【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編

Moly.jpでは普段、女性向けの防犯対策や防犯グッズを紹介しています。こちらで紹介している対策は、あくまで女性目線の対策です。
今回は、元性犯罪加害者に独自でインタビューをし、加害者側からみて効果的な防犯対策とはどのような行動なのかなどのお話を聞いてきました。このインタビューをきっかけに新たな防犯に対する発見や対策をみなさまにお届けできればと思います。

<前回までのインタビュー>

前回の性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第1弾〜はいかがでしたか?

インタビューにご協力頂いた方は、前回に引き続き、元性犯罪加害者の(仮名:Dさん)です。Dさんは、約30年間電車内で痴漢行為を繰り返し、逮捕されたことがある加害者です。

今回は電車内痴漢編の第2弾です。第1弾では、犯行内容・犯行期間・どのような人に対して行っていたかなどの犯行動機をお聞きしました。第1弾をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。

このインタビュー内容は3回に渡って、Moly.jpでご紹介します。今回の第2弾では、Dさんの痴漢行為をしていたときの心情と逮捕時の心情についてお話をしていただきました。

<第2弾>

編集者:Dさんの中で、痴漢の成功条件というものはありますか?例えば、その電車にいる時間の中で狙っていた女性に触れたということで、自分の痴漢行為は成功したといったような条件のようなものはあるのでしょうか。

D:「痴漢をしたぞ」といった気持ちはありません。痴漢をしたというよりは、女性と一緒にいられたといった感覚です。痴漢行為がゲーム感覚の達成感ではないですね。

編集者:私自身も性犯罪の本を読むと、よくゲーム感覚で犯行計画を練って、物を盗れるまでやのぞけるまでのプロセスが自分の中にあってそれを達成できた時点で成功となるとあったのですが、Dさんはそうではないということですね。

D:私はどちらかというと、私の目的はそうではないです。私の場合は、思春期になって大人になるまで、女性と話をすることが苦手で、そもそも女性とコミュニュケーションをすることと、セックスすることが結びつかないできていました。普通、女性の体に触れるというステップというのは、ごく一般的なステップでいうと、特定の女性と仲良くなってコミュニケーションをとって、そのコミュケーションのひとつとして性的な接触があると思うのですが、私はその段階が踏めていなかったのです。一方で、その段階を踏まなくても妹を性虐待した経験から、直接触って女性の柔らかさやぬくもりがあるということは知っていたので、コミュニケーションの部分をショートカットして触っていたような部分があるので、スリルを味わうといったことではないです。

ただ、痴漢をする人にも色んなタイプや場面があるので、ゲーム感覚で犯行に及ぶ人がいるというのもわからなくはないです。例えば、ある1つのゲームを色んな面白さでやっている人がいるのと同じように、キャラクターが好きだからやっているだとか、その組み立てのロジカルが楽しいからやっている人がいるように、痴漢も色んな場面で色んな状況が起こりうるので、ゲーム感覚ということがあるのだと思います。私の場合は、メインは女性との一体感でしたが、ストレスが強かったり、根本的に女性をよく思っていなかったこともあり、本当に気に入らないときは、恥ずかしいおもいをさせようと思ったこともなくはないです。なのでスリルやゲーム性が全くない訳ではないですが、根本的な動機はスリルやゲーム性というところにはないです。

 

編集者:痴漢をしてその場その電車内だけで安心感といいますか、欲というものは治まるのでしょうか?それとも、学校や会社に着いたあとも、まだ痴漢したい気持ちがあるのでしょうか?

D:痴漢をしたいという欲求がある訳ではないのです。痴漢ができる場で、痴漢をしているだけなので、その痴漢できる場がずっとあればし続けますし、場がなければ痴漢しないだけですね。私の場合は、そこで解消する解消しないの問題ではないのです。実際に、刑務所に2回服役をしているのですが、その間は全く痴漢をしたいと思わなかったですし、痴漢をするといったアイディアすら思いつきませんでした。それはもちろん、刑務所には女性がいなかったということと、人とあまり接触をする機会がないという物理的な要因はあるのですが。例えば、薬物中毒の人は逮捕されて、切り離されたとしても、薬を欲することがあると思うのですが、私の場合は全くそのようなことがなく、むしろホッとしたといった感覚になりました。ホッとしたという感覚はたぶん、痴漢をしたいという気持ちというよりは、依存的になってしまってやめられない自分が、やめられたと感じてホッとしたのだと思います。

