【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜

2018年10月3日

Moly.jpでは普段、女性向けの防犯対策や防犯グッズを紹介しています。こちらで紹介している対策は、あくまで女性目線の対策です。
今回は、元性犯罪加害者に独自でインタビューをし、加害者側からみて効果的な防犯対策とはどのような行動なのかなどのお話を聞いてきました。このインタビューをきっかけに新たな防犯に対する発見や対策をみなさまにお届けできればと思います。

 

<前回までのインタビュー>

前回の性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第2弾〜はいかがでしたか?

インタビューにご協力頂いた方は、前回に引き続き、元性犯罪加害者の(仮名:Dさん)です。Dさんは、約30年間電車内で痴漢行為を繰り返し、逮捕されたことがある加害者です。

今回は電車内痴漢編の第3弾です。第2弾では、Dさんの痴漢行為をしていたときの心情と逮捕時の心情についてお聞きしました。第1弾第2弾をまだお読みでない方は、合わせてご覧ください。

このインタビュー内容は3回に渡って、Moly.jpでご紹介しています。今回で最後となる第3弾では、Dさんの考える電車内の痴漢対策と、現在のDさんの活動についてをお話をしていただきました。

 

<第3弾>

編集者:ありがとうございます。具体的な犯行内容やどういった心情だったのかを聞かせて頂けたので、次に被害者側の対策についてお聞きしたいと思います。例えば「このような服装をすると狙われやすい」といったことがあれば教えて頂きたいのですが、先ほどのお話だとDさんにとっては服装の系統はあまり関係がないとおっしゃっていたのですが、そうすると痴漢をする人のタイプによって違うのでしょうか?

D:極論を言いますと私にとって服装は関係ないですよね。隣に痴漢ができそうな状況の人がいるかどうかという偶然性が一番重要なので。

編集者:Dさんの場合だと、隣に痴漢ができそうな状況の人がいた場合に痴漢をするということでしたが、Dさんとは別の痴漢の人はもしかしたら、露出度の高い服を着ている人しか狙わないといったこともあるかもしれないということですよね。

D:そうですね、そういう人もいると思います。そこは痴漢をひと言でくくってしまうと、危険なところがあると思っていて、何でもそうだと思うのですが、どうして痴漢をやるのかということについては、色んなタイプの人が様々な動機でしていると思うのです。

 

編集者:たしかに、色んなタイプの人がいるので難しいですね。では、Dさんは電車内で痴漢行為をしていたということで、電車の中で「どこの立ち位置」が狙いやすいといった場所はありましたか?

D:私の中での狙いやすいと言いますか、痴漢が起こしやすかった場所は、座席とドアの横で隅ですね。座席の一番端でドアの入ったすぐ横、つまりドアの両側です。

編集者:その場所は一番痴漢しやすくて、逃げやすいということですか?

D:まず端ということで相手がそこから身動きが取れないということと、そこの端の位置に立つ人は結構疲れていたり、寄りかかりたいなと思っている人で、警戒心があまりないということです。反対に、電車に乗れば痴漢に遭うかもしれないというような警戒心を持っている人は絶対に触れないです。また、ミニスカートは派手な格好をしていると狙われやすいかというと、私の場合は狙わないです。派手な人は、他の人から見ても派手なので、目立つ人に痴漢行為をするということは、目立ってしまいますよね。ですので、派手な人は触りにくいです。

編集者:よく対策などでみかけるのが、地味な格好をしている人は、抵抗されなさそうで、派手で露出の高い人は気も強そうだから狙われないとあるのですが、どう思われますか?

D:その判断は若干なくはないと思いますが、服装からどこまで性格がわかるかですよね。なので、全くない訳ではないと思いますが、狙う狙わないの大きな判断基準にはならないですね。

 

編集者:電車内での痴漢は、通勤時間や帰宅ラッシュなどの混んでいる時がやはり痴漢しやすいですか?

