ある日、後ろで私の名前を呼んだのは「ブログにコメントをしていた見知らぬ男でした」。

リアルな世界のストーカーは、面識がある人が多いのが特徴でした。インターネットが普及している現在、ネットの世界から情報を追い、リアル世界まで追いかけてくるネットストーカーがいます。これは面識がなくても起こります。

相手の情報をどこまでも拾い集め、それを元にリアル世界に出てきて相手を支配しようとします。インターネットがどこでも使える今、とても怖いストーカー犯罪となっています。

今回は、動機が『恋愛感情』によって起こるものについて、被害に遭われた方の話を紹介しながら行動や心理についてみていきたいと思います。

恋愛感情を持ったネットストーカーの行動

ネット上で気に入った相手を見つけることから始まります。SNSやブログなどのネット上で出会った相手に固執し、しつこくつきまとうのがネットストーカーです。

気に入った相手のことは、執拗に調べ上げます。

最初は、SNSやブログなどで公開されているプロフィールや写真で満足しているのですが、次第に「もっと知りたい」となり、情報収集が尋常ではない集め方になっていきます。

コメントや発言することだけでは足りず、相手がどこにいるのかを調べ上げます。それも写真に写り込んだ背景から場所を特定したり、位置情報を手に入れたりと個人情報を集めるようになり、リアルな世界での接触を図ろうとします。

接触を図り、拒否されるなどの態度を取られると個人情報をネット上で無断公開するといった行動に出ることもあるので、早急な対応や対策が必要です。

実例:ネットストーカーが接触

以前、相談に来られた人の中に、ブログでコメントをしてくる人が突然会いに来たという経験をされた方がいました。

Oさん(当時24歳・会社員・女性)は、「不安感があり怖さを感じる」とのことで著者のところにやってきました。ある日突然、見知らぬ男性がアパートの前にやってきて以来、怖さがつきまとっているというのです。

1.きっかけ

Oさんは、当時ブログをやっていて、気に入った物や場所などを写真と一緒に紹介していたそうです。

ほぼ毎日のように更新して、コメントが来るのも楽しかったと言います。最初は物や場所だけでしたが、次第に自撮りした写真も載せるようになりました。自撮りの写真の方が、かえってくるコメントが多く、「認められているようで、気にかけてもらえているようでうれしかった」と話していました。

その頃からある特定の男性だけ、毎日のようにコメントやメッセージを送ってきたそうです。その男性からは「かわいい」とか「良く撮れているね」など賛辞のコメントばかりで、Oさんはうれしく思っていました。

同じ頃、Oさんは彼氏と婚約し、ブログにはブライダルフェアの写真やドレスの試着の写真を出すことが多くなったといいます。そしたら、その男性からのコメントが悪意的な内容に変わってきたので、コメントの投稿を制限したそうです。

2.接触

その頃から、結婚準備でブログの更新回数は減りましたが、それでもブログは続けていたそうです。新居を選んでいるところも投稿したことがあったといいます。その当時は、変なコメントを見ることもなくなっていたせいもあり、安心していたとOさんは当時を振り返っていました。

そんなある日、仕事が終わって帰宅する最中、つけられているような変な感じがしたそうです。しかし、大通りを通っていたので気のせいだと思っていたといいます。ところが、アパートの前まできたとき、名前を呼ばれて振り返りました。後ろには男性が立っていて、悪意的なコメントをしてきたアカウントユーザー名を名乗ったそうです。

Oさんは驚き、その場で悲鳴を上げたと言います。その男性は悲鳴に驚いたのか何も言わずに逃げていき、Oさんは近くの交番に逃げ込みました。お巡りさんに事の次第を話し、婚約者には迎えに来てもらいました。お巡りさんはOさんのアパートの前を定期的に巡回してくれると言ってくれたそうです。

3.ブログの閉鎖と引っ越し

婚約者の自宅に着くとすぐにブログを閉鎖しました。そして、スマホの位置情報を無効にして、引っ越しを早めることにしたのです。ブログに載せてしまっていた地域は避け、まったく反対方向の地域でセキュリティのしっかりしたところに引っ越しを決めました。自宅に帰ることはやめ、引っ越しが済むまで婚約者と一緒にタクシーやバスを使って婚約者宅に帰るようにしたそうです。

