きっかけはなに?ボーダーラインが曖昧な「ネグレクト」について

一生懸命に子育てをしていても、気をつけなければならない点があります。それが今注目されているネグレクトです。

生活に余裕がなかったり知識が薄かったりなどの理由から知らず知らずのうちにネグレクトの対象になってしまうケースがあるのをご存知でしょうか。

「まさか」と思ってしまうことでも、子どもの安全な生活を守るという部分に引っかかりができてしまいますので、思い当たることはないかと考えるきっかけになればと思います。

ネグレクトとは

ネグレクトは、育児放棄や育児怠慢と言われる虐待の1つです。いくつかの種類に分かれていますので、詳細をみていきましょう。

【身体的ネグレクト】

衣食住に関する部分の配慮がない状態を指します。このタイプのネグレクト例はかなり多いように感じています。例えば、食事を与えなかったり、衣類を洗濯せず不潔な状態で放置していたり、掃除がされていないなどです。

その中でも車の中に放置するという行為は、少しの時間でも危険です。暑い夏の日に車内において用事を足してくることはありませんか。これは本当に危険です。

「エンジンをかけて涼しくしているから大丈夫」
「寝ているから」
「少しの間だから」

という具合に考えてしまうかもしれませんが、命の危険につながる行為だということを認識しなければなりません。

それ以外に極端な例ではありますが、長時間にわたって子ども1人きりでの留守番や成人していない兄弟だけで家に置くこともネグレクトになります。(寂しさからSNSやゲームなどにのめり込んでしまうといった弊害も出てきます)

上記のような例は、子どもにとって健康的な生活が送れない状況だと思いませんか。

【教育的ネグレクト】

教育関係全般に関する部分です。
例えば、学校に行かせないことや、教育に関して無関心な態度を示すこともそれに当たります。また、金銭面の問題も関係してきます。学校で必要な物を買い与えなかったり、給食費を払わなかったりすることもまたネグレクトになります。

【医療的ネグレスト】

名前の通り、子どもが病気やケガをしても受診をさせないことです。
ひどい場合は、明らかに受診が必要だとわかっていても病院へ連れて行かないということもあります。よく見られるのが、学校からの集団検診の結果が届いて再検査や要受診などの記載がある場合において受診させていないものです。

特に歯科検診が多いようで、学校から保健だよりなどで「〇名が未受診です。休みの間に治療をしましょう」と書かれているのをよく目にします。

現在、歯の状態から「虐待を受けているかもしれない」と判断する歯科医が増えてきています。そこから発覚する例も多いようです。

【情緒的ネグレクト】

これは精神的虐待と似ています。
子どもに愛情を示さないことだけでなく、子どもの要求を無視したり言動に反応を示さなかったりすることもこのタイプに当てはまります。

何らかの事情で、子どもに返事はするけど、目を合わせようとしない(長期間にわたって)ような行為もネグレクトとなります。

親の都合だけで子どもの気持ちをまったく考えていない行為と言えます。このような状態が続くと、子どもは「自分がいるせいで親に迷惑をかけている」などと思ってしまいます。自己評価が低く常に自信が持てない状態になります。

【保健的ネグレクト】

保健上の必要なケアをまったくさせないことです。
予防接種や定期健診といった子どもの発育に関係する大切なものを受けません。以前、「仕事で予防接種の時期がずれてしまって、どうしたらよいか」と相談されたことがありました。

こういう親の場合は、受けさせる気持ちがありますのでネグレクトには該当しません。しかし、「時期がずれたから受けさせなくてもいいか」となってしまったらネグレクトに該当します。

【スマホネグレクト】

近年、問題視されてきている軽度のネグレクトです。
親がスマホに気を取られてしまうために、子どもの状態に目がいかなかったり、無視してしまったりする状態です。

ママ友との連絡、習い事関係など保護者関連のSNSのチェックや情報収集のためにスマホにばかり目がいってしまい子どもと目を合わせない状態が続きます。この状態が続くと、『愛着障害』を引き起こしてしまう可能性があるとされています。

*参考:愛着障害(著:岡田尊司(精神科医))光文社新書

愛着障害とは、親(養育者)との間で乳幼児期から安定した愛着を深める行動がなくなることで引き起こされる心の問題です。

自己肯定感が低くなったり、人と信頼関係を持つことができなかったりといった対人面や精神面に問題が生じます。大人になってからも影響を及ぼすとされているものです。

ネグレクトの背景にあるもの

「気が付いたらネグレクトの行為をしていた」というような場合は、誰かに言われるまで気がつかないことが多いです。

その生活背景や心の背景には、余裕のなさからくるストレスがあります。

ワンオペ育児で大きなストレスを抱えてしまっていることや、周りに頼れる人がいない(どこに頼っていいかわからない)ことも関係しています。また、父子家庭や母子家庭で仕事と育児をすべて背負っている場合、金銭面や時間面などにも余裕を持てない状況でいつの間にかネグレクトをしている状態になっていたということもあります。

それ以外に、親が何らかの精神疾患を抱えている場合も子どもに目が向きません。心の中にある不安感などが強いために子どもにまで目が行き届かない状態と言えます。

そして、『スマホネグレクト』のように依存性の高いものがある場合はそちらを優先させてしまいます。目の前の物から解放されたい気持ちや強いストレスが加わり、子ども以外のものに目がいっている状態です。

依存するものは、スマホ以外にアルコールや薬物などさまざまあります。余裕のなさやストレスから解放される状態になれば、子どもに目を向けることができますので、まずは「自分にそういった面があるんだ」と自覚することが大切です。

相談窓口や自治体支援の活用

親に余裕がなかったりストレスフルの状態だったりすれば、そのしわ寄せは子どもに来てしまいます。それを何とかするためには、周りに頼る部分を見つけ、活用していくことが大切です。

お住いの地域には、子育てに関する相談窓口や福祉課、子育て支援センターがあります。学校に入れば、スクールカウンセラーに相談することもできます。

そういった支援機関は、ほとんどが無料で使えます。余裕のない生活の改善を図るためにさまざま動いてくれるはずです。(地域によっては、子どもの医療費が中学卒業まで免除になるところもあります)

子どもを見てもらうための保育園などはなかなか入りづらかったり、病気でお迎えが大変だったりということもあります。そのような場合は、一時預かりだけでなくベビーシッターを活用する方法もあります。

ただ、金銭面などのプライベートなところを話したくないと考えることがあるかもしれません。しかし、子どもが安心して生活できて、自分のストレスも軽減されることを考えたら利用した方がいい時期もあるのではないでしょうか。

支援センターなどの情報は、役所や自治体の広報誌だけでなく、コミュニティセンターやスーパーなどにもあります。自分1人で抱え込まないようにしましょう。

まとめ

自分は虐待をしていないつもりでも、見過ごされやすい状況の中に隠れていることがあります。

核家族が増え、共働き世帯が中心となっている現在、誰にも話せない・頼れないというケースが多いです。そうなれば、当然余裕がなくなってきたりストレスを抱えたりするでしょう。自分の生活の状況を認め、頼れるところは頼る方法に切り替えることが大切です。

子どもの安全で健全な生活を第一に考えて、ネグレクトになっていないかを今一度見直してみましょう。

▶︎面識のある人とない人どちらが多い?子どもに対する性的虐待の範囲とその対策は

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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