした。ただ1両目の馬車には覚悟か決まらず手りゅう弾を投げそこない、2両目の馬車が来たところで覚悟が決まって手りゅう弾を投げたに過ぎなかったのです。ともあれ、男の天皇襲撃はあっさりと失敗に終わりました。

その後と事件の影響

この事件は刑法第七十三条の大逆罪に該当し、大審院特別権限に属するということで東京地方裁判所の検事正は、即日検事総長に送致。検事総長は直ちに大審院長に予審を請求し、大審院長は東京地方裁判所の判事に予審を命じて上席の予審判事によって取り調べがおこなわれました。そして、1932年6月末に予審は終了。大審院は7月に公判開廷日を決定して9月に公判が開かれました。公判は予審調書を採用して即日に結審。9月末に大審院大法廷において、特別裁判の被告に対して刑法第七十三条による極刑である死刑を言い渡し、10月に刑が執行されました。

この事件に驚愕した当時の内閣は内閣書記官の招集で緊急閣議を開き、政府の責任について協議しました。1923年に起きた大逆事件の1つである虎の門事件の際には、当時の内閣が総辞職したため、これに習おうと旅行中や病気療養中の大臣を除いた全員が辞表を提出します。しかし、昭和天皇が時局の重大さから事態の収拾を命じ、内閣は留任することになりました。

まとめ

今回紹介した事件は当時の天皇が狙われるという大逆事件の1つです。この事件は我々一般人に置き換えると無差別に襲われる事件と言えるでしょう。手りゅう弾を投げつけられることは現在では考えられませんが、ナイフ等で襲われる無差別殺傷事件は数多く起っています。こうした事件に巻き込まれないためには普段から何が起こるかわからないという防犯意識を高め、できる限りの防犯対策が必要です。

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Moly.jp編集部

 

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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