円満解決かと思いきや詐欺?「和解金詐欺」とは【元詐欺師が解説】

こんにちは。これまで本メディアで10回に渡り詐欺業界の裏側についてお話ししてきたNです。この度、Molyさんのご好意でまた連載させて頂く事になりました。今連載のテーマは、「最新詐欺事情の解説」です。特殊詐欺・悪徳商法に深く関わった者として、自衛に繋がる知識を読者の皆様と共有し、詐欺や悪徳商法がゼロになる世の中に少しでも近づく事に微力ながら貢献出来れば、と思っております。

10回目となる今回は「和解金詐欺」を取り上げます。

これは架空請求の一種で、国民生活センターが注意喚起を促しております。
最近の詐欺について情報を集めていると、10年ほど前に比べると比較的若い層(20~40)を狙った詐欺も増えているように感じます。

スマホやPCでインターネット検索をされる前提で、詐欺も少しずつ進化しています(変な言い回しですが…)。そのような前提があると、情報検索に不慣れな高齢者だけでなくこのMoly.jp読者も含めた若年層もターゲットになってきます。TVやネットニュースなどでは相変わらず高齢者を狙った詐欺が取り上げられていますが、必ずしも高齢者だけがターゲットではない、と考えて下さい。

これまでに何度も申し上げておりますが、詐欺から身を守る効果的な手段の一つは「実際の詐欺事例に触れておく」事です。

では、見ていきましょう。

【詐欺事案】

「和解金詐欺」の例

相談事例
債権回収業者を名乗る者から電話があった。相手は私の名前、電話番号、メールアドレスを知っていた。「あなたは3年前、オンライン投資塾のプロジェクトに入会している。約20万円の入会金を支払った後、月会費約3万5,000円が滞納になっている」「人数限定のオンライン投資塾であなたのために1枠空けていたのに、不参加だったためオンライン投資塾の運営事業者(以下、プロジェクト運営事業者)に対して約350万円の損害が発生している。和解する場合はプロジェクト運営事業者と話し合うように」と言われた。心当たりはなかったが、過去に同様の情報商材を購入したことはあり、「アクセス履歴がある」とも言われたため、入会したかもしれないと思った。「裁判になる前に和解する場合は、プロジェクト運営事業者が加入する損害保険会社に保険申請することになるので、供託金約35万円を支払うように。申請が認められれば、供託金は申請確定から30日以内に返還される」と言われた。和解を承諾する旨を伝えると、今度はプロジェクト運営事業者の担当者を名乗る者から「和解内容の詳細は弁護士からメールで通知する。弁護士からメールが送付された後、再度連絡する」と電話で連絡があった。直後に弁護士を名乗る者から和解証明書が添付されたメールが届いた。書面内容を見て詐欺と気づいた。まだお金は支払っていない。どう対処すべきか。(2020年1月受付)

出典:独立行政法人国民生活センター

【手口概要】

1.債権回収業者を名乗る業者(=詐欺師)から電話で連絡がある
*電話の内容は、
「過去に契約したプロジェクト運営業者に対する未納料金や損害が発生している」
「和解するためには損害保険会社への保険申請が必要」
「供託金も必要だが後に返還する」
「和解に応じなければ裁判になる」というもの

2.ターゲット(=被害者側)が和解に応じる旨を伝えるとプロジェクト運営事業者を名乗る者(=詐欺師)からさらに電話連絡がある
*内容は、
「若い内容の詳細は弁護士からのメールで確認するように」というもの

3.弁護士を名乗るものからメールが届き、若い証明書が添付されている
*騙される人はここでお金を振り込んでしまいます

<ワンポイント>
この詐欺で注目すべきは2点です。

1.「裁判になる」と脅す
2.(その上で)「お金の支払いは一時的なもので戻ってくる」と安心させる
*アメとムチではありませんが、詐欺師側は脅しと安心を共存させることでターゲットの心理状態をコントロールしようとします。

1.ターゲット】

この詐欺では「ある名簿に載っている全ての人」を狙っているため、老若男女問わずターゲットになり得ます。
しかし、冒頭にも述べたように20~40代も多くターゲットになっていると考えられます。

2.被害金額】

数十万円から数百万円
*上記のリンク(=国民生活センターの注意情報)を見ると、初回の請求額は約35万円ですが、損害賠償額は約350万円となっています。

一度払ってしまうと詐欺師側はあの手この手を使って何度も要求してきます。

3.考えられる主な二次被害】

1.追加請求
*先に述べたように、一度払ってしまうと詐欺師側は次から次へと請求をかけてきます。

2.同様の架空請求
*このような架空請求によくあるのですが、やりとりしているうちに情報を吸い上げられ、「他の登録サイト/登録プロジェクトでも未払いがないか確認する」などと言われる可能性があります。

4.見極めのポイント】

おかしな言い方ですが、この詐欺はなかなかよく出来た手口だと感じます。

用いる小道具(=書類)も「本当っぽく」作られていますし、文中に登場する業者名はもちろんのこと弁護士名もおそらく実在する肩の名前を用いていると思われます。

実在する人物・業者を使われて「本当っぽく」なると見極めが難しくなります。その場合、次に述べる対策によって身を守りましょう。

5.対策】

この手の連絡がきたら、身の回りの人間や公的機関(国民生活センターや警察など)に相談するのが効果的です。

もちろん、最初の段階でご自身で詐欺だと気づければそれに越した事はありませんが、「裁判沙汰になる」などと言われると不安になってしまいます。「本当の話だったらどうしよう」と不安を感じたらすぐに相談して下さい。

6.騙された後の対処法】

他の詐欺と同様に支払ったお金が戻ってくる事はまずあり得ません。それでも僅かながらの可能性は残っているので、

1.詐欺師側に直接交渉する
*その際、「警察に相談する」「銀行口座を止める」などと強気に出てください。

2.警察や国民生活センターに相談する

3.追加出資や二次被害に留意する

7.元・詐欺師の視点とまとめ】

先述しましたが、よく出来た詐欺だと思います。

ツメが甘いと感じる点もありますが、引っかかってしまう人も多くいるのではないでしょうか?自分の名前や電話番号、登録情報などを持ち出されて「裁判沙汰に」などと言われてしまうと信じてしまうかもしれません。

しかし、以前に述べたように彼ら詐欺師は名簿屋から名簿を買ってそれに合わせた詐欺を行なっていのです。「自分の情報はある程度漏れている」と認識した上で生活するのが賢明なのかもしれません。

以上が今回取り上げた詐欺事案に対する私の見解です。

▶︎「支援してあげます」は結果的に詐欺?いつの間にか”支援詐欺”に遭っているかも…

Moly.jp編集部

この記事の監修
河合さん写真
河合成樹
防犯ジャーナリスト/防犯設備士

Moly.jpの運営やAIST:産業技術総合研究所(産総研)との犯罪予測の共同研究や防犯対策の講演活動、メディア出演などを通じて防犯の啓蒙、社会実装に取り組んでいる。公益社団法人日本防犯設備協会認定の防犯設備士(第19-29640号)。出演実績:「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」

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