面識のある人とない人どちらが多い?子どもに対する性的虐待の範囲とその対策は

性的虐待は、女子だけが狙われる問題ではありません。幼児や男子も注意しておかなければならない大変怖い問題です。インターネットが普及してきたために、今まで以上に狙われやすくなっていると考えて間違いないでしょう。

性を侵害されると、さまざまなところに弊害が出てきてしまいます。

子どもは、虐待した人の影におびえ、その後の人生に影響を及ぼしてしまうことも十分に考えられますから性的虐待についての知識は大切です。

性的虐待の範囲とは

性的虐待は、『児童虐待の防止等に関する法律』の第2条第2項に児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせることと明記されています。

*出典:厚生労働省 児童虐待の防止等に関する法律

具体的な内容に関しては、厚生労働省の児童虐待の定義に記されているものを書き出してみました。

・子どもへの性的行為
・性的行為を見せる
・性器を触る又は触らせる
・ポルノグラフィ(性に関する描写がある写真やビデオなど)の被写体にする
などと記載があります。

*参考:厚生労働省 児童虐待の定義と現状

著者は上記以外に次のことも性的虐待になると思っています。

・性的行為の強要、示唆
・性器を見せる
・子どもの性器周辺への接触や愛撫
・性的な映像を見せる
・ポルノグラフィの被写体などに子どもを強要する

といった、性に関わることを思い、自分の性的欲求を満たす目的で子どもに近づくことや、接することも性的虐待の範囲に入ると考えています。

性交のみが虐待であるという認識は間違っています。子どもが性的な行為に嫌悪感を抱くものはすべてが性的虐待になるということを覚えておく必要があります。

はっきり言って、性的虐待の範囲は広いと考えた方がいいでしょう。

子どもに忍び寄る性的虐待者

性的虐待をする者の多くは、面識がある人たちです。しかし、インターネットの普及により、SNSを通じて子どもに接近する人が増えていますので、面識がない人も実際のところかなり多いと感じています。

加害者が外部の人で面識がある場合、下記のような人たちが当てはまります。

・近所の知人
・子どもの友人の親
・教師
・習い事のコーチ
など。

【性的虐待の事案】

・2006年8月、民間の児童養護施設において女性保育士が10代の入所少年に行った性的暴行事件(埼玉児童性的虐待事件)

・2006年11月、小4男子児童が主犯格となり、同級生の女子児童に対して性的いじめを加えた事件(尼崎児童暴行事件)

・2015年11月、教え子の男子児童を裸にしてデジタルカメラで撮影した東京都の小学校教諭が逮捕

・2018年8月、教え子の女子小学生7人に性的暴行を行った千葉県の小学校教諭の逮捕

大人から見た面識のある人ではなく、SNSで知り合った相手を子ども達が信用してしまう(知人と認識)ケースが多い現状があります。それが性的虐待者を忍び寄らせている一因になっていることも親が恐怖に感じるところです。

子どもがSNSで知り合った相手を信頼してしまう理由

子どもがインターネットを利用できることで、性的虐待を目的としている大人たちが忍びやすい状況になっています。学校や親がSNSの危険性について話をしている現状にあっても、2019年11月に起きた『小6女子児童誘拐事件』などのSNSを利用した事件が後を絶ちません。

子どもがSNSで知り合った相手を信頼してしまうのには理由があります。注目するべきは、10代の子どもの心の背景です。

思春期に入ると、親の干渉に煩わしさを感じる反面、寂しさをも感じています。誰かとつながっていたいと感じる気持ちです。そこに自分を理解してわかってほしい(自己承認欲求)という気持ちを強く感じる時期でもあります。

また、この時期には冒険してみたいという気持ちも当然ありますので、24時間つながってすべてを満たすことができるSNSを利用してしまうのです。

しかも、自分の悩みを打ち込めば、共感してくれる相手がたくさん見つかります。親には話せないことや話してもわかってもらえない気持ちを相手と話せて分かち合えるというコミュニケーションが取れます。手軽で簡単に自分を満たせる状況が手に入りやすいのです。

秘密の話をある程度やり取りし、写真のやり取りすることで、面識がなくても相手を知っていると錯覚しやすいです。未熟さゆえの判断の見誤りであるのですが、自分のアイデンティティを探し、多くの悩みを抱えている子どもにとっては、『ネットの先にいるのは理解者だ』と思ってしまうこともあります。

