【今日の事件簿】教授の思いやりが仇に?「中央大学教授刺殺事件」とは

今から11年前の1月14日、中央大学教授刺殺事件が起きました。この事件で逮捕されたのは、殺された教授の元教え子でした。今回はこの中央大学教授刺殺事件を詳しく紹介していきます。

中央大学教授刺殺事件の詳細

2009(平成21)年1月14日の午前10時25分頃、「男性が刃物で刺された」と119番通報がありました。東京消防庁の救急隊員が現場である中央大学後楽園キャンパス1号館4階のトイレに駆け付けたところ、トイレ内で男性が背中などから血を流して倒れているのを発見。すぐに病院に搬送しましたが、11時30分に死亡が確認されました。男性は背後から刃物で襲われたとみられ、警視庁は殺人容疑で捜査を開始しました。

殺害されたのは中央大学の理工学部の教授で当時45歳の男性と判明。犯行当日、教授は午前10時ごろにキャンパスに到着し、10時40分には講義を始める予定で4階にある教授室にカバンなどを置きトイレに入ったところを襲われたそうです。こうした状況から犯人が教授のスケジュールなどを把握し、教授の行動を追っていたと考えられ、入念に準備した強い怨恨による犯行だと思われました。

現場近くでは事件当初、黒っぽい帽子に黒のコートを着た不審な男が目撃され、遺体の第一発見者であるスイス人の元留学生も、その男と遺体発見直前にすれ違っていたそうです。その後も警察は犯行時刻前後に館内にいた学生らに事情を聞くなどして、この不審者の割り出しを進めていました。そして、1人の男が浮上します。その男は殺された教授の卒論ゼミの元教え子で、当時28歳の男でした。犯人逮捕のきっかけとなったのは殺された教授の爪に残っていた微物でした。

その微物のDNA型が捜査線上に上がった男の物と一致。犯行から約4カ月経った5月21日にこの男を殺人容疑で逮捕しました。

犯人の男と犯行動機

犯人の男は両親が40代の頃に生まれた一人っ子で、両親の愛情を一身に受けて育ちました。母親からの愛情は異常で、息子が望むものは何でも買ってやり息子のために何軒もの塾に通わせていました。息子がケガをしたときには異常な数の通院を繰り返したり、息子が就職先を自主退職したにもかかわらず母親が会社に乗り込んで辞表の撤回を頼み込んだりしていたそうです。

当の本人の性格は内気でおとなしく人間関係がうまく取れずにいつも1人でいるような子でした。男は理系科目が得意なことから現役で中央大学理工学部に進学しますが、ここでも周囲になじめず孤立していたそうです。そんな中、男に親しく接したのが殺害された教授でした。男は教授と離れたくなかったのか大学卒業後は大学院に進学したいと教授に相談しますが、教授は人付き合いが苦手なことからむしろ社会に出てコミュニケーションスキルを上げることを勧めたそうです。

男は教授の助言通り大学卒業後には食品メーカーに就職しますが、約2カ月で退社。翌年に電気機器会社に再就職しますが、ここも3カ月の試用期間で退社してしまいます。その次に入った別の会社も4カ月ほどで辞めてしまい、事件当初はホームセンターなどでアルバイトをしていたそうです。犯行動機に関しては逮捕後一貫して黙認し、詳しく話そうとしませんでしたが、卒業前の忘年会で教授に話しかけてもらえなかったことなど、教授に対しての不満を述べていました。

警察は男が転職を繰り返す境遇に不満や不安を持ち、就職を勧めた教授を一方的に恨んでいたのではないかという見方をしています。一方で教授は生前、極端なほど周囲とのコミュニケーションが取れない男に対していつも気にかけ、周囲に「あいつが心配だ」「社会に上手く適合できないから、何とかしなければならない」などと話していたそうです。

裁判

犯行当時の男の責任能力の有無を判断するために東京地方検察庁は、2009年6月から3カ月半かけて精神鑑定をおこないました。そして、責任能力はあるとして2009年10月に殺人容疑で起訴。男の裁判は2010年11月に初公判が開かれました。冒頭陳述では検察側・弁護人側双方が、被告人は妄想性障害があり心神耗弱だったと主張。そのうえで被告側は起訴内容を認めました。そして、2010年12月東京地方裁判所は男に対して懲役18年の判決を言い渡し、検察側と弁護側双方が控訴しなかったため刑が確定しました。

まとめ

今回紹介した事件は元教え子の逆恨みによる犯行だと推測されます。元教え子を心配する教授の想いを知らず、その教授を逆恨みして殺してしまうという人間関係の難しさを感じる事件でした。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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