【今日の事件簿】被害者の妻が犯人?捜索願は虚偽だった…「新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件」とは

今から13年前の1月10日、新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件の犯人が逮捕されました。この事件は新宿や渋谷などに遺体の一部が遺棄された事件で、当初は暴力団の抗争による事件などと思われていました。今回はこの新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件について紹介していきます。

新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件の概要

2006年12月16日、東京都新宿区西新宿の路上でビニール袋に入った人間の上半身だけの遺体が見つかりました。発見当初、新宿歌舞伎町に近い新宿という土地柄から遺体は外国人ではないかと思われ、暴力団関係者の抗争や中国人マフィアなどによる犯行ではないかと推測されました。しかし、12月28日に今度は渋谷区内の空き民家の庭で、人間の下半身だけの遺体が発見され、新宿で見つかった遺体とDNAが一致。遺体が外資系不動産投資会社に勤める当時30歳の日本人男性だと判明したのです。

そして、年が明けた2007(平成19)年1月10日、警察は被害男性の妻を逮捕します。逮捕のきっかけとなったのは妻が出していた捜索願にありました。妻は新宿で遺体が発見される前日に「主人が11日に会社に出たまま帰宅しない」と警察に捜索願を出していたのです。そこには行方不明になっている夫の特徴として、胸に手術痕があると記載されていました。

遺体発見当初、遺体の身長がはっきりとわからず捜索願が出された夫の身長より低いとみなされ、捜査本部はリストから外していました。しかし、渋谷で下半身が見つかり、身長が判明して捜索願に出された夫もリストに含まれ、再捜査がおこなわれたのです。そして、妻が夫の特徴として捜索願に記載した胸の手術痕について捜査員が夫の周辺に聞き込みをしたところ、手術痕などなかったことが判明。妻の虚偽の捜索願が明らかとなり、妻も捜査線上に上がって任意で事情を聞きました。すると妻はあっさりと容疑を認め、その場で逮捕されたのです。

夫婦と犯行の詳細

この夫婦は2002年の11月頃に知り合い同棲を経て、妊娠を期に2003年に結婚。しかし、妻は当時夫に不安を感じ、子どもを堕胎しています。夫婦は結婚後数カ月で不仲となり、夫は妻に暴力を振るうように。妻は心的外傷性ストレス障害などを発症し一時期夫の暴力から逃れるため、シェルターと呼ばれる保護施設に避難していたそうです。また、お互いに愛人を作っていました。

そして、2006年12月12日の午前6時頃、妻は自宅のマンションで中身の入ったワインの瓶で夫の頭を滅多打ちにして殺害。頭には8カ所の挫創と亀裂骨折があったそうです。殺害2日目の14日には遺体からの腐臭により女は遺体の処理のため、動き出します。土やブルーシート、台車やのこぎりなどを購入し、倒したクローゼットに土を詰め血液が流れないようにして遺体をバラバラにしました。

当時のノートには「フット、ヘッド、ハンド、バラバラ完了」と書き残されていたそうです。女は12月15日の深夜から16日の早朝にかけて、新宿や渋谷に遺体を遺棄しに向かいました。指紋からの事件発覚を恐れて腕や手首などは生ゴミとして出し、上半身を新宿に遺棄。下半身を渋谷に遺棄した後、頭部は電車で町田にある公園に行って埋めました。ちなみに頭部は女の逮捕後に発見されています。

裁判

女の裁判は2007年12月20日から、東京地方裁判所で開かれ、注目を浴びたのは弁護側・検察側両方の証人に、夫婦双方の愛人が出廷したことでした。また、裁判の争点は犯行当時の女の精神状態と責任能力の有無でした。そして、2008年4月28日、東京地方裁判所は女の犯行時の完全責任能力を認め、女に懲役15年の実刑判決を言い渡します。女の弁護人は控訴しますが、2010年6月、東京高等裁判所でおこなわれた控訴審の判決公判で1審の判決を支持し、控訴を棄却。女側が控訴をしなかったため懲役刑が確定しました。

まとめ

今回紹介した事件は妻が夫の暴力に耐えきれなくなり殺害し、バラバラにして遺棄した事件でした。男女間のトラブルによる殺人事件はいつの時代にも多く起きています。こうした事件を防ぐには一時的な感情に流されないことです。また、少しでもトラブルが起きた場合は、第三者に相談することも大切となります。一瞬の感情に流されて行動してしまうと、今回紹介した事件のように取り返しのつかないことになってしまうケースもありますので、十分に気をつけましょう。

▶︎【7月13日の事件】母が幼き我が子を2年も冷蔵庫へ…その原因はDV?

Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

関連記事

  1. 【5月20日の事件】佐賀男児ひき逃げ事件に学ぶ、交通事故で殺人未遂が適用されるケース

  2. 【今日の事件簿】”死の使徒”と呼ばれた兄を持つペルー人の男が起こした熊谷連続殺人事件

  3. 【消えない傷】中高生の被害が増加しているリベンジポルノの危険性と対策について解説

  4. 【焦るな!】クリぼっち回避でマッチングアプリを使う危険性は?

  5. 【今日の事件簿】突然住宅地にジェット機が墜落!横浜米軍墜落事件とは

  6. 【7月25日の事件】被害者は合計67人。和歌山カレー事件とお祭りでの防犯対策

  7. 【今日の事件簿】殺人鬼になった背景には「いじめ」があった?門真市一家4人殺傷事件

  8. 【今日の事件簿】性犯罪再発防止プログラム導入に繋がった、奈良小1女児殺害事件とは

  9. 【5月25日の事件】AKB48の握手会で起きた切りつけ事件から5年。イベントでの防犯対策とは?

Moly.jp公式メルマガ

↓ Moly.jp公式メルマガです ↓

【防犯ジャーナリスト河合成樹】が最新の人気記事の独自紹介や裏話、お得な防犯グッズのご紹介や緊急防犯対策などを配信します。ぜひ、読者登録をお願いします

※メルマガにご登録していただいた情報は非公開の上、厳重に管理します。詳細については、プライバシーポリシーをご覧ください。

人気記事

  1. 実は不審者は目立たない? その特徴とは
PAGE TOP