近年、ストーカー被害は増加傾向にあり、ストーカー行為に端を発した凶悪な事件も発生しています。被害に遭わないために、ストーカーの性格について考え、取るべき行動や対策、相談先についてみてみましょう。
■ストーカーとは
「ストーカー」という言葉が登場してから、およそ20年が経ちます。
近年、ストーカーに関わる相談等の件数は、20,000件を超えており、ストーカー被害に苦しむ人が多いことがわかります。
では、「ストーカー」とは何のことをいうのでしょうか。
簡単に言えば、ストーカー行為を行う人物のことをストーカーといいます。
そして、ストーカー行為は、ストーカー規制法(正式には、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」。以下「規制法」。)に定義されています。
まず、ストーカー行為の前提として、加害者側に恋愛感情等の好意の感情を満たそうとしたり、その感情を満たせない場合に被害者への恨みの感情を満たそうとする目的意識が必要となります。
その上で、実際の行為として行われ、それが繰り返し行われると、規制法上のストーカー行為として認識されます。
規制法上のストーカー行為として、イメージしやすいものは、
(1) つきまとうこと、待ち伏せ、被害者の家・勤務場所・学校などに押し掛けたり、これらの場所を見張ったり、うろついたりすること
(2) 被害者の行動を監視していると想像させたり、監視していることがわかるように文書や電子メール、口頭で伝えること
などがあげられます。
また、
(1)面会や交際を要求すること
(2)荒っぽい言葉使いや乱暴な行動を取ったりすること
(3)無言電話をかけたり、拒んでも継続的に電話したり、FAX、メールなどで送信してくること
(4)汚物や動物の死体などを送りつける
(5)被害者の名誉を害する内容の文書やメールを送ってくる
(6)性的に恥ずかしいと思わせるような文書や写真などを送ったり、電話などで卑猥なことを言うなどの嫌がらせを行う
などもストーカー行為に含まれます。
つまり、これらの行為を行う者が「ストーカー」ということになります。
ちなみに、ストーカーの加害者と被害者の関係でみると、過去のパートナーから被害にあうケースが5割を超え、一方で割合的には低いものの見ず知らずの他人からのストーカー被害も起こっています。
■ストーカーになる人の性格は?
これまでストーカー犯罪と心理の関係については研究が進んでいますが、ストーカーの性格との関連付をした研究・調査を目にしていません。
そこで、抽象的ではありますが、規制法上列挙されている行為から、加害行為者の性格を考えてみます。
(1)自己中心的な性格
ストーカー行為に該当するには、自らの好意の感情を満たしたい、又は、それが叶わなかった場合に恨みから生ずる嫌がらせをしたいという気持ちが必要ということからすると、ストーカーは相手(被害者)の心情を察することができない自己中心的な性格の持ち主だと言えるでしょう。
(2)しつこい、拘りの強い性格
どのストーカー行為にしても、同一の相手に同一の行為を反復して行うということから、ストーカーはしつこい、あるいは拘りの強い性格であると言えます。
(3)一途で、真直ぐな性格
同一の相手に対して、つきまとう等の行為をするため、ストーカーは一途で真直ぐな性格であると言えるでしょう。
(4)自信過剰な性格
自分に自信があり、きっと相手も自分に好意があると誤解するため何度断られてもつきまとったり、交際を要求したりするのでしょう。また、相手を自分より下とみて疑わないため、荒っぽく乱暴な言動をしたりします。
(5)臆病、悲観的、自己肯定感に乏しい性格、内向的な性格
(4)の自信過剰とは、逆の性格ですが、悲観的であったり、自己肯定感に乏しい人は、好意の相手方に積極的に関わることができず、恋愛経験に乏しいため、つきまとったり、無言電話をかけたりするのでしょう。このタイプは、見知らぬ人が加害者となってしまうパターンですね。
上記のように、積極的・消極的どちらの性格でも、ストーカー行為を行ってしまうように感じます。
従って、誰もがストーカーになる要素があると考え、被害に遭わないよう注意する必要があります。
いずれにしても、ストーカー行為と性格の関係性については、今後の研究を待ちたいと思います。
■ストーカーに遭わないためには
ストーカーの性格は、様々であり対策の立てようがないように思われますが、それでも被害に遭わないよう、対策はしておくべきです。
1 八方美人にならない
誰にも愛想よく振る舞うことにより、異性との関係を築けない人物や自信過剰な人物から好意を持たれてしまい、つきまとわれてしまうことがあります。
従って、誰にも愛想よく振る舞うことは避けましょう。
2 余計な情報を与えない
SNS等では、必要以上に個人情報を記載したり、個人を特定できる情報を掲載しないよう注意して利用したいものです。
また、ストーカーは郵便受けの郵便物等を持ち出し情報を得ようとします。さらには、ゴミを漁って、被害者の生活を探ろうとします。
このため、郵便受けには鍵を設置し、郵便物や書類はシュレッダーし、ゴミ回収業者が来る直前にゴミを出す等工夫する必要があります。
■対策法ともしもの相談先は?
いくら対策をしても、ストーカー行為にあう場合もあるでしょう。
その際の対応策を考えてみましょう。また、相談先について記します。
(1)つきまとわれた場合の対応策
つきまといに気づいたら、タクシーを利用したり、安全な場所に逃げ警察に相談するなどしましょう。
(2)交際や面会の要求があった場合の対応策
交際や面会の意志がないことを明確に伝えましょう。
あいまいにすると、ストーカーには伝わりません。
(3)全てのストーカー行為への対応策
被害の証拠として写真、メールなどは残しておいてください。ストーカー行為の日時、場所、内容についてメモしておきましょう。
(4)ストーカー行為にあった場合の相談先
ストーカー行為にあった場合には、警察署等に相談しましょう。
・警察相談専用電話 #9110
犯罪や事故の発生に至っていない場合に相談したいときは、#9110に電話しましょう。
・最寄りの警察署 110
緊急の必要がある場合は、通常の110へ通報しましょう。
ストーカー行為者に警告や禁止命令が行われたり、場合により逮捕もされます。
・110番緊急通報登録システム 110
被害者による電話番号の登録により、詳細な説明をすることなくパトカーなどへ速やかに指令が発せられます。
・弁護士
ストーカーを特定していて訴えたい場合などに依頼します。あるいは法テラス(日本司法支援センターTEL 0570-078374)に相談しましょう。
・探偵事務所
ストーカー行為を受けているが、ストーカーが誰なのか不明の場合、特定するよう依頼できます。
■まとめ
つきまとい等を繰り返し行うストーカー。
その性格は自己中心的、一途、内向的など様々です。
誰がストーカーになっても不思議ではありません。
そのため、誰に対してもいい人になろうとしない、情報をみだりに出さないように気を付けましょう。
ストーカー行為にあったら、タクシーなどで安全な場所へ移動する、警察に連絡する、交際や面会には応じない意志を明確に伝える、証拠はしっかり残す等に留意しましょう。
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