街は徹底した監視カメラ設置によって防犯意識を高めようとする傾向がどんどん高まっています。監視カメラの映像は、犯罪抑止・逮捕にもかなり有効的手段である一方で、映像によってプライバシーが侵害されない配慮もしていかなければなりません。
防犯意識が高くなるほど、プライバシーを守る認識は薄れて行ってしまうことになるかもしれません。
防犯対策としてトイレにも監視カメラを設置して映像を残そうという気持ちは、死角を追求するほど当然起こるでしょう。しかし、どこまで映像が許されていいのかも同時に考えてみましょう。
街に住む人間として、プライバシーの侵害もあってはならないことです。しっかり街は防犯されているのかもしれませんが、プライバシー侵害の恐怖にいま襲われつつあるのかもしれません。
介護施設の場合
ある介護施設では、トイレ・お風呂にも防犯カメラを設置して、映像を残していると言います。もちろん介護以外のために映像は利用することはないと言っていますが。
そのような場所で、防犯カメラの映像を残さなければならない理由は、トイレなどの場所で脳卒中や脳梗塞など起きてしまえば、即死に繋がってしまうからです。トイレやお風呂は、著しく血圧が上がってしまうような場所であり、個室であるため失神してしまっても、気付くのが遅れてしまい手遅れになってしまうことがあります。
トイレといえば、対策として、ナースコールシステムでの押しボタンやマイク・スピーカーという方法もあります。しかし、血圧上昇で脳にトラブルが出てしまった場合には、なかなかボタンを押す行為自体が難しいでしょう。
介護の問題も、このような死角があり、死角を埋めるために防犯カメラの映像が活用されていたりします。
トイレ映像で配慮しなければならない問題
ただし、被介護者に対してもプライバシーの問題は配慮する必要は当然あります。 そこで、防犯カメラ映像は、パスワードロックによって管理者を限定して運用することができるものを使用したり、女性職員の限られた人しか見ることができないように設定したりして、設置していることの理解を家族の方々にも求めているということです。
更に、防犯カメラ映像には、映像の一部を「マスキング」の方法によって映さないように出来るメカニズムがあるものもあります。実際には映すべきでない場所を100%映さないということは難しいようですが、このような形でも介護施設がプライバシーの問題を考慮していることを利用している人たちや家族の方々に伝えることができます。
本来、防犯カメラ映像にあるマスキングは、防犯カメラを自宅などに設置した時に、隣人の庭、お家などを撮影しないようプライバシーを配慮するためのものであり、やはりカメラ映像での防犯対策とは必ずプライバシー侵害の問題は対峙しているものだということを顕著にあらわす機能と言っていいでしょう。
高齢者虐待防止法に抵触する?
防犯カメラ映像は、プライバシー侵害の問題だけでなく、ここで言えば高齢者虐待防止法に抵触してしまうかも?ということも考える必要があるかもしれません。
高齢者虐待防止法の中には、性的虐待という項目もあります。 被介護者に対して、安易に人前で裸にさせたりすれば、このような罪に問われてしまうことになります。
男性の場合は、男子更衣室に対して防犯カメラ設置はそれほど抵抗なくされているようですが、やはり映像を問題視しているのは女性の場合です。
それは、実際に利用する人たちも、トイレ、お風呂という場所に防犯カメラが設置されてあるかいないか書類などで確認する必要があり、施設側でもそのような設置を明確にして知らせる必要があります。
そもそもトイレの防犯カメラ映像は違法なの?
徹底した防犯意識を持てばトイレにもという思いは出てきてしまうでしょう。しかし、だからと言って、それを積極的にしてしまっていいかは話しは別問題です。
女性の人たちは特に、当然個室の中にカメラがあってはならない思っていますが、化粧室にだって防犯カメラがあれば抵抗があり、入口でもいい気持ちはしないでしょう。
しかし、一方では、トイレ盗撮という事件も数々起きているので、防犯カメラ映像は抑止にも逮捕にも貢献することができるアイテムです。
女性の人たちは、そのような防犯カメラ映像が「盗撮」行為にあたるのではという疑いを持っているかもしれないですよね。
トイレの監視カメラは盗撮行為?
設置している人たちは当然そうは思っていないのでしょうけど、トイレを利用している女性たちは、「これはひょっとしたら盗撮行為かも……」と思っているかもしれません。
各地域の迷惑防止条例の内容には違いがあるので、それについていちいち確認する必要がありますが、東京の場合では、盗撮の撮影は、人の通常衣服で隠されている下着または身体を撮影する目的で設置することなので、防犯カメラ映像がそのようなものと見なされた時には、防犯意識のつもりでいたとしてもそのような判断をされてしまう可能性はあるでしょう。
防犯する意識が高まれば、トイレの中までという気持ちも起こるのかもしれませんが、トイレ内で排尿・排便の為に局部を露出した姿を撮影する目的と見なされる可能性は非常に高く、現状はNGです。
ましてやトイレを利用している女性たちに気付かれない場所に防犯カメラを設置するなんてことはあり得ないことです。
実際に防犯意識を高めればトイレの中という意識も出てきますが、トイレの中を具体的に監視しないでも、周辺に防犯意識を強めれば犯罪対策には繋げることができるはずです。 出入口への監視カメラの設置あたりが、現状トイレの防犯対策として許される範囲と考えるべきでしょう。
あとは、トイレの場合は、個室便房内に防犯ブザーによって対処します。 更に、キャリーケースなど大きな荷物を持ったままトイレに入る女性のために、共用空間に荷物を置いたままトイレを利用したとき、共用空間に盗難防止措置を講じた荷物の置き場所を整備するなどの配慮がされているところもあります。
さらに、個室便房内に荷物を置くことができるスペース空間を確保する配慮も、女性たちのために安心感をもたらしてくれることでしょう。
女性たちは、安心・安全がトイレにもたらされるのなら、有料トイレでも構わないという声があります。
厚木市の公衆トイレの防犯対策
トイレの防犯対策は、それぞれ地域で多少判断の違いがあるでしょう。 厚木市では、防犯カメラをトイレに設置し映像を管理するのは管理責任者であり、管理責任者はトイレを管理する業務を所管する課の長であると定めています。
管理責任者は、必要に応じて防犯カメラの操作を行う担当を指定することができます。 それ以外の者たちは防犯カメラ映像を操作することができません。
そして、防犯カメラ映像は目的を達成することができるための必要最低レベルなものである必要があります。
そして、厚木市では、どのような場合でも防犯カメラをトイレ内部に設置してはならないとしています。
映像は、加工はすることなく、撮影したままの状態で保管される必要があります。期間は、必要最小限の期間としています。 映像は、施錠等により防護された場所にしっかり保管管理される必要があります。
更に、防犯カメラは市民の見やすい場所に防犯カメラを設置しなければならないとしています。
まとめ
いかがでしょうか。防犯対策に真剣に向きあうことはいいことです。しかし、防犯カメラ映像は、プライバシー侵害になってしまうリスクを抱えているものなので、そちらの問題も同時に考えていかなければなりません。
トイレの場合、介護施設などでは同意のもと有効的に活用されていることもありますが、多くの人たちがそこまで設置す必要があるのか懸念している場所でもあります。
トイレ内部にも防犯カメラ映像を残したい気持ちは起こるものかもしれませんが、以外の方法でも充分それを補う防犯対策は出来ると判断するべきでしょう。
執筆者:Moly編集部
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