引っ越しも業者を頼もうと思っていたのですが、その男性に調べられるのではないかと思い、友人たちに事情を話し、協力を頼んだとのことでした。

その後、その男性が現れることはなかったそうです。ブログ閉鎖から引っ越しまでがとても速く、常に誰かが傍にいる状況を故意に作ったことが良かったのでしょう。または、その男性は気が弱く、悲鳴を上げられたことで向こうも驚き、近づくのをあきらめたのかもしれません。

Oさんは、本名を公開していませんでした。住んでいる地域も会社も個人的なことは公開していません。それでも本名を突き止め、住んでいるアパートまで特定してきたのです。何をどうしたのかはわかりませんが、ネット上で情報を集めたようです。

実例のネットストーカーの分類と心理状態

ネットストーカーもリアルな世界のストーカーと同じ扱いです。相手を「支配したい」・「付き合いたい」・「自分のものにしたい」という自分勝手な非愛妄想からきています。そのため、ストーカーの分類と変わりはありません。

今回のOさんの例を見てみましょう。

相手は、Oさんの個人情報を突き止め接触を図るというところまできたのに、悲鳴を上げられただけで逃げています。ストーカー研究の第一人者であるポール・E・ミューレン医師の分類方法で見てみますと、Oさんにストーキング行為をした相手は、「親密追求型」に分類できます。

面識のない相手に対して思いを募らせていることや、手紙などではなく直接接触を図るといった方法を取っているなどの行動パターンからそう思われます。また、悲鳴を上げられてすぐに逃げ出すといった行動から、対人関係などの未熟さや恋愛経験の少なさが伺えます。

「親密追求型」のストーカーの性格に、気の弱さや権力に逆らわないなどの特徴があると、暴力的な行動に出ることはほとんどないと言われています。今回のストーカーも同じような特徴を持ち合わせていたのではないかと思われます。

規制・法律の状況

2017年にSNSを含めた部分の改定があり、ネットストーカーもストーカー規制法が適応となっています。

2016年5月、小金井ストーカー殺人未遂事件が起こったことは記憶に新しいかと思います。
これは、アイドル活動を行っていた女性に対し、ファンだった男性がSNS上でストーカー行為を繰り返し、さらには刺殺しようとした事件です。この事件がきっかけとなって、SNSの部分も追加されることになりました。

・LINEやFacebook、Twitterなどへの執拗なメッセージ送信
・ブログを含むSNSのダイレクトメッセージ等へのコメント
などが規制の対象となっています。

また、2017年から非親告罪(被害者などの告訴がなくても公訴を提起できる犯罪)の扱いになりましたので、警察がより動きやすく取り締まりやすくなったといえるでしょう。

対策

ネットストーカーは、ネット上にある個人情報を集め、支配したいと考えて行動を起こします。ですから、個人情報が出ないようにすることが大切です。

【今すぐにできること】

・自宅や会社・学校などが特定されやすいところでの自撮りはしない
・制服が写り込まないようにする
・SNSなどは公開制限をかける
・タグ付けは十分に注意する
・写真に位置情報がつかないようにする
・文章で場所を特定されないように言葉選びに注意する
など。

被害が疑われるような場合は、証拠となるようにコメントなどをスクリーンショットするなどして、警察へ相談に行くことをおすすめします。決して挑発的な発言をしたり、自分1人で対応したりしないでください。

まとめ

ネットストーカーは、あらゆる手を使って個人情報を集めようとします。接触を図ろうとしたり誹謗中傷を書き込んだりすることもあり、リアル世界に現れるストーカーと同じくらい危険です。

規制法があるので、警察が動きやすくなっていますが、なるべく狙われないように気をつけることも大切です。SNSは大変便利なツールです。安全に使えるように個人情報が漏れないように対策を講じるようにして利用していきましょう。

▶︎ストーカーのタイプ別特徴と、心の病の関係性について

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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