逃げたっていい!DVから離れて、支援を受けることが大切。

こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。

これまでDVに関するさまざまなことを書いてきました。暴力行為が発見されにくい状況であるDVは、行為がエスカレートしてしまう前に相手から離れることが重要な点となってきます。

しかし、逃げることや支援を受けることに抵抗を感じたり、情報がなかったりすることがあります。自分の力で逃げることができるように、『DVから離れるための手段』を紹介したいと思います。

DVは罪であることを認識する

暴力行為を受けていても、逆転意識※1を持ってしまったりDVサイクル※2から抜け出せなかったりする場合は、暴力行為が罪であることを忘れがちです。

※1 逆転意識:被害者と加害者の感じ方や立場が逆転して意識してしまっていること
※2 DVサイクル:蓄積期・爆発期・解放期(ハネムーン期)の3つの段階が繰り返されることで、「暴力行為の後に優しく接する」を繰り返す。心の混乱を引き起こして相手を縛るサイクル

殴ったり蹴ったりするような身体的暴力は、暴行罪(刑法208条)になります。それによってケガをした場合は、傷害罪(刑法204条)に該当します。

また、パートナーのお金を無断で使ってしまうような経済的暴力は窃盗罪(刑法235条)になりますし、身体的・精神的暴力で金品を奪われた場合は、恐喝罪(刑法249条)や強盗罪(刑法236条)が成立します。

性交を強要されるような性的暴力であれば、強制性交等罪(刑法177条)が成立する可能性があります。それに暴言や中傷といった精神的暴力の場合は、侮辱罪(231条)という罪に問われる可能性があるのです。

いくら、配偶者(内縁関係など)だからといってパートナーに何をしてもいいわけではありません。DVは罪状がつくものであることをわかってほしいと思います。

家庭内で行われているDVは、声を上げにくく相談することも難しいでしょう。でも、できるだけ自分から声を上げ、逃げて助けを求めることが大切だと思います。同じ立場であるはずのパートナーから、強要や支配されるようなことがあってはならないのですから。

避難することの大切さ

『避難=逃げ』だと思われている人も多いかもしれません。罪悪感を抱くこともあるでしょう。しかし、暴力行為は罪です。だから、罪悪感を抱かなくてもいいと思います。

元気で安心できる生活を送ることは、憲法で保障されています。誰もがみな、そういった生活を送るために必要なことが避難です。DVを受けてしまうと心身ともに疲れはて、自分たちにとってどうしたらよいのかという判断ができにくくなっています。

だから、心も体もゆっくり休めて、冷静に考えることが必要です。自分と子どもを身の安全を確保し、「これから」を考えるための行為が避難だと考えてください。

避難先と避難するときの注意点

避難する場合、さまざまな不安があるでしょう。その最初に思うのが避難先ではないかと思います。

【避難先】

避難する先は、実家や親せき、友人宅といった協力してくれるところが一般的のようです。しかし、「実家に迷惑をかけたくない」・「パートナーが場所を知っていて乗り込んでくる」などのような場合は、公的施設などを利用することができます。

各都道府県にある婦人保護施設(窓口:婦人保護所)や母子生活支援施設(窓口:福祉事務所)といった公的施設があります。それ以外に、NPO法人が運営しているシェルターも利用することができます。

前回紹介させていただいたDV相談ナビ(0570-0-55210)や警察で避難できるところを紹介してくれます。それらの施設では専門家がいますのでいろいろな相談にも乗ってくれます。

【非難するときの注意点】

避難する際に注意したいのは、パートナーに避難先を知られないことです。連れ戻されるようなことがあれば、もっとひどい目に遭う可能性が高くなります。一時的に避難した場所も知られないようにすることが大切です。

そのために、次のことに注意しましょう。
・スマホのGPSを無効にしておく
・避難場所は誰にも教えない
・住民票の閲覧制限をかける(住民課でDVの事情を話すと見られなくなります)
・保険証を使う際は、医療施設に事情を話して問い合わせがあっても言わないようにしてもらう

もっと詳しいことは、配偶者暴力支援センターに相談すると教えてもらえます。
内閣府 男女共同参画局:配偶者からの暴力全般に関する相談窓口

生活費の問題は支援で解決

避難している間や小さい子どもがいるような場合、仕事を見つけることが難しいです。精神的に安定していないと外に出ることもままならない可能性だってあります。

壁となって立ちはだかるのが生活費問題です。金銭的な面に心配があってDVから逃げ出すことができないことは、原因の1つになっています。

避難中は、生活保護を受けることができます。就業するまでの間、生活扶助・教育扶助・住宅扶助などを受けることが可能です。福祉事務所が窓口となっていますので、避難した際に手続き方法を教えてくれるでしょう。

その他に、母子福祉資金貸付制度(低利・無利子での貸付)配偶者へ『婚姻費用の請求』などがありますが、支援センターや弁護士が手伝ってくれるので困ることはないでしょう。

支援を受けることに対しても罪悪感を抱いてしまうかもしれません。しかし、生活の基盤である金銭面が安定すれば、自分と子どもの安定になります。とても大事な部分ですから安心して受けるようにしましょう。

避難したら心の治療も行っていく

DVを受けることによってサイクルに巻き込まれている状態から抜け出すことができずにせっかく逃げたのにまたパートナーのところに戻ってしまう人がいます。

避難ができたら、暴力行為とは別れを告げましょう。

しかし、長い間DVを受けていると、心の状態が普通とは違った反応を示します。それだけではなく、麻痺した状態ですので、自分を責め続けてしまうこともあるでしょう。

こういった心の傷を負った場合は、専門家と話をして傷を和らげていくことが非常に大切です。ひどい暴力行為を受けていた場合は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状がみられることがあります。

暴力行為を受けている光景がフラッシュバックし、今目の前で行われているかのような感覚を受けて恐怖と不安が込みあがってくることがあります。

避難して安心できる環境になったら、自立前に少しずつ心の治療を始めていきましょう。治療が早ければ早いほど、症状の緩和が期待できます。

DVを受けたことで、自尊感情が失われ自己評価がさらに低くなってしまっています。それをDVに詳しい専門家やカウンセラー、相談所の人などこの問題に向き合って一緒に考えてくれる人と話すのです。

アメリカの遺伝子学者、Dr.ジェフ・ミラーがこんな言葉を残しています。
「治療において体と心はひとつであり、切り離して考えてはいけない。体同様、心を癒やすことも必要なのだ」と。

だから繰り返して書きます。避難して体を休めたら、次は心を癒すために治療を行ってください。自分のことを冷静に客観的に見つめることが大切で、正常な考え方ができるようになるためのカギとなります。離婚などを含めた、これからのことはそれから徐々に考えていけばいいのです。

まとめ

世間体や家族を裏切っているといった罪悪感を抱いてしまうことがあるかと思います。支援を受けることすら「できない」となってしまうかもしれません。

「逃げるのは間違っている」と考えて不安にさいなまれているでしょう。

でも今は、自分と子どもが安心して暮らせることを第一として考えなければいけません。避難し、支援を受けながら自分の力で立てるように、心と体をゆっくり元に戻していくようにしてほしいと願っています。

▶︎DV被害者にタイプはあるの?「逃げる判断」と第三者ができる助け舟とは

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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