DV被害者にタイプはあるの?「逃げる判断」と第三者ができる助け舟とは

こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。

今回は、DV被害者の「判断力」についてお話したいと思います。

DV被害に遭ってしまうと、「殴られたり蹴られたりしたら逃げたらいいのに」、「夫婦間で苦痛を感じたら離婚を考える」などといった考え方ができなくなってしまうこと多いです。

暴力行為を長く受け続けると、判断力が鈍くなってしまうようになります。しかし、それだけではなく、置かれた状況によっても行動に移すことが難しいことも実際にあるのです。

そのようなDV被害者の状況をタイプ別に分けてみました。『逃げる判断』ができない理由がお分かりになると思います。

DV被害者にはタイプがある

DV対策をお話する前に、被害者に見られるタイプについて話したいと思います。

基本となるのは『判断力』です。自力で『逃げる判断』ができるタイプとそうでないタイプになってしまっているタイプもあります。著者が考える被害者タイプは以下の4つです。

【DVだと気づけて行動できる人】

パートナーから暴力行為を受けたとき、「これはDVだ」としっかり認識できます。

そのため、何とかして逃げようとします。子どもが虐待されないように子どもを守ろうとする気持ちがしっかり持つことができています。DV関連の情報を集めたり、人に相談したりすることができる人です。

このような人はDV被害の初期段階であるか、子どものために強くなろうと前向きな考えができるようになっているのでしょう。

【DVのサイクルから抜け出せない人】

DVだとわかっていても抜け出せないことがあります。

それは、『DVの被害状況と支配されてしまう心理テクニック』に書きました、DVのサイクルから抜け出すことができなくなっている場合です。ハネムーン期の甘い言葉と謝罪で「この人には自分がいなくちゃダメなんだ」と思い込んでしまっている状態です。

しかも、加害者・被害者の両方に
・自信のなさ
・低い自己評価
・何らかの強い劣等感
・幼少期に虐待経験がある

といった特徴の一致があり、お互いに依存し合っている状況になっていることが考えられます。いわゆる共依存の関係です。

共依存とは、嗜癖の一種で、配偶者などの身近で親しい関係同士がお互いに過剰に依存し合うことです。片方が甘え、もう片方が献身的に尽くすといった形で存在意義を見出します。

DVの場合は、これが悪循環な作用となり暴力行為を受けても「この人は私がいなくちゃダメだから」となってしまうのです。そこに、2つの矛盾したコミュニケーションを取ることで、相手にストレスを与え、気持ちを縛る『ダブルバインド』も関係しています。

共依存の場合は、余計に支配されやすいのではないかと思います。

【DVだと気づいているけど事情があって抜けられない人】

ひどい暴力行為を受けていて、「これじゃいけない」と思っていても、さまざまな事情により抜け出すことができないと考える人もいます。

例えば、
・金銭的問題
・子どもが小さくて逃げられない
・逃げてもどうせ捕まると思っている
・働きながら子どもを1人育てていけるか不安
・頼れる相手が近くにいない

などです。(複数の理由を抱えていることも)

DV加害者の多くは、支配するために社会から孤立させるような経済的暴力を行います。逃げるための金銭的余裕をなくしたり、仕事を辞めさせられたりすることで縛りつけるからです。

このような場合は、逃げることに不可能さを覚え、我慢するしかないと思うようになってきます。

【逃げる気力を奪われた人】

身体的暴力を振るわれている場合は、逃げようとする気力ごと奪われてしまいます。

子どもがいる場合でも、自分の身を守ることが精一杯で、子育ては二の次になってしまい、「殴られているのが自分じゃなくてよかった」という気持ちに余裕のない状態になることもあります。

2019年1月に起きた「千葉小4女児死亡事件」では、父親の虐待で死亡した事件です。この事件の裏には母親がDVを受けていた可能性があるとされています。また、虐待を止めようとしなかった母親も逮捕されています。

母親に余裕がなかったのかもしれないという点を考えると、このタイプに当てはまっているのではないかと思います。

このようなタイプの場合、第三者が逃げるためのきっかけを与えてあげる必要があります。長年のDV被害や身体的暴力による慢性的に感じる恐怖や不安によって心が麻痺している状態だからです。

