ビギーナズラックが忘れられない…”ギャンブル依存症”は生活破綻や犯罪に手を染めてしまう可能性も。

こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。

2020年1月。乳幼児4人を自宅に放置し、長時間にわたってパチンコ店にいたことで生後3か月の男児を死亡させたとして、保護責任者遺棄の疑いで逮捕された事件が報道されました。

この段階では、長時間パチンコ店に夫婦して出かけパチスロをしていたことしかわかっていませんが、長い時間、子どもを置いてまでパチスロをしているという行為がこの時ばかりではなかったことから考えますと、依存している可能性が高いのではないかと思われます。

「賭けることを楽しむ」が、次第に「のめり込む」に変わり、ついには「ハマってしまう」状態になる『ギャンブル依存症』についてお話したいと思います。

ギャンブル依存症の特徴と症状

ギャンブル依存症は、プロセス嗜癖に分類される依存症です。金銭が大きく関わってくることから生活が成り立たなくなってしまうことが一番大きな問題となっています。

ギャンブル依存症の定義は、次のようになっています。

一般的にパチンコや公営競技のような賭け事にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態

引用:厚生労働省(ギャンブル等依存症対策基本法について)

また、DSM-5(精神障害診断基準集:米国精神医学会作成)では、『ギャンブル障害』という行動制御障害に分類されています。

行動制御障害とは、自分や家族、他人に危害を与えてしまうような特定の行為をおこなう衝動に抵抗できない状態、自分で「やめよう」と思ってもやめることができない状態のことをいいます。

そのことを踏まえ、ギャンブル依存症になるとどのような症状が出るのかをみていきましょう。

【症状】

・ギャンブル(パチンコ・パチスロ・競馬など)にのめり込む
・勝った時の興奮を求めて掛金がどんどん増えていく
・負けると借金をしてでも取り返そうとする
・どこにいてもギャンブルのことを考えてしまう
・ギャンブルのことで嘘をつくようになる
・ギャンブルをしていないと落ち着かない
・ギャンブルをしている間はイライラや憂うつな気持ちがなくなる
・自分は「いつでもやめられる」と思っているが実際はやめられない
などです。

最初は少ない掛け金で満足していますが、徐々に掛け金が増えていきます。そのため、家賃や食費などの生活費となる部分にまで手をつけてしまいます。それでも足りず、貯金を使い果たし、借金をしてしまうまでになる可能性が高いことを覚えておきましょう。

【原因】

社会的なストレスがきっかけとなって始めることが多いようです。会社でのストレス・家庭でのストレスなどが挙げられます。

また、抑うつ状態が続いていたり、うつ病を患っていたりといった心の病が関係してくることもあるようで、それらが複雑に絡み合って発症することも少なくありません。

ただ、実際にギャンブル依存症だった人との関わりで感じたのは、根底に『寂しさ』があるということです。それが強い分、勝った時の高揚感や興奮が慰めになっているのではないかと思うのです。

実例:ギャンブルにハマった女性

著者は、ギャンブルにのめり込んでしまい、家族を失いそうになった女性から相談を受けたことがあります。

Mさん(当時30歳)は、既婚女性で会社員です。「結婚前からパチンコが半分趣味のようになっていたんです」と話していました。

【きっかけ】

外回りが早めに終わったそうで、目の前にあったパチンコ店に入ったことがきっかけです。前から興味があったそうで、遊んでいる人の見よう見真似で千円札を入れて遊んでみることにしたといいます。すぐに大当たりが出て、あっという間に大勝ちしたそうです。金額にして3万円。

「もうびっくりしちゃって、こんなに楽しいんだ!ってなりました」その日をさかいに、仕事終わりや休日に出かけるようになったといいます。

【あの興奮が忘れられない】

パチンコ店に行くたびに勝っていたわけではないようです。ただ、勝つことが当たり前になっていったことは確かなようで、「大当たりが出ると、もうすごくうれしい気持ちになるんです。でも、当たりが出ないと頭にくるというか…。当たりが出るまでやり続けるようになっていきました」

最初は休日に行く程度でしたが、夫の帰りが遅く、子どももいなかったため、毎日仕事終わりから閉店までいるようになったそうです。次第に、仕事をしていてもパチンコ店に行きたくて仕方がなくなり、そのことばかり考えるようになっていったといいます。

【お金が足りない】

勝ったらそれを元手にまたパチンコ店に行くの繰り返し。財布が空になるまでやるのが当たり前になっていきました。「この台は出るかも」ってなったら店員さんを呼んで食事休憩中の札をつけてもらい、その足で銀行へ。お金をおろしてきてまたやるようになったといいます。

