【今日の事件簿】8人も殺害したのに死刑囚が恩赦で出獄?「和歌山一家8人殺害事件」とは

今から74年前の1月29日、和歌山一家8人殺害事件が起きました。この事件は犯人の男に死刑判決が出たにもかかわらず、恩赦によって減刑され後に出獄した事件です。今回はこの和歌山一家8人殺害事件について紹介していきます。

和歌山一家8人殺害事件の概要

1946(昭和21)年1月29日の深夜、和歌山県和歌山市で一家8人が殺されるという大量殺人事件が起きました。殺されたのはこの家に住む当時42歳の父親と当時41歳の母親、そして6人の子どもたちでした。子どもはそれぞれ16歳、13歳、7歳、3歳の男児と14歳、10歳の女児だったそうです。犯人と思われたのは事件の前年1945年10月、通信兵から復員して、殺害された一家に身を寄せていた父親の実の弟でした。

理由は事件後の家に書置きがあり、そこに「これは母の敵討ちだ。1カ月後に自首する」と書かれていたのです。しかし、犯人と思われる弟は1カ月経っても出頭しませんでした。この男は事件後、長崎県内の炭鉱で偽名を使って働いていたそうです。そして、1948年3月19日に良心の呵責に耐えきれなくなり、大阪にある新聞社に現れたところを逮捕されました。

犯人と事件の詳細

犯人の男は大正9年に和歌山市で生まれ、父親は県庁官吏として働いていました。裕福な家庭でしたが男が9歳のときに父親が病死。15歳年上の兄が自宅の隣で歯科医院を開業していたため、そこに母親とともに住むようになります。兄には以前から両親から結婚を反対されていた女性がいましたが、父親の病死とともに結婚を強引に押し進め、母親は反対していましたが渋々認める形で結婚しました。

結婚当初は穏やかな日々が続きましたが、母親が老いていくにつれ兄嫁の発言力が強くなり姑いじめが始まって、いざこざが絶えなくなります。そんな環境に耐えきれなくなった男は、昭和15年3月に志願兵として陸軍通信隊に入隊。入隊から5カ月後、男の元に母危篤を伝える電報が届きます。部隊に申請して一時帰省し母の衰弱した姿を見て、男は兄嫁に虐待されていると思います。このときは危篤を脱したため帰隊しますが、その3カ月後に母親は心臓麻痺で亡くなってしまいます。

男は兄嫁に復讐しようと考えますが、証拠もなく叔父になだめられたため実行はせずに隊に戻り、戦時中は中国や北海道などを転戦しました。そして、戦後1945年10月に復員した男は、空爆で焼け野原となった跡地にバラック造りの家で暮らす兄一家に暖かく迎えられます。その時、男は母のことはすべてを水に流そうと思い、しばらくは穏やかに過ごしました。

しかし、事件を起こす2日前の1946年1月27日の夕食時に兄嫁が心臓麻痺で亡くなった母親の死ぬ間際の様子を真似して話しました。その心無い仕草などを見て、男の復讐心に再び火を付けます。そして、1月29日の深夜、男は手斧にノミを用意して兄嫁と兄を殺害。両親がいなくなった子どもたちの行く末を案じて、6人の子どもも全て殺害しました。

裁判とその後

合計8人を殺害した男には1948年4月、和歌山地方裁判所が死刑判決を言い渡しました。控訴審でも同年12月に控訴棄却という判決を下し、男は上告しないと表明していましたが弁護人が最高裁判所に上告。最高裁判所は被告人に反した上告は不適合だとして、1949年8月に上告を棄却し、死刑が確定しました。

8人殺害して死刑が確定した男でしたが、1952年のサンフランシスコ講和条約によって政令恩赦がおこなわれ減刑されます。そして、1968年の春に男は出所しました。この恩赦では殺人罪のみで死刑が確定した者が対象となり、強盗殺人罪といった複数罪状の死刑囚は対象となっていません。この時、男と同じように小田原一家5人殺害事件で有罪となり、確定死刑囚となった男も減刑されています。

まとめ

今回紹介した事件は8人もの命を奪った男が、サンフランシスコ講和条約の記念恩赦という、時のめぐりあわせによって減刑された事件です。どんな理由があろうとも殺人は決して許されることではありません。また、殺人は人間の心の動きがきっかけとなり、人の心は見えないため、いつ殺人事件に巻き込まれるかわからないのが現状です。巻き込まれないためには、まず、いつ何が起こるかわからないという意識と、人に対しての思いやりが大切となります。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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