まずは人と話す

最初の3つのタイプの人は、逃げ出すことができれば一番いいのですが、すぐにできない事情もあるでしょう。だから、内閣府男女共同参画局の相談窓口を利用することをおすすめします。

事情があって逃げられない場合やどうやって逃げたらいいかわからない人に向いています。また、身近に頼れる親戚などがいないときにも助けになってくれます。

孤立させられているような場合は、人と話すだけでもストレスが軽減されますし、社会とつながって情報(支援窓口となるところを教えてくれます)を得られます。

DV相談ナビ:0570-0-55210
日本全国共通で発信地から近い相談窓口に自動で転送される仕組みとなっています。携帯電話やPHS、公衆電話からも利用できます。(一部のIP電話からはつながりません)

匿名の相談でも受け付けてくれますので、安心して相談ができるのではないかと思います。

参考:内閣府男女共同参画局 DV相談ナビについて

命の危険を感じたら迷わず警察へ!

身体的暴力は、回数を超えるごとにエスカレートしていく傾向にあります。加害者の甘えで「ここまでやっても大丈夫だろう」という気持ちが働いているからかもしれません。

そうなってくると心配なのは、被害者と子どもの命の危険です。

包丁を持ってきて脅されたり、気を失うまで首を絞められたりといった行為は、犯罪行為です。迷う必要はありませんので、警察を呼んだり逃げ込んだりすることが必要です。

甘えで人を殺そうとするような人を気づかうより、自分と子どもの命を守ることの方が大切だということを常に考えておいてほしいと思います。

脅しただけで実際にはやらないという保証はどこにもありません。逃げる気力を奪われている人でも、上記のような命の危険が迫る行為をされたら、命を守るために行動できるはずです。

何も持たなくていいから、子どもと一緒に着の身着のままで家を出て、警察に行くことをおすすめします。自分が出られない場合は、子どもに警察を呼ばせに行くなどして外部に助けを求めてください。

第三者の発見が被害者を救う

パートナーに暴力行為を受けているところを目撃したならば、配偶者暴力相談支援センターや警察官に通報することができます。

しかし、なかなか発見することが難しかったり本人が認めなかったりすることがあるために保護することができない場合もあるようです。そのような場合、子どもの様子に変化がないか見てください。

虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合、すべての国民に通告する義務が定められています。(児童福祉法第25条:要保護児童発見者の通告義務)

【子どもの状態】

・いつも同じ服を着ている
・アザやケガのあとが見られる
・暗くなっても帰ろうとしない
・表情が暗い
・やせすぎている
・ケガが絶えない
・薄汚れていたりニオイがする
・戸外に出されっぱなし(ドアを叩いて入れてほしいと言っているなど)

などです。

ちょっとしたことでも「何かおかしいな」と感じたら、厚生労働省が設置している児童相談所虐待対応ダイヤルを利用しましょう。らせることもDVの早期発見につながります。

通告・相談は、匿名で行うことができます。知らせた人や内容に関することは秘密にしてくれますので心配ありません。通話料も無料ですから安心してかけられます。

児童相談所虐待対応ダイヤル:189
参考:厚生労働省 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について

まとめ

被害者の状況によって、逃げるための判断力が鈍くなってしまっていることがあります。それは恐怖や不安、お互いへの依存から来ているので、第三者が助け舟を出してあげなければなりません。

最初は相談することからでもいいので、逃げる判断ができるようになりましょう。DVのことを知っている専門家であれば、味方になってくれるはずです。

ただし、身体的な暴力行為を受けている場合は、すぐにでも警察へ。DV加害者は、被害者に対して強い甘えの心をぶつけてきます。しかし、命を奪うようなことを匂わせたり脅したりすることは犯罪です。それを許していい理由はありません。自分と子どもの命を守るための行動を起こせるようにしていきましょう。

▶︎“面前DV”って何?気づいていないだけで実は家庭内ですでに起きているかも

Moly.jp編集部

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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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