性犯罪は減っている?増えている?平成30年度の性犯罪の認知件数

警察庁が毎年取りまとめている犯罪統計資料(対前年同期比較)では、様々な犯罪に関する統計が取りまとめられています。
特に多くの女性が気になる性犯罪に注目し、統計から性犯罪の傾向を見てみましょう。

刑法犯全体で見ると…

まずは刑法犯全体の総数が直近5年でどのような傾向にあるかを見てみましょう。

出典:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ

2017年(H29)以前も刑法犯全体の総数は減少傾向にありましたが、2018年(H30)も引き続きその傾向が続いています。
認知件数は2014年(H26)には1,212,163件ですが、2018年には817,338件、2014年の7割程度まで減少しています。

そもそも性犯罪、性暴力の定義とは

性犯罪に関する統計を見る事前準備として、改めて「性犯罪」「性暴力」とは何か確認しておきましょう

性暴力とは
いつ、どこで、だれと、どのような性的な関係を持つかは、あなたが決めることができます。
望まない性的な行為は、性的な暴力にあたります。
出典:性犯罪・性暴力とは | 内閣府男女共同参画局

つまり、性犯罪とは性暴力などの手段を使い、抵抗できない状況下で行われる強制性交等や強制わいせつなどの犯罪と言えます。

直近5年間の認知件数

2014~2018年の刑法犯総数、強制性交等、強制わいせつの認知件数を比較してみましょう。

出典:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

総数・強制わいせつは共に減少傾向ですが、2017年から増加に転じ2018年は直近5年間で最も多い件数です。
理由として、2017年に「強制性交等」の定義が従来よりも広がり、男性の被害者もカウントされるようになったことなどが挙げれらます。
また、セカンドレイプを恐れて被害届を出さないケース、障がい者や児童など性犯罪の被害者が被害を受けた認識がないケースなど、カウントされていない事案も多そうです。

都道府県別の統計にも注目

都道府県別に刑法犯全体の数と強制性交等、強制わいせつの認知件数を比べてみると、やはり東京や大阪といった大都市圏で数が多いです。
認知件数が多い上位10位内にも愛知や神奈川、福岡がランクインしています。

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

注目したいのが刑法犯全体の数、強制性交等、強制わいせつ共に、鉄道などの公共交通機関でつながっている都道府県が上位という点。
さらに11位以降まで目を向けてみると、京都、広島、宮城、群馬、新潟といった大都市圏からの交通アクセスが良い都道府県が続いています。

エリア別に見るとその傾向がわかりやすく、東京を省いた関東エリアの数が圧倒的です。
特に強制わいせつは痴漢など電車が発生現場としてよくあるので、統計としてリンクしている部分も大きいのではないでしょうか。
大都市圏やその近隣エリアにお住まいの方で、都道府県をまたいで活動することが多い方は特に注意してみてください。

だれでも性犯罪の被害者になる可能性がある

今回の発表で特に注目したいのが、被害者の年齢別認知件数です。

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

最も多いのが20~29才の女性ですが、男性被害者も決して少なくない数です。
また、女性に関しては全年齢層で認知件数の届出があるのが不気味です。
0~12才の子どもや60才以上のシニア世代も被害にあっていて、13~19才の未成年者が被害を受けた数が372件と、世代別では2番目に多い数です。

特に多くの方が指摘しているのが、「抵抗できない」「(加害者が)支配できそうと思える」方が被害を受けやすいという点。
性犯罪被害に対する知識がまだ少ない未成年者のお子さま、抵抗する力が弱いシニア世代の方、立場上あまり逆らえない上司や先輩というシチュエーションの多い男性など…「自分は○○だから性犯罪の被害者に絶対ならない」という断言はできないのではないでしょうか。

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

逆に加害者の年齢・性別について、最も数字が大きいのが20~29才の男性です。
しかし、こちらも全年齢層で認知件数のカウントがあり、少数ながら女性もいます。

ストーカー規制法・DV法・売春防止法・児童買春・児童ポルノ法・青少年保護育成条例

犯罪統計資料(対前年同期比較)では強制性交等、強制わいせつの他にも様々な統計があります。
中でも性犯罪と親和性の高い統計として、ストーカー規制法、DV法、売春防止法、児童買春・児童ポルノ法、青少年保護育成条例違反に関する統計が挙げられます。

参考:犯罪統計資料(対前年同期比較) 警察庁ホームページ を基に作成

全体的に減少しているものの、児童買春・児童ポルノ法違反のみ増加しています。

出典:子供の性被害(児童の性的搾取等) 警察庁ホームページ

さらに、小学生以下の低年齢児童が被害を受けた内容では、盗撮がおよそ半数を占めています。強制性交等、強制わいせつ、自画撮りの被害もあわせると90%です。

自画撮り被害が多い

児童買春・児童ポルノ法に関する統計で特に注目したいのが、「児童が自らを撮影した画像に伴う被害」であるいわゆる自画撮りデータの送信強要などによる被害です。

出典:子供の性被害(児童の性的搾取等) 警察庁ホームページ

SNSから始まっている事案も多く、全国の自治体が定める青少年保護育成条例でもフィルタリング機能設定の強化がされています。
被害を受けた児童も利用していないケースが多いのですが、「契約時には利用していたものの被害を受けた時点では利用していなかったケース」も少数ながら報告されています。

出典:子供の性被害(児童の性的搾取等) 警察庁ホームページ

出典:子供の性被害(児童の性的搾取等) 警察庁ホームページ

まとめ

「犯罪統計資料(対前年同期比較)」から、様々な性犯罪に関する統計を見てきました。
改めて認識しておきたいのが、性犯罪は抵抗できない、抵抗しなさそうな人がターゲットとして狙われやすいということ。

先輩/後輩や上司/部下、親子、教師/生徒といった関係性によって抵抗できない場合や、暴力や脅迫によって抵抗手段や抵抗する意思を奪われる場合、抵抗手段を持たない小さな子どもなどがターゲットの場合など…様々な事例があります。

まずは、自分や家族を守る対策を一つひとつ確実に行うとともに、「万が一」が起こった場合の通報・相談先などを改めて確認しておきましょう。

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Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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