どんなケアが正しいの?いじめや体罰という名の虐待を受けた子どもの心のケアとは

いじめや体罰といった外部から虐待を受けますと、子どもはとても傷つきます。心だけでなく体にも影響が出てしまい、安心した生活を送ることが難しくなってしまいます。

悲しい結末のシナリオを考え実行してしまうことも少なくありません。

そうならないために、早い段階でSOSサインをキャッチし、子どもの心のケアができるようにしていけたらと思います。

ケアが必要な理由

いじめや体罰といった外部からの虐待(性的な行為を含む)は、子どもにたくさんの傷を残します。体につけられた傷は治ると目に見えませんが、心についた傷は目に見えない分、大きくて深いことがほとんどです。

それをバネにして成長する子もいますが、それは一部の話です。そういう子でも悩んで傷ついて苦しんでいます。ですから適切な心のケアや親の愛情が必要不可欠です。

ケアは、子どもの命を守るため、前に向かって進めるようになるために行うものです。親ができるところもあれば、専門家に任せた方がいいところもあります。

虐待が及ぼす心身の傷

虐待は、心にも体にも傷を残し、受けた年齢が低いと発育にも影響を及ぼすことがわかっています。

どんなものかをわかりやすくまとめてみました。

【心の傷】

・「自分はダメな人間だ」などと否定的になる(自己評価の低下)
・「自分は誰からも必要とされていない」などの気持ちになる(自己肯定感の低下)
・虐待されたことを何度も思い出し苦しむ(PTSD)
・突然激しい怒りをあらわにし、暴力的・破壊的行動を取る
・体を傷つける行為を繰り返す(自傷行為)
・人の言動に過敏になる
・虐待に関する記憶などをまったく忘れてしまう(解離性健忘)
・抑うつ感や無気力感が強い
・人を信用できなくなり対人関係に問題が出る

などがあります。

【発育関連】

・十分な食事を与えられなかったことによる栄養不良
・頭部への強打や揺さぶられなどで知的障害を発症することもある
・虐待の心理的影響と恐怖、幼児期の遊びができなかったことでの知的発達の遅れ

などです。

いずれにおいても、心への影響が大きいために体や発育に影響が出てきます。表面上は何ともなく見えていても、成人後も心の傷が癒えることがなく、対人面に影響が出てしまうことがあるのは否めません。

子どもが見せるSOSサイン

子どもが何らかの虐待を受けている場合、親に打ち明けることが少ないということは以前書かせていただきました。

年齢が低い場合は、親に話してくれることもありますが、思春期に入ってくるとなかなか言い出そうとはしないことが多いです。

そのような場合は、子どもの様子で判断して声をかけてみましょう。注意してほしいポイントは、普段と違う点や様子を見せていることです。

・表情が暗い
・学校の話をしなくなった
・朝から頭痛や腹痛を訴えることが多くなった
・部屋にこもる時間が長くなった
・食事を残すようになった(好物でも食べないなど)
・親のそばから離れない(低年齢児に見られます)
・喜怒哀楽が激しくなり涙を見せることがある
・無表情

などの様子が見られることがあります。

子どもによっては、爪を噛みだしたなんてことがあります。

これは、「癖」という言葉では片付けられない行動です。自傷行為の一種で、ささくれ部分から皮膚を剥くようになったり、髪の毛を抜いたり(抜毛)、頬の内側を噛んだりすることもあります。これらが、急にひどくなるようであれば、何らかの強いストレスがかかったことで起こっていると考えられます。

【実例:抜毛癖を見せた子】

不登校で面談をしていたKさん(当時中1・女子)は、話をしながら髪の毛を抜いていました。長い髪の毛をくるくると指でもてあそんでいたかと思うと、根元に手をやって髪の毛を抜いていくのです。