とうとう結婚前からの自身の貯金も底をつき、実家に「病気の治療にお金が必要になった」と電話して振り込んでもらうということまでしていたそうです。親から借りた金額は50万円を超えていました。

「お財布の中が空になると、すごく申し訳ない気持ちというか、やるせないというか。とにかく落ち込みますね。親にお金を借りたときもごめんとか思うけど、もっと出してくれないかな、なんて考えてしまっていました」

そう思って、やめようと思っていても、一晩寝ればそんな気持ちは忘れ、パチンコに行きたくなってしまうのだそうです。

ただ、結婚していたMさんは、家計に手を付けることはなかったそうです。「家計から出したら、夫にバレてしまうから家のお金からは出せませんでした」

しかし、自分の給料だけでは足りません。次第に食費にも手をつけ、足りなくなると夫に「体調が悪くて病院に行った」と言って食費を余分にもらうという嘘を繰り返していったのです。

【夫にバレて目が覚める】

その回数が多くなり、さすがにおかしいと気づいたMさんの夫。問い詰められて白状することにしたといいます。そうでもしないと、自分がダメになるのではないかと思ったからだそう。「これ以上やったら離婚を考える」と言われ、気がついたといいます。

「やりたくなってしまうけど、パチンコをやったら離婚されてしまう」というMさんにとってのどん底を突き付けられてしまった状態です。

面談を始めて2か月経った頃でしょうか、Mさんの妊娠がわかりました。それが大きな決め手となったようです。「子どもを守るため、家族を大切にしなければならない」と言っていました。そこで初めて「本気で抜け出そう、抜け出さなきゃ。今なら絶対にやめられる!」と思ったそうです。

Mさんのように失いそうになって初めて気がつくというケースは本当に多いと思います。しかし、自分が依存症であると言われても否認する人は多く、治療に結び付くことは少ない状況でしょう。

Mさんの場合、面談の中で寂しさを感じているということが何度かありました。そこに妊娠という必要とされる状態になったことが、依存から抜け出すきっかけになった例でした。

ギャンブル依存症は犯罪を招く

ギャンブル依存症の恐ろしいところは、お金が強く絡んでいるところです。人を騙してお金を手に入れようとするだけでなく、借金までして続けようとします。家庭にある物を売り払ってお金に変えようとすることもあるために、家族に大きな負担を与えてしまうことになります。

借金が膨らみ、「もう借りられない」となると、強盗や窃盗などを犯そうとしたり、保険金殺人などを企てたりすることもあります。

2001年5月に起こった、『武富士放火殺人事件』などはまさに強盗目的が殺人にまで発展した事件といえます。また、冒頭で紹介した乳児の死亡事件も罪状がつき、子どもの命が犠牲となった犯罪と言えるでしょう。

それだけではありません。借金を苦にしたり、やめたくてもやめられない状態でどうしていいかわからなくなったりして自殺を考えてしまうこともあるのです。

簡単にチェックできるサイト

「ギャンブル依存症になっているかも」と自分を見つめてみることはとても大切です。わかりやすいチェックリストを見つけましたので、ぜひチェックしてみましょう。

参考URL:指宿竹元病院 ギャンブル依存症自己診断

上記のサイトでは、回答欄にチェックを入れ、「診断」を押すだけで、依存状態の結果がすぐわかります。

こちらの病院では、SOGS(サウスオークス・ギャンブリング・スクリーン)を用いていて、とてもわかりやすいのが特徴です。SOGSとは、サウスオークス財団(アメリカ)が、ギャンブル依存症の診断のために開発した質問表です。

まとめ

ギャンブル依存症は、生活破綻を招くとても怖い精神疾患です。ちょっと楽しむ程度で満足できなくなってしまったために、借金をし、犯罪に手を染めてしまう可能性も十分に秘めています。自ら命を絶ってしまう可能性も高いです。

自分でやめようと思ってもやめることができないのは他の依存症と同じです。だからこそ、「自分は依存症じゃない!」と真っ向から否認するのではなく、「もしかしたらそうかも」と自分を見つめるきっかけになれば幸いです。まずは、自分と向き合うことから始めましょう。

▶︎1日の飲酒の目安ってどのくらい?アルコール依存症の行動パターンを解説

この記事を書いた人
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桜井 涼
メンタルケア心理士/ライター

新潟県出身の元学習塾講師のメンタルケア心理士。「地球が滅亡しても生きていける」と言われていた自衛官の父からサバイバルや防犯に関するトレーニングを受けて育つ。塾講師時代より子どもの心の動きに興味を持ち、メンタルケア心理士の資格を取得。2009年より文筆家として活動。ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、心理学を通して女性や子どもの防犯を呼び掛けている。

Moly.jp編集部

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