なので、私の場合は、痴漢ができない状況の中では、痴漢がしたいという気持ちが全く起きないため、何かの達成感のような欲求を満たしたくて、痴漢をしていたとは言い難いですね。

編集者:先ほど痴漢をしている時は、逮捕されることを想像していないということでしたが、そうすると逃げることも考えていないと思うのですが、痴漢をしてしまった被害者に対する謝罪の気持ちというのはあったのでしょうか?

D:謝罪の気持ちといいますか、私の中では合意してもらっている、嫌がっていないと思っている人を触っているので、相手を虐待しているような気分ではないですね。もちろん、相手に断りもなく体を触っているのにそれが合意なのかといわれれば違うのですが。被害者が聞いたら気を悪くすると思うのですが、加害をしているといった感覚はなく、一緒に楽しんでいるぐらいの感覚でした。痴漢行為によってどのようにどれだけ被害者が傷ついているのかを痴漢行為をしているときは全く想像もできていなかったのです。いまは、自ら被害者支援の方々の活動に接したり書籍や身近な仲間からの話などから被害者の気持ちを知ることができて変わってきています。

 

編集者:2回逮捕されたということでしたが、逮捕された時の心情はどうでしたか?また捕まえられたというのは、被害者に手を掴まれたのですか?それとも周りの人に捕まえられたのですか?

D:まず、刑務所に入ったのが2回でして、捕まったというのは無数にあります。刑務所に入る前には罰金刑を3回、罰金刑になる前の始末書で済んでいたものは無数にあります。捕まった時の感覚というのは「来るべくときが来た」といった感じですかね。

編集者:逮捕されることは想像していなかったとおしゃっていましたが、やはり逮捕された時は「捕まるんだな」「いつかは捕まるのだな」といった感じではあったのですね。

D:「いつかは捕まる」というよりかは、そうですね、痴漢行為をしているときは捕まるイメージはないですが、捕まる行為をしていたのだと改めて認識するというような感覚でした。客観的には捕まる行為をしているのだとはわかってはいたのですが…。捕まえられかたとしては、手を掴まれたり、ネクタイを引っ張られたりがありましたね。何回も捕まっているので、捕まる可能性があると知っているはずなのですが痴漢行為をしている最中は全くそれが浮かんでこないのです。

 

編集者:刑務所や罰金刑、始末書を書くなど何度もそれを繰り返して、捕まえられているのにも関わらず、それでもなぜ痴漢をやめられなかったのでしょうか?

D:そうですね。本当に痴漢行為がやめられなくなってからは、依存症的に鳴ったのだと思うのですが、本当にやめられなかった理由は、たぶん女性に対する認識と言いますか、コミュニケーションの仕方がわからないでずっといたので、自分には痴漢という方法しかなかったのだという気がします。

何回も捕まって悪いことだとわかっているはずだと言われれば、そうなのですが「悪いことだけど、自分にはそれしかない」というような感じでした。被害者の心情についても、痴漢をしている時に勉強できていれば少しは違っていたのかなと思います。

 

編集者:捕まったあとはホッとするとおっしゃっていまいしたが、捕まったことによって痴漢をしなくて済むということでホッとしたした訳でないということですか?

D:ホッとするといいますか、痴漢をする状況がないから、痴漢をしないだけであって、痴漢をしなくて済むという感じではないですね。人によっては、よく捕まえてくれたみたいことを思う人もいるみたいですが、私はそうではなかったです。

編集者:痴漢をやめたあとの生活についてですが、今は電車に乗られますか?