あまりにも頻繁だったので、「髪の毛抜くの痛くない?」と声をかけました。Kさんはその行為に気がついていなかったようで、本人も驚いていました。

髪の毛を抜くのは、決まって学校での話をした時でした。学校で嫌なことがあったのだろうと察し、自分から話をしてくれるまで学校の話は伏せることにしたのです。

そのうち、トイレの個室に入った時にバケツで水をかけられたことなど、陰湿ないじめという名の虐待を受けていたことを話し出しました。苦しくて辛くて思い出したくない場所の話が出るだけで自然と自分を傷つける行為をしていたのです。

上記のような今までと違った行動や、心身症(お腹が痛い・頭が痛いなど)が頻繁に出るような場合は、病気が隠れていないかを医師に診てもらった後で、話を聞いてあげられる環境を整えてあげる必要があります。

虐待を受けた子どもへの心のケア

専門家にカウンセリングをしてもらうことが大切です。人に話すことで心の中にあるモヤモヤから解放されることもあるからです。自分を見つめて前に進むための杖と同じ役割です。

家庭でできることは、虐待されたことには触れない・腫れ物に触るような扱いをしないことです。また、親が過剰に反応しすぎても子どもは責められているように感じて、逆効果になることもあります。

以前と変わりのない態度で接することが大切です。難しいことだとは思いますが、虐待を受けると、自分の居場所がないように感じてしまうことがあります。だから、「あなたはここに必要な存在」だということを示してあげましょう。

・行動を褒める(「お皿を下げてくれてありがとう」など)
・一緒に何かする(「紅茶入れから、一緒に飲もう」など)
・何かを頼む(「お風呂掃除を頼めないかな」と頼んでやってもらったらお礼を言うなど)

などの親から大切に思われている存在価値を証明されるような行動をされたら、居場所ができて少しずつ自信もついてきます。

ただ、頭の上に手が来たりすると叩かれる時を思い出して体をすくめることがあります。その場合は「大丈夫だよ」と背中を撫でるなどして落ち着かせましょう。

そして、できるだけ子どもを1人にしないことも大切です。虐待を受けた後は、恐怖心や不安が突然やってくることがあります。1人でいる時に思い出してパニックになったり自傷行為をしたりすることから守るためと考えてください。

言葉かけはなるべく肯定的な表現の言葉を使うようにしてみると、安心感を得られやすいです。そして、いつも通りの生活を続けるだけで子どもは安心していきます。

励まし言葉にはNGなものがある

励ますこともあるかと思います。その時は、言葉の選び方に注意が必要です。

【悪い例】

「頑張っていこうな」
「しっかりして」
「〇〇なら乗り越えられる」

こういった言葉は、子どもに「これ以上どうやって頑張ればいいんだ?」などと思わせてしまい、抑うつ状態の場合は長引かせてしまう傾向にあります。

【良い例】

「長い人生の中にの休憩の時なんだよ」
「ゆっくりでいいよ」
「○○のペースでいいんだ」
など、子ども本人のペースで進めることや休む時間は悪いことではないと理解させることが大切です。

心の傷は良くなるまでに時間がかかります。日常生活を送れるようになってきても、急に思い出して苦しくなってしまうこともあります。だからこそ、自分のペースで進んでいいということを子どもに理解してもらうことが大切になります。

まとめ

いじめや体罰といった外部からの虐待は、子どもの心を弱らせて大きな傷を背負わせます。それを癒して緩和させてあげるのは、家族の暖かい愛情です。

子どものSOSを見逃がさず、アンテナを張っておくことが早期発見につながり、子どもを救い出してあげることができます。

助け出した後は、腫れ物に触るようなことをしないで普段通り接してあげてください。「こんなことになったのは自分のせいだ」と責め続けてしまう気持ちを和らげることができます。

愛情と心のケアで安心して生活できるようにしてあげてほしいと思います。

▶︎きっかけはなに?ボーダーラインが曖昧な「ネグレクト」について

Moly.jp編集部

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

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