D:痴漢しやすいと言いますか、あまり時間帯や混んでいる空いているは関係ないです。例えば、終電が混んでいる電車もあるとは思いますが、空いていて一両に1人や2人しかいない状況の車両もありますよね。終電の場合だと、吞み潰れている女性や寝ている女性も多いので、その隣に座って痴漢行為をするということは、簡単でしたね。

編集者:そうすると、これさえすれば絶対に痴漢に遭わないといった対策はないということでしょうか。

D:そうですね。安心していいという場所や時間や服装というものはないという意味ですが、痴漢をされないように意識されていることが分かれば触れません。

 

編集者:少し質問の方向を変えるのですが、自分が痴漢行為をしていると、他の痴漢をしている人を見分けることはできますか?

D:それはなんとなくですが、わかりますね。本当に痴漢行為をしているかまで確認をしたことはないですが、見てみると明らかに他の人と違う動きや体勢をとっています。

編集者:それはどのような動きや体勢なのですか?

D:例えば、みんな右を向いているのにその人だけ左を向いていたり、みんな同じペースで電車に乗り込むのに対し、その人だけ遅れて乗り込むといった動きですね。あとは妙に女性の後ろにピッタリくっついていたりですかね。痴漢をしたことのない人から見ると、ピッタリとくっつかれている状況は起こりえないわけではないのかと思う人もいるかと思いますが、実際は偶然後ろにピッタリとくっつくことはそうそうないのです。大体の人は、女性と体がくっつきそうになった場合は、離れるようとしますからね。

編集者:たしかにそうですね。最近では痴漢の冤罪などがニュースで取り上げられていて、両手を挙げて電車に乗る男性をみかけることもあります。痴漢をしている人を見分けられるとおっしゃっていましたが、痴漢する人同士のコミュニティといったようなものは存在しますか?

D:噂では聞いたことはありますが、私は入ってもいませんし、見たこともないです。痴漢をする人同士のコミュニティではないのですが、痴漢をさせますというような、痴漢の出会い系サイトというものはネットで探せばすぐにでるみたいです。例えば「何時何分どこ線の何両目にいるので痴漢してください」といったような内容のものがあるようですね。

編集者:Dさんは違う人と繋がりを持って、自分が痴漢をしたことはないということですね?

D:そうですね、ないです。とてもじゃないですが、怖くてできないですね。痴漢をしたことがなければ、もしかしたらそういったサービスだと思って利用する人もいるのかもしれませんが、それが実はサクラが混じっていて、その場所に行ってみたら警察ではない人たちに捕まるかもしれないじゃないですか。それで、脅迫されるというような話もありますし。

 

編集者:痴漢と言っても臀部を触るなど色々あると思うのですが、Dさんは実際にどのような痴漢行為をしていたのですか?

D:私の場合、臀部は触るというより陰部を押し付けていました。手で触るのは下腹部に近いところでした。スカートだったら、スカートを少しずつめくったり、ズボンだったら股間に手をいれたりなどをしました。上半身は見えやすいのでなかなか触りづらいですね。あとは、座っている時に荷物に隠れて横から触るといったこともありました。

編集者:先ほど服装は関係なく、痴漢ができる条件があれば痴漢をするとおしゃっていましたが、それでもある程度の年齢層でこの年代を多く痴漢していたなということはありますか?

D:それはさすがにありますね。後ろからどう見ても、自分の興味の範囲におさまっていないということがわかる人は、触りようがないですよね。

編集者:それは年代とかですか?

D:そうですね、中高生から大学生。あとは20代前半ぐらいまでですね。

編集者:小学生の頃に妹さんに性虐待をしていたとおっしゃっていましたが、だからといって女児に興味があるといったわけではなかったのですね。

D:それはないですね。妹をさわっていたときは、その頃の自分も幼かったので、幼い女性を触っているといった感覚ではなかったです。

編集者:自分と同じくらいといいますか、自分に近い存在の女性といった方を求めていたという感じなのですかね。

D:そうですね、そうだと思います。

 

