【世界の未解決事件】17歳で終身刑の判決。28年後に冤罪で仮釈放された「マイケル・バルデュー事件」

マイケル・バルデュー事件とは?

マイケル・バルデュー事件とはアメリカで起こった冤罪事件の一つであり、肝心の殺人事件の犯人が捕まっていないという未解決事件の被害者の一人だと言えるでしょう。この事件の発端は、1973年に当時17歳の少年、マイケル・バルデューが3件の殺人事件の容疑者として逮捕されたことで起こりました。

マイケルは当然無実ではありましたが、17歳で72時間も勾留されていたために精神的に追い詰められ、自分がやったと自白して起訴されてしまったのです。3件の殺人事件のうち、ボルドウィン郡で1件、モービル郡で2件起こっており、マイケルはその2ヶ所で裁判を受け、2件とも終身刑が言い渡されました。

事件の詳細について

終身刑が言い渡されたマイケルは、後に妻となる女性と出会ったことをきっかけに終身刑の判決が不当なものだとして無罪を主張し始めます。しかし、当時のマイケルには弁護士を雇うお金がなかったため、すぐに裁判を開始できる状態ではありませんでした。

それでも諦めなかったマイケルは警察がでっち上げたとされる証拠や死亡証明書の矛盾点、唯一の物的証拠となる銃が殺人に使われていないと鑑定されたこと、自分が殺人事件を引き起こしたとされる物的証拠や状況証拠が何一つないことなどの証拠を集めていました。

上記の証拠に加えて、マイケルは当時父親から虐待を受けていた影響によって取り調べの際に暴行を受け、逆らえなかったと主張しました。マイケルの父親は1972年に妻を殺害し、傷害致死の罪で懲役7年の判決を受けています。

また、アメリカでは取り調べの際に暴行を加えることを禁止しているため、これが公になれば終身刑の判決が覆るだろうと予想していました。その甲斐あって連邦裁判所は1994年に裁判を開始することを決定しましたが、検事が提出した自白内容を録音したカセットテープと証言者によって、マイケルの終身刑判決が覆ることはなく、さらに100年の禁固刑を言い渡されました。

しかし、証言者の女性は当時モービル刑務所にボーイフレンドに会いに行った際、そこで会ったマイケルは確かに殺害を認めたという証言をしましたが、当時のその女性は14歳だったことから刑務所に入れるはずがなかったのです。

そもそも会いに行ったとされるボーイフレンドは当時服役していなかっただけでなく、1973年に行われた裁判でカセットテープの存在が全く認知されていなかったにもかかわらず突然カセットテープが出てきたことにも疑いの目が向けられていました。

そしてカセットテープの録音内容は1時間49分26秒にも及ぶ長時間、そして8回もの中断を行ったことから控訴院ではカセットテープを証拠として認めない形で再び裁判を開始するように命じました。

そして1997年、モービルとボルドウィンの検事は殺人容疑を取り下げ、逮捕されてから26年でマイケルの無罪が確定しました。

事件の行方

無罪が確定したマイケルですが、無情にも再び終身刑が言い渡されてしまったのです。何故なら、マイケルは自分が犯人であるはずがないのに冤罪で捕まっているわけにはいかないと思い、1977年、1978年、1987年に脱獄したからです。

最初の脱獄の際には看守のピストルを窃盗し、1987年には副刑務長官の侵入に対してスリー・ストライク法、いわゆる三振法が適用されました。もちろんマイケルは冤罪がなければ脱獄しなかったと主張しますが、裁判官は脱獄したこと自体は無罪ではないとしました。

そして現在でも三振法が適用されれば盲目的に判決を下すようになっていて、裁判官の裁量が全く意味を成さない状況だったのです。しかし、2000年3月10日にアラバマ州の最高裁判所ではもう一度判決が見直され、手続き上の規則が守られていなかったとしてピストルの窃盗の判決を無効にしました。

1978年の脱獄についても手続きに不備が見つかったことで無効となり、紆余曲折あって訴訟が適用され、一連の無効判決が確定しました。2000年12月12日には最低5年間の仮釈放を条件にすることで仮釈放を受け入れ、2001年2月25日にマイケルは仮釈放されました。

マイケルはこれまで何十年と勾留されていたことから民事訴訟を引き起こし、3億円の賠償金を獲得したそうです。ただ、この仮釈放はすぐに実行されたわけではありません。1978年の脱獄に関する無効判決を経て、窃盗の罪で三振法が適用されたことによる終身刑から禁固20年に減刑され、6年2ヶ月を処分保留にすることでようやく仮釈放が認められたのです。

まとめ

この事件、元々は無実の少年が殺人事件の犯人だと決めつけられた起こった冤罪事件でした。そして当の3件の殺人事件の犯人は逮捕されていないため、結局未解決事件となってしまいました。残ったのはマイケルという17歳から続いた長い服役と勾留に人生を費やした被害者に対する冤罪事件だけです。

司法制度に問題があり、三振法という盲目的なシステムによって終身刑になってしまうなんて信じられない話です。これからはこの三振法を見直すきっかけになることを祈るばかりです。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
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河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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