【今日の事件簿】壮絶な虐待と3ヶ月近い絶食で体重わずか24キロ…岸和田中学生虐待事件

今から16年前の1月25日、岸和田中学生虐待事件の犯人が逮捕されました。この事件で被害者となった中学3年生の男子生徒の体重は、たった24キロしかなく餓死寸前だったそうです。今回はこの岸和田中学生虐待事件について詳しく紹介していきます。

岸和田中学生虐待事件の概要

2003年11月2日の早朝、1本の119番通報が岸和田市消防本部に入ります。救急隊員が現場に駆け付けたところ中学3年生の男子生徒が横たわっており、年齢からは想像できないほど小柄で異常に痩せていました。意識不明で自発呼吸もほとんどできず、搬送された病院ではほぼ心肺停止の状態で蘇生措置が実施されました。救急隊員が両親に事情を聞いたところ4日前まで歩き、数日前まで食事を摂っていたなどと男子生徒の状態からは信じがたい応答が帰ってきたため、警察に通告。警察による事情聴取と捜査が開始されました。

大阪府監察医による鑑定も実施され、3カ月近い絶食又はそれに準ずる絶食状態にあったという結果がでたのです。病院や警察から提供された資料を加えて検討した結果、男子生徒は「被虐待児症候群」とされ、この虐待者の行為は極めて残虐で殺人的行為であると断定。2004(平成16)年1月25日に、この男子生徒の両親が逮捕されました。男子生徒は意識不明の状態が続き何とか一命と取り留めましたが、脳委縮などにより知能が著しく低下し身体にも障害と後遺症が残ったそうです。

犯人と事件の詳細

この一家は、もともと被害に遭った男子生徒と父親が血のつながった親子でした。父親と男子生徒の実母の間には、1つ下の実弟がいます。父親と実母は事件発覚の8年前に離婚し、男子生徒と実弟は父方の祖父母宅に預けられていました。そして、父親が1998年ごろから子連れの女性と一緒に住むようになります。この女性が継母となり、この事件の犯人の1人となるのです。

父親は2001年4月、被害男子生徒が中学に上がるタイミングで引き取り、継母とその連れ子の4人で生活するようになります。中学1年生当時は、男子生徒は学年代表を務めるなど元気で活発でした。しかし、翌年2002年の4月実弟も中学に入るタイミングで父親宅に引き取られ、この年の6月から2人の兄弟に対する虐待が徐々に始まったとされています。始めはどこの家庭にもある子どものわがままやいたずら、兄弟げんかに対するしつけから始まりました。継母は男子生徒とその実弟の悪い点を矯正しようと努力します。

初めは言うことを聞かなかったり2人がケンカしたりすると、正座させて説教したり食事を抜いたりと致命的なダメージを与えるまではいきませんでした。しかし、実の母親ではなかったことから焦りもあったのか、そのしつけが次第にエスカレートしていくのです。父親も2人に暴力を振るっていましたが、2人が思春期ということもあって父親に文句を言うようになり、同じことを執拗に何回も繰り返すので、父親の堪忍袋の緒が切れて殴りつけるようになったそうです。

両親の虐待はエスカレートし、2人の兄弟に対して全身を殴打するようになり、正座も一晩中続きました。また、タバコの火を顔に押し付けたり、ふろの残り湯に顔を沈めたり食事も3~4日に1回しか食べさせなかったりしました。兄弟は虐待に耐えかね、何度か以前住んでいた父方の祖父母の家に逃げますが、その都度連れ戻され、さらにひどい虐待を受けるようになります。継母は虐待が発覚することを恐れて2人を学校に行かせないようし、訪問してきた担任教師や友人を追い返していたそうです。

そして、兄弟は2002年11月にも父方の祖父母の家に避難し、その時は男子生徒だけが連れ戻され、実弟は祖父母の家にとどまりました。連れ戻された男子生徒は、その後激しい虐待を受けるように。2003年6月には極度に痩せ細り、7月中旬には大便を洩らして自分で食べるという異常な行動をとるようになります。両親はそれをみて病院に連れて行かなければ死んでしまうかもしれないと思いますが、虐待が発覚するのを恐れて死んでも仕方がないと殺意を抱き始めます。

男子生徒は2003年9月には自分で物を食べることができなくなり、10月には座ることも言語を発することもなくなりました。両親は死期が近いと感じつつも放置し続け、11月2日に男子生徒の意識が無くなって脈も止まったので死亡したと思い、119番通報をしたのです。父親は警察などに事情を聞かれたときのために、学校でのいじめにより拒食症となったなどと口裏を合わせるように継母に指示していたそうです。

裁判

2004年5月、父親と継母の初公判がおこなわれ約1年後に判決公判がおこなわれました。父親はそこで懲役14年の実刑判決を言い渡され、2007年3月には継母にも懲役14年の実刑判決が言い渡されました。

まとめ

今回紹介した事件は社会に衝撃を与え、多くの人が心を痛めた事件です。しかし、この事件は、どこの家庭にもあるしつけから始まっています。こうした事件を起こさないためにも子育てに悩んだら恥ずかしがらずに、自治体が運営する子育て支援センターや児童相談所などに相談することが大切です。

▶︎【思わず背筋がゾッとする…】急増する児童虐待とブラックすぎる児童相談所の実態

Moly.jp編集部

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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