1日の飲酒の目安ってどのくらい?アルコール依存症の行動パターンを解説

こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。

今回から個々の依存症についてスポットを当てていきたいと思います。その最初として、物質嗜癖に分類される『アルコール依存症』をみていきましょう。

お酒は、仲間と楽しく飲んだり、食事と一緒に楽しく摂取したりすることで、ストレス解消になるという声を良く耳にします。しかし、飲む量や回数などに気をつけないと依存になる可能性が出てきます。

そんなアルコール依存症の特徴や症状、家族ができる支えとはどういったものかというところを話していこうと思います。

アルコール依存症の特徴と症状

アルコール依存症は、飲み方を自分ではコントロールすることができなくなってしまう病気です。コントロールできなくなってしまうポイントは、量・時間・状況の3で、特に注意しなくてはなりません。

アルコール依存症は、本人に問題として意識する気持ちがなかったり、治療する(減酒や断酒)ことを拒んでしまったりするという大きな問題点があります。

それに、周りの人が「飲みすぎ」なのか「依存症」なのかを判断することが難しいということもあり、早期発見ができにくいという悪循環な特徴があることも否めません。

ここで、どのような症状があるのかみていきましょう。

【症状と行動パターン】

連続飲酒:朝から晩までずっと飲んでいる状態
(行動パターン)
・お酒を小瓶などで持ち歩き仕事中でも飲んでしまう
・朝起きてお酒が抜けていると迎え酒をする
・離脱症状を抑えるために仕事前に飲む
・体調が悪くても飲まないといられなくなる

否認:明らかな問題点や飲みすぎを注意しても否認する
(行動パターン)
・注意しても大したことはないと言い張る
・本人は飲まなければ大丈夫だと言ったり考えたりする
・身近な人に飲酒量などについて嘘をつくようになる

やめられない:やめようとしても自分ではやめることができない
(行動パターン)
・酔っている時間が長くなる
・しらふの時でも物事の判断が鈍くなる
脳の萎縮に伴う脳機能の低下が原因となっている

離脱症状:飲まないと体の震えや幻覚といった症状が出る
(行動パターン)
・早期症状:お酒が切れてから数時間~48時間の間に手の震えや発汗、吐き気やけいれんなどが起こる
・後期症状:48時間以上経つと、幻覚や幻聴、激しい興奮や意識障害などが起こる

依存症と疑われる場合は上記のような症状が見られます。

離脱症状とは、アルコール量が体内から減った時に出てしまう身体的な症状で、アルコールを飲むと一時的におさまります。そのため、定期的に飲むという悪循環が出来上がってしまうのです。

離脱症状は、身体だけでなく心にも現れます。わけもなくイライラしたり不安になったり、睡眠障害などの症状を見せることもあり、多種多様です。

では、実際に「どのくらいの量を飲むことが依存症に該当するのか」という量の部分に注目してみましょう。

【1日の飲酒量目安】

1日に飲む量については下記が目安となります。

・ビール500ml缶3本
・日本酒3合
・ワイングラス6杯

これは1日だけとか、冠婚葬祭や長期休暇中とかという短い期間だけの話ではありません。これを超える量を毎日飲み続けるということです。

最初は、少量のアルコールで満足できていた(気分よく酔えていた)ものが、徐々に増えていきます。習慣的にお酒を飲むことで、アルコールに対する耐性ができてしまい、酔った感じが得られなくなります。

このような状態が続くとさらに耐性ができ、自分で飲酒の量や飲む時間、飲む状況においてもコントロールすることができなくなっていくのです。そして、飲む量が増えれば、おのずと体の調子も悪くなっていきます。

【アルコール依存症の身体的症状】

最初の段階では、健康診断などで生活習慣病の部分が引っかかってくるでしょう。生活環境など日常生活の積み重ねが原因で発症するさまざまな病気のことです。

たとえば、
・肥満(メタボリックシンドローム)
・高血圧
・脂質異常症(高脂血症)
・糖尿病
などです。

この辺りは、過度な飲酒が関連していることが多いと言われている分野です。

それ以外に消化器関連の病気が出てきます。代表的なのが肝臓の疾患です。脂肪肝といった肝臓に病気がある場合は、自覚症状がありませんので気づきにくいです。飲酒はすべての臓器や神経に悪影響を及ぼすことを忘れないでほしいと思います。