編集者:確認をしたいのですが、10年ほど前から、痴漢はもうされていないということでしょうか。

D:はい、10年前から完全に痴漢ができないような物理的な状況を作りました。その中で、5〜6年前に主治医から、まともな仕事に就けないと思ったのかはわからないのですが、痴漢をしてきた経験を活かしてアドバイザーなどをやったらどうかという話をふられて、ふられたときはとてもじゃないけど、元痴漢でアドバイスしますからみなさんどうぞなんていうようなことはとてもできないと思っていて。ただでさえ、家族に迷惑をかけてきたのに、そんなことをしたらとんでもないことになると思っていたので、できるとは全く思っていなかったのですが、時間が経つにつれよく考えて、とにかく30年間痴漢をやりっぱなしだったので、自分の人生の半分が痴漢で。でもそれを今後、家族としてはもうなかったものとして生きて欲しいという想いが強かったので、私もそれに従って無いものにして、これから全く別の人生を歩むといった選択肢もなくはなかったのですが、それってなんかその30年間を切り捨てるみたいで、自分の存在そのものが否定といいますか、だからといってもともと褒められたものではないですが、自分がそこで無くなっちゃう気がするし、それに無かったことにして、進むことで、再犯しないようにできるのかなって。そうではなくて、やってきたこの30年間をフルに使って今後の人生を生きていくことで、自分の再犯防止にももちろん繋がるし、それによって加害をしている人たちがやめることができたり、そもそも加害者を生まないような活動にも関与して、効果をあげられれば、そっちのほうがいいじゃないかと思い始めて、主治医がやっているアドバイザー講座を受けさせてもらって、さらにこのような活動をするには、ある程度資格のような物があると話がしやすいと思い、精神保健福祉士の資格を取って、自分としてはこの道で今後メインにやっていこうかなと思っています。ただ、家族には言っていないんです。家族に言ったら絶対に反対されるので。これからっていうときに、潰されかねないので、何れ活動をしていけばわかるとは思うのですが、わかったときにはある程度ちゃんとした活動になっていればやめさせようがないですしね。

 

編集者:今までは、大学を卒業されてからは一般企業に勤めていらっしゃったのですか?

D:そうですね。

編集者:しかし、一回逮捕されて刑務所に入ってしまうと、会社を辞めざるを得なくなったと思うのですが、その後のお仕事は行政が支援してくれるようなところに行ったのですか?

D:いえ、私の場合は実家があって、実家が受け入れてくれていたので、基本的には実家に戻る形で、また新しい仕事を探すといったことを今まではやっていました。

編集者:質問は以上になります。ありがとうございました。

 

 

第3弾にまで及んだインタビューでしたが、いかがでしたか?

まず、私の正直な感想は「予想を遥かに越えるもの」だったということです。日々、Moly.jpの中で痴漢対策などを扱っていますが、たしかに対策も間違ってはいないのですが、加害者のタイプもそれぞれだと、対策だけでは避けられないのではないかとも感じました。

しかし、だからといって「じゃぁ対策をしても無駄じゃん」ということではないのです。対策とプラスして万が一、被害に遭った時の対応についても合わせて考えなければ行けないということです。第1弾〜第3弾の中でDさんが仰っていたように、相手が嫌がっているのがわかれば無理には痴漢行為を続けないと。他の加害者がどうかはわかりませんが、もしかしたら他の加害者の中にも、Dさんと同じように被害を受けている女性が拒否をしたくても怖くて声が出せないであるにもかかわらず、拒否をしないから受け入れられていると感じてしまっているのかもしれないとも思いました。女性は急に被害に遭ったら怖くて、どうしていいかわからないかもしれませんし、この場をやり過ごせば終わらせてくると願っているかもしれません。ですが自分の感じていることと相手の感じている事が同じだとは限らないのです。だから万が一、そのような場面に遭ってしまったら、できる限りの範囲で、相手に嫌だという意思表示をしなければいけないということが重要であることがわかりました。

3回に及ぶ長いインタビュー、新たな学びが増えました。
このインタビューの経験を活かし、今後もみなさんにMoly,jpとしてできる情報をお伝えしていきたいと思います。

【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第1弾

【独自取材】性犯罪加害者の声を聞く〜電車内痴漢編〜第2弾