相手も良き理解者であることを巧みに信じさせようとします。

そして、子どもに「自分の存在価値」を認めてもらったり、「親に相談してもわかってもらえない」と感じている悩みに共感を示されたりしたら、親よりもそちらを信用してしまうことがあるのです。

そこに罠が仕掛けられているとは思いもよらないでしょう。

性的虐待を受けた子どもの心の状態

子どもが性的虐待を受けてしまうと、心に異常が現れます。虐待状況や個々の精神的状態によってさまざまな症状を引き起こします。その例をいくつか紹介します。

【自己評価の低下】

性的な行為を恥ずかしいと感じる時期であるため、「自分が悪い子だから嫌なことをされる」と考えてしまいます。そのため、自己評価が低くなります。

自分を責めるようになり、抑うつ感(落ち込み・神経過敏など)が生じるようになり、さまざまな不安症を引き起こします。不安を抱え、安心感が薄くなってしまいます。

【PTSD】

性的虐待の頻度などによっては、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまう子どもも少なくありません。夢に見るようになったり虐待時や加害者と同じニオイを嗅ぐことでフラッシュバック(当時の情景や感覚が蘇える)が起こったりしてしまうこともあります。

【性化行動】

体に触れられたことなどによる『性化行動』という反応を示すこともあります。

性化行動とは、大人(異性であることが多い)の性器を触ろうとしたり、自分の性器を押し当てようとしたりといった年齢的に不相応な性的言動をすることです。性的虐待を受けたことで、後遺症のような反応を示すのです。愛情と性が混同してしまい、認識が歪んでしまっている状態です。

【依存】

何かに執着し、依存してしまうこともあります。例えば、薬物依存や性依存などが挙げられます。また、摂食障害や人格障害を引き起こすとも言われていて、性的虐待を受けたことによる生々しい体験が体の中で感覚として残り、さまざまな不適応行動を取ってしまいます。

性的虐待を受けてしまったら

子どもが性的虐待を受けてしまったら、すぐに対応する必要があります。

まず、話を聞いてあげること。ただし、詳しい状況(どこで・どんなふうに)は聞き過ぎないようにしてあげてください。思い出すことで子どもの心の傷を広げてしまいかねません。

できれば、子どもの話をメモしたりスマホなどで録音したりするといいでしょう。それから警察に届けます。子どもが止めたとしても何もせず泣き寝入りの状態にすることは避けるべきです。子どもの心に区切りをつけるためにも、次の被害者を出さないためにも大切なことです。

ここで、決してやってはいけないことを知っておいてください。

・子どもを責めない(落ち度があったのではないかなど)
・「嘘」という言葉を使わない(信じられないという意味でもよくありません)
・シャワーを浴びさせる(痕跡を消さないため)
・なかったことにしようとする(性的虐待は忘れられるものではありません)
・親が否定する(「そんなことはされていない」など子どもが言ったことを否定しない)

性的虐待を受けてしまったら、親がその後のケアをしてあげること(受け止めてあげる)で子どもは自分を責め続けなくて済みます。心の症状を軽減させることにもつながります。

「あなたは悪くない」と話してくれたことに感謝し、子どもを追い詰めないようにすることが大切です。

警察以外には、弁護士や産婦人科医、精神面を担当する精神科医やカウンセラーなどがあります。県には『性暴力被害者支援ワンストップセンター』といった支援グループもありますから、情報として持っておくのは有効だと思います。

まとめ

性的虐待は、面識のある人ない人に限らず、子どもを狙っています。しかも、子どもは体だけでなく心も汚されたと生涯悩みに苦しんでしまうことになるかもしれないものです。

打ち明けてくれたらすぐに対応してあげてください。そして、子どもに非があるなんて思わず、支えてあげてほしいと思います。親だけでなく、さまざまな機関が性的虐待の手助けをしてくれます。そういった支援場所があることをどうか忘れないでください。

▶︎きっかけは何?担任や同級生からのいじめ。体も心も蝕む精神的虐待から子どもを守るには
▶︎親権者による性被害を罰する「監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」の内容とは?

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

mori.jp編集部

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