D:いえ、先ほどの話の中でもあったのですが、なぜ何回逮捕されてもその度にまた繰り返してしまうのかと考えた時に、痴漢をする(できる)状況だと痴漢をしてしまうので、刑務所に入っていたときは物理的に痴漢ができない状況だったので、痴漢をしたいという気持ちはなかったのです。それで、これまでどういう風に痴漢の再犯を防ぐような手当をしたかといいますと、無理して長距離を自転車で通勤しようとしたり、早朝の空いている時間の電車に乗るなどの色んな方法を実行していたのですが、それらの方法はどれも実は逃げ道があるのです。例えば「雪が降っていて自転車では行けないから、電車乗ろう」や「事情があって、いつもと同じ早朝の電車には乗れなかった」というような仕方ないようにして、そうやって本当に仕方がないわけじゃなくて、痴漢ができる状況を残した再犯防止対策ばっかりだったので、結局いずれの対策も失敗してしまっていたのです。それで、最後の2回目の逮捕で刑務所をでてからの対策でいうと、絶対に電車に乗らないということを決めて、車で移動する風にやりかたを変えたのです。

しかし、そうすると車通勤で勤められる会社がなかなかなくて、それよりもとにかく痴漢をする状況を物理的に無くすといことを徹底すると決めました。ただ、今現在、痴漢をやめてから10年経つのですが、たぶん物理的に痴漢をする環境を無くすだけだと、痴漢ができる環境になったら、また痴漢をしてしまう状況だったと思うのですが、今はあえて痴漢をしようとは思いませんが、満員電車に乗っても痴漢をする気は全くなくて、それは何が変って来たかというと、女性とのコミュンケーションのやり方というものを知らずに生きてきたので、それを今ひとつずつやり直している段階にいます。それも身近な人たち、例えばクリニックの仲間や、あるいはこれから私が取り組もうとしている、加害者自身の再犯防止の為の支援や、あるいはそもそも加害者を生まないようにするための警防活動とかをやりたいと思っていて、その活動をするために色々と動いているうちに、被害者の会の信用してくれた女性の方がたと関わる機会ができました。その中で、今まではできた関係を大事にしようというようなスタンスがなかったのですが、1つのつながりを大事にして、コミュニケーションを大事にしようと思って今はやっていていて、そうしていると痴漢行為そのものをする必要がなくなってきたのです。痴漢は犯罪ですが、セックスや性行為、ぬくもりや一体感とか女性と一緒に居たいという気持ちはもちろんあるのですが、やはり根底には性欲と言いますか性的な気持ち良さと繋がっていて、それは元来、女性とお互いが幸せになる為のコミュニケーションのツールのひとつではないかなと思っていて、そのお互いが幸せになる為のツールとしての身体接触ということができるようにしたいと考えています。そのように考えて、取り組んでいる中で物理的な痴漢ができない状況を作らなくても、本来は痴漢行為をする必要がない状態を生めば、痴漢をする状況をなくす必要がなくなってくると思うので、少しそういうステージに自分自身が入って来ているのかなと感じています。

また、世間では性犯罪を厳罰化しようという流れがメインであります。たしかに、それで捕まった痴漢はもちろん何とかしないといけないのですが、捕まってない痴漢やこれから痴漢になるかもしれない人というのをフォローしないと、被害者はなくならないのではないかと感じていて、あくまでも理想ですが、社会的な環境改善や、性教育などによって、そもそも痴漢をする必要がなくなるような状況をみんなで作れれば、誰も痴漢する人がいなくなるのではないかと思っています。

第3弾につづく

 

いかがでしたか?
この第2弾のインタビューではDさんの心情が多く聞けた内容でした。少し簡単な言葉になってしまいますが、私自身が感じたことは「依存症って怖いな」ということでした。例えば、何か悪い事をしたとき、多かれ少なかれ、「やってしまった」や「捕まるかもしれない」といった恐れを感じると考えていました。しかし、Dさんは痴漢行為が逮捕されてしまうといった考えはなかったと答えてくれました。そういう風に考えなかったから、依存症なのかと聞かれてしまうと、そうではないかもしれませんが、感覚が鈍くなっているという点では、依存していると言えると思います。

また、今回のお話を聞いて、私自身が想像していた痴漢行為をする人のイメージとDさんのイメージに大きな差があり、痴漢行為をする人にも様々なタイプがおり、ひとくくりにして対策をするのはとても難しいなと感じました。

次回で電車内痴漢編は終わりになります。第3弾ではDさんの考える電車内の痴漢対策と、現在のDさんの活動についてをお伝えします。

 

【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第1弾

【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第3弾

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