また、脳を委縮させてしまうこともわかっています。その中でも小脳が委縮することで起きる『アルコール性小脳失調症』が発病すると、歩行の不安定さや転倒といった動きにも支障が出てきます。

だから、アルコール依存症になる前に家族が支援が大切です。

家族ができること・してはいけないこと

久里浜医療センター院長である樋口 進先生の著書、『今すぐ始めるアルコール依存症治療』において、「アルコール依存症の患者が100万人を超えていると言われています。その中で治療を受けている人は1割にも満たない」と書いています。
引用:今すぐ始めるアルコール依存症治療(著:樋口進)

家族は早い段階で「おかしい」と気がついていても、さまざまな理由から受診させることが遅れてしまいがちになっていると思われます。

世間の目を気にしたり、本人の反発や暴力を恐れて言えないということもあるでしょう。また、迷いながらも「まだ大丈夫ではないか」と考えてしまうこともあるかもしれません。

それに「どこへ相談したらいいか」という情報がない点でも困っているのではないでしょうか。

【家族ができること】

まず、依存症の可能性があるかどうかをAUDIT(オーディエット)などのチェックリストを使って調べてみるところから始めましょう。

AUDIT(オーディエット)とは、世界中で最も使われているアルコール関連問題の評価テストのことで、依存症のスクリーニングテストとして用いることがあるものです。

参考:久里浜医療センター 依存症スクリーニングテスト一覧

依存症の可能がある場合は、本人がしらふの時に話をするようにします。酔っている状況では覚えていなかったり、反発する力を強めてしまうことになったりするからです。

そして、話すときは、主語は自分、内容は肯定的で簡潔、具体的に話すことがポイントになります。

例:「私はあなたのことが心配なの。長生きしてほしいのに、飲む量が増えているから。明日一緒に病院へ行ってみましょう。お願い」

などのような形だといいのではないでしょうか。

自分がアルコール依存になっていないと思い込んでいる人は、お酒をやめなければならないことを回避するために、嘘をつくこともあるかもしれませんので、注意して話すようにします。

【家族がしてはいけないこと】

上記のように体を心配して、早期に受診させることは大切です。しかし、依存行為を隠したり加担したりするようなことはよくありません。

お酒を断つために協力しているように見えても、実際は世間体を気にしたり問題行為をさせないようにしたりといった行動を取ってしまうことがあるため、支援する側も注意が必要です。

たとえば:
・お酒で起こった問題などを家族が尻ぬぐいしてしまう
・飲酒の代金や飲酒のための借金を代わりに払う
・外で飲んで問題を起こさせないよう、宅飲みを許してしまう
などの行為です。

かばってしまいたくなる気持ちはわかりますが、これでは依存症を進行させるのと同じ行為になります。大切なのは、隠そうとするのではなく、「治すためにどうしたらいいか」を念頭において行動することだと思っています。

チェックリスト

AUDIT(オーディエット)ではありませんが、わかりやすくその場で判断がつけやすいチェックリストがありましたので、載せたいと思います。

□酒を飲めない状況で強く飲みたくなる
□思っていたよりも長時間、大量に飲んでしまう
□酒を減らしたときに、手の震えや発汗、不眠、不安を感じることがあった
□酒に強くなり飲む量が増えた
□飲酒のため趣味や人付き合いを減らしたりした
□飲み過ぎのために体調を壊しても、飲み続けた

上記の6つから3つ以上当てはまったら要注意と考えましょう。

引用:マンガで分かる心療内科12(著:ゆうきゆう)

まとめ

物質嗜癖の1つであるアルコール依存症は、本人が自覚しづらく、家族も判断が付けづらい厄介な依存症の1つです。

だからこそ、特徴や症状が当てはまっていたり、チェックリストを活用したりして、状態を目の当たりにすることが大切です。そこから、一緒に医療機関に行けるといいですね。しかし、そううまくいかない場合は、相談という形で医療機関などに受診することができます。

それ以外には、地域の保健所や、自助グループなどもありますので、活用することをおすすめします。

▶︎刺激を絶えず求めてしまう、依存症は病気?なぜ依存したくなるのか…その